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四凡  作者: 孤独
1/5

プロ野球生命1年から20年になった選手

「ピッチャー、……北田。背番号……」




高校、独立リーグを経て、プロ野球へとドラフト指名されてから早13年。

背負っている背番号よりも歳は上に到達した。



「北田。一点差だからな」

「スコアを見れば分かってる。後ろは任せるぜ」



プロ13年での勝利数は丁度150勝。あと50勝で名球会入りの200勝だ。



「北田ーー!今日も頼むぞ!」

「抑えろー!四凡王ーー!」



北田弘きただ ひろし 右投げ右打ち。プロ14年目。もう年齢は34歳に到達した。



「まさか俺が抑えをやっているとは、昔の俺だったら考えられないよな」



独立リーグでは先発投手。その頃の俺は甲子園の土も踏んだことのない、捻くれた野球選手だった。自慢なのはストレートのみ。速く、ノビのある球で空振りを奪う。絵に描いた速球派の投手。

しかし、ストレートだけではプロには届かないと伝えてくれた当時の監督は俺にコントロールと投球術、身体管理、変化球。ストレート以外の全てを教えてくれたと言っていい。




『お前はいずれプロで通用する。だが、どれくらい長い時間通用するかと言えば…………持って1年だろう』




独立リーグ時代に覚えた変化球は、カーブ、チェンジアップ、スライダー、縦スライダー、カットボール。

性には合わないと当時は思い、なんで5つも変化球を覚えなきゃいけないんだって。言い返した。



『別に試合中に全部使う必要はない。武器にする必要もない。お前のサイコーの球はストレートだ。ノビ、スピード、若ければそれで抑えられる』



教えるのがかなり上手かった。変化球なんて見よう見真似で投げたことはあったが、彼に本当の変化球を教わって本当の変化球を投げることができた。

カーブで空振りをとったり、チェンジアップ後に投げる渾身の速球で三振をとるという選択肢も生まれた。



『投手の基本はストレートだ。お前ならプロに入っても、制球を意識したストレートで十分だ』



コントロールについても、投手の肩や肘についても監督は教えてくれた。

高校までまともな指導者や仲間に出会ったことはなく、甲子園にも辿り着けなかった俺を本当にプロ入りまでさせてくれた大恩人だ。

今はその人の言葉を信じ、長くこのプロ生活をやることを目標としている。




カキー-ンッ



パンッッ



「アウト!ゲームセット!!」



北田 弘。

今日も元気に四凡でセーブをするのであった。


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