先輩
「お前が山下幸助だな」
「は、はぁ…」
なんだこいつ…って先輩か。
うち学園はネクタイの色が学年によって違うから一目でわかる。
ちなみに俺は赤の2年。
「先輩が俺なんかに用事っすか」
「あぁ。お前…アニメヲタクなんだってな」
「え…え、はい?」
俺が今まで必死に隠してきた事を何故この人は知っているんだ…
いや、それよりもなんで嬉しそうにしてるんだ。
頭の中がクエスチョンマークで埋まっている俺をおかまいなしに「ちょっときてくれ」と手を引っ張って引きずる。
「ちょっとなんですか?あなた誰ですか?」
「まぁいいからちょっとついてこいって」
それからは俺が何をいっても無視。
あっという間にかなりの距離をひきづられある部屋の前にたどり着いた。
「ここどこですか?」
1年通っているといってもまだまだ知らない教室が存在するわけで、ここもその一つのようだった。
「ここは文化部の部室棟だ」
「あぁ…どうりで…」
やっと離された手に安心してゆっくり辺りを見回して見る。
帰宅部俺には部室棟なんて縁のないところだ。
こんなところで文化部は活動してたのか…
「で、なんですか。部活の勧誘とかならお断りなんですけど」
俺は高校では部活はしないと決めてるんだ。
ヲタ活に支障がでてはいけないからな。
「いや、部活の勧誘ではない。部活のではな」
この人はさっきからわけのわからないことばかりいってなんなんだ。
早く帰って昨日録画していた深夜アニメが見たい。
「ようこそ。」
先輩がドアノブをゆっくり回すとそこは…
ヲタクの集団だった。