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四凡  作者: 孤独
3/5

抑えとしてのマウンド

務めてからずっと先発だった北田。

立ち上がりから荒らされたマウンドと、1点だけ勝っているスコアボードに新たな投手の道を知った。

初めてセーブがつくマウンドに上がった北田。

わずかな投球練習でマウンドの高さと感触を実感。



「3アウトだけだ」



しかし、その3アウトをとるのがどれだけ難しいか分かっている。

北田はクォリティスタートこそ良いが、全盛期以降の完投数はシーズンで2回か1回がいいところだった。

勝ち星を消された光景を何度も見ている。

それが先発として悔しい思いをしているか良く分かっている。球団に無理をいって、抑えにしてもらったのだ。確かな結果が必要だった。



「ふぅー……」




この時。北田の頭には先発としての勢いを使おうとしていた。

初球からストライクを要求。強気にストレートをキャッチャーに指示させた。プレッシャーを長所で補おうと、プロで長くても抑えとして短さが出た。




渾身のストレートは確かに速かったが、コースは甘く。打者の得意なコースに向かった。





バキーーーーンンッ



「は、入ったーー!ストライクをとりにいった初球を狙ったーー!抑えに転向した北田に襲った一撃だーー!!」



ただの一球からこんなに巨大な罵声が飛び交うことと、スコアボードがまだ続いてしまうことに改めて野球の怖さと抑えの恐ろしさを知った。



「何してんだ北田!」

「一球で振り出しになったぞ!」

「どーしてくれるんだ!」



抑えとして、初登板のマウンドはものの見事に失敗。

プロとなってから最速の1敗でもあった。

失点はわずか2点である。残りの回を7回まで0ならば先発としての仕事はしただろう。しかし、1回だけでも失点は許されない役割が抑え。

また、この失敗はただ1人の責任。監督もコーチも、北田を戦犯として扱った。

初めてだからすいませんで済む、歳でもない。




「次からだな」



北田はこの1敗から10試合、先発の時にみせる安定感が復活して初セーブだけでなく、7セーブもあげるのだった。




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