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4。超展開すぎて頭が付いていけませぬ……

「ニシジン織」が「ニンジン織」に見える(笑)

「お父様、戦争の状況はどうですの?」


 甘えた声で三番目の姉が言った。三の姉上は周りに誰から見てもわかるくらい父上が好きだ。どのくらい好きなのかというと我輩のキウィラブと同じ位、もっとわかりやすく言うとネズミのチーズラブと同じ位だ。


 まあ、父上も子供の中では一番、三の姉上を贔屓しているので別にいいんじゃないかと思う。―――二番目姉を贔屓しているわけじゃなくてよかった―――だから、三の姉の母(側室の一人だ)はそんなに身分が高くないのに、三の姉上の服装は豪華だ。父上の献上品に違いないが、ないと思うが、もしかしたら我輩のドレスより豪華かもしれない。


 その三の姉上の服装だがふっりふりだ。上半身は普通のドレスと同じだが、下はフリルがこれでもかと言う位あしらわれている。さらに花びらを模った飾りがいっぱいつけられている。


 それが可憐と言える姉上の顔と意外だが、滅茶苦茶マッチしている。あえて例えるなら花の妖精?―――べ、別に羨ましくなんかないんだからね!


 一方我輩のドレスというと和の国からの輸入品だ。『ニシジン織』というものらしい。『ニシジン織』は呆れるほど着るのが難しい。先どほもいったかもしれないが、どの布をどこで巻くとか意味が分からない。だが、着心地は意外によいうえ、なんといってもデザインが良い。


 絵柄だが、黒い布地に大胆に花があしらわれている。侍女に「似合う」と言われたから似合うのだろう。……お世辞じゃございませんよね?


 ……というか、どんだけ依怙贔屓が激しいんだ、父上。母上なんて初夜に「お前を愛する気はない」と言われたらしいぞ。我輩と弟が生まれたのは奇跡だと思うんだ。





 父上が指輪がいくつも嵌められている手でひげをなぞりゆるみきった表情で言った。


「安心するがよい、リルリィ(三の姉上の名前)。戦状はこちらが有利だ。何事も心配することはない」


 三の姉が花のような笑顔になった。わあ、花みたいな笑顔ってこういう人の事なのか……


「まあ、流石お父様ですわぁ。デュセンタ公爵なんぞとっととやっつけてしまってくださいな!」


 三の姉が安心しきった顔で言った。だが、わずかに引っかかるものがあるように感じる。小説でよく言う「食べかすが歯に詰まって取れないときのもどかしさ」に近いもの―――だと思う―――を我輩は感じていた。



―――なんか、なにか、ナニカが違う。


 周りを見渡して誰か同じことを考えている人がいないのか探したが、気づいていないのか、皆いつも通りの顔で、表情で、料理が運ばれるのを待っていた。



「父上。ほn―――」



 この疑問を解消しようと父上に問い掛けようとした瞬間。―――シャンデリアが落ちた。


―――がしゃん



『え。』

「きゃあああ」

「わぁあああああああああああああああああ」

「うへぇっ!」

「ぬぇあああぁあ」

「ふんにぁああああああああああ」

「あおおおおおおおおお」

「フヒっ」

「……」

「ぎゃあああああああ」



――ガラスの散らばる音と突っ込みどころが多すぎる十人十色な悲鳴。



 自分の声が遠くに聞こえたのは一瞬時が留まったように感じられたからだろうか。



 いや、無意識に我輩の『時空魔法』が発動したからだろうか。兄弟姉妹、そして父上の動きが遅くなっていた。



 シャンデリアが落ちた原因を探し、あたりを見渡すと、父上の豪華な豪華なゴテゴテに装飾された服の襟から、魔法陣が見えた。その瞬間体に電流が走ったような感覚がした。


「!?」


 

 あれは、洗脳の魔法陣。『肉体魔法精神操作系』の魔法だ……と思う。洗脳の魔法陣の効果は確か操作した相手の自我を完全になくし、自分の思うままに行動させる魔法……だ。



 だとしたら疑問なのだがなぜ相手は―――この時期に操作するといえばデュンしかいないが―――食堂の位置を知っていたのだろうか?確か食堂の位置は秘密なはず。


 

 そして、どうやって戦争で国王側が勝っていると情報操作をしたのだろうか。情報操作がう上手すぎて実際我輩も、講師の一人も、学者の一人も、乞食の一人も、気づかなかった。疑問は増えていくばかりだが、父上がゆっくりこちらを向いた時、鳥肌が立った。



―――あれとは関わりたくない。


 そして


―――危ない!


 そう我輩の本能は叫んだ。




 我輩はそのままあとさずり(もし我輩の推測通り、無意識に魔法が発動しているのなら超高速ムーン・●ォークに見えるはずだ)、ドアを引きちぎるように開けて一目散に走った。



 我輩は赤い絨毯が汚れて塵が舞うのも気にせず走った。時速50キロのスピードで走っているように感じるくらい走った。いや、周りの動きが遅くなっているのだから客観的に見たらその位のスピードは出ていたのかもしれない。


 何も考えていなかったのだと思う。雪崩れるように自分の部屋に駆け込み、先ほど荷造りした鞄を取ってから気づいた。


「そういえば、考えていなかったが……どうすればいいのだろうか」



 どうすればいいのかめちゃ頑張って考えた。小説の主人公ならここはどう動くのだろう?かの英雄みたいに臨機応変に対応するには……?考えすぎで沸騰するくらい考えた。きっと頭の中では超展開がなされているのだろう。



・正門からは出られない。きっとデュン側の兵がいる。


・部屋にこもる。きっとすぐに見つかる、食堂の場まで知られているのだから。


・抜け道から出る。もしも見つかったら袋の中の鼠だから避けたい。でも何も見つからなかった場合はこれしかないのかもしれない。


・隠れる。もしも見つかったら袋の中の鼠だから避けたい。でも何も見つからなかった場合はこれしかないの(以下略


・自首する


 だめだ、だめだめ。いい案が思い浮かばない。




 ぐずぐず考えていると何かが崩れる音がした。だめだ、早く考えないと、瓦礫の下がお墓になってしまう。そんなことはいやに決まっている。


「あ。」


 ひらめきの音がした。そう!移動魔法だ。我輩は天才なのかもしれない。


 だがしかし、最重要問題がある。……移動魔法はこれまで授業で一回も成功していないということだ。出来なかった場合は、上のどれかを試さなければいけないのかもしれない。



 でも、魔法を使うためには魔法回復薬を使わないと。



「回復薬、回復薬、どこだよ?!」


 この時ばかりは、我輩の部屋の汚さに後悔する。うぅあ、早くしないと!何かが崩れる音が大きくなっていく!しかも、時空魔法がかかっているので音自体はゆっくりなのが逆に恐怖心を煽る。


 涙が滲んで来た。……怖い。




 

「あったぁ!」


 しばらく探していたが、とうとう回復薬が見つかる。その蓋を開けると、ぐっと飲み干す。ぐだぐだしている暇なぞないからな!


 味は、子供用とあるだけに甘い(ブルーハワイ)だったが、逆「良薬は口に苦し」なのか回復量はあまり多くない。



 だが、ないよりはいいかと思い我輩は飲み干すと、教科書に書いてあった呪文を唱えた。


「移転【ムーブ】!!!」


 体が回転し始める。その風に目が痛くなって、目をギュッと閉じる。


「そういえば、鞄は?!」


 あっと思い、咄嗟にさっき探し物をしたときに置いた鞄を掴むと、次の瞬間にはすでに意識がブラックアウトしていた。

「」

返事がない、ただの屍のようだ。


――――

どうも筆者のParaDoXです。読んでくださりありがとうございます。

感想で情景描写を増やした方がいいとありましたので徐々に増やし、特に読み直すほどではないのですが今までのも改稿しようかなと思いました。

引き続き何かありましたら遠慮なく感想に書いてください。

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