プロローグ二
プロローグ二
此処は死後の世界、裁判所待機室。
(まさか、こうもあっさり死ぬとはな……)
まわりを見わたすと顔面蒼白でまるで死んでいるかのような……っと言うか死んでたか。
ってこんな死者への冒涜ともとれるネタは止めて……、とにかく俺、更式成道は死んだ。
そして、この部屋で死後裁判を待っている訳だ。
「やっぱ閻魔って怖いのかね?」
更式は隣の顔面蒼白な醤油顔男に喋り掛ける。
「さあねぇ?会った事ねえし……ってお前顔色悪いぞ?ビビり過ぎじゃねえか?」
「それはお互い様だ。
と言うか周り良く見てみろ俺達含む全員が顔色悪いじゃねえか、死んだら全員こんな顔色ってことだろ?」
「ネタにマジレスとかwww」
「ウゼェ・・・・・・。
あっ、ちょっと質問だ高橋」
「なんだ?」
「なんでお前がここにいる?」
「そりゃあ、おめぇ…………死んだからよ?」
「いや、バスは前から突っ込んだだろ?前向かってに走ってた俺は兎も角、何で後部座席に居たお前がここにいんのよ?って言う話」
高橋は小さく「ああ、そうゆうこと」と言うと軽い調子で語り出した。
「なんつうかな、あん時バスが突っ込んだ後な、壁に突き刺さったバスが何故か道路を塞ぐ形で横向いたんだよ。
その後にな別の車がバス後部に突っ込で来て……そっから記憶ねえや」
つまり、こいつはバス衝突の被害者ではなく二次災害的に起こった衝突事故の被害者な訳か。
「……なんつうかお前不幸だな」
高橋は急に立ち上がったかと思うと頭を抱えて叫んだ。
「不幸だぁぁぁあ!!って叫べばいいのか?」
「もう十分叫んでるよ!って言うかお前どこの上○さん?!」
すぐにツッコミを返す。
我ながらに良い反応速度だと思う。
「そんなツッコミで大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない!
じゃねえよ!なんだ、このネタの応酬は権利者に怒られるぞ!!」
「ふっ」
高橋は急に横を向いて呆れたように鼻で笑い遠い目をする。
「更式よ……」
「な、なんだよ」
高橋はズイッと顔を近過ぎる程近付けてきた。
「ネタなんだから、バレても問題無いんですよ」
ガツーン!!
はい、高橋の頭にいいパンチはいりましたー。
「い、痛てぇ……」
高橋が頭を抑えて悶絶している。
「だからといって多用はダメだろ。多用は!」
そんなことをしているとドアが開いて無表情の女の人が紙を片手に待機室に入ってきた来た。
「次、整理番号568994の方~」
「お!俺の番か……高橋行ってくるぞ」
「い、いってらっさい」
高橋は頭を抑えたまま更式を見送る。
俺は重い腰をあげて女の方に歩き出す。
「では、ついて来てください」
女はそう無表情で言うと待機室の扉を閉めてカツッ……カツッ……と廊下を歩きだした。
廊下は長く造りは白を基調としておりどこかの神殿の様な柱と合わせると国会議事堂の外観が思い出される。
只、建物自体に貫禄があり長い間建っているのだなぁっと想えてくる。
しばらく歩くと大きな古い木のドアの前まで来た。
コン…コン……。
「568994番をお連れしました」
「おう、はいれ」
ドアの向こうから渋いおっさんのような声が聞こえた。
「失礼します」
女がドアを開けて中に入って行く、俺もそれに続いて部屋に入る。
ドアの向こうには裁判室が広がっていて、雰囲気はニュースでよく見る最高裁判所の絵の様な感じだ。
只、決定的に違うとすれば、裁判長席と被告人や証言者が立つ台位しか見当たらない事だろう、それ以外は机しかなく閻魔と1対1でしか死後裁判をやらないのだなと予想ができる。
「早く証言台に立て」
裁判長席には閻魔がいた。
閻魔は強持てでほりの深い……、なんとゆうか裏社会のおじさまって感じだ。
「では、これから死後裁判を開始する。
被告人 更式成道 十八歳、間違いないな?」
「は、はいっ!」
「そう固くならなくてもよい」
閻魔は手鏡を取り出してこちらに向けて言った。
「ではこの鏡を見よ」
そう言われて手鏡を見たが自分の顔が写るばかりで何が起こる訳でも無かった。
「もういいぞ」と言う一言とともに閻魔は手鏡を覗き込み始めた。
「うむ、浄瑠璃の鏡での判決は決した。被告人、更式成道は無罪とする……」
裁判終わるの早!って言うかあれって浄瑠璃の鏡だったんだ。ずっと浄瑠璃の鏡って姿見の形してると思ってた。
「だが、すまぬが更式よ」
「なんでしょう?」
「おぬしちょっと神の所に行ってくれんか?」
「え?」
「前におぬしのようなものが来たらちょっと連れて来てくれと頼まれてたのを思い出してなちょっと行ってきてはくれぬか?」
神様が俺に何の用があるのか気になったので閻魔様に聞いてみる。
「それは良いのですがどのような用か伺っては御座いませんか?」
「いや、聞いてはおらぬ。
だが、どうせろくでもない事だろうな」
なんか、不吉な事が聞こえた気がした。
「そうですか……。
ではどの様に神の元へ行くのですか?」
「そこは儂の転移の術を使わせてもらう」
「わかりました」
それを聞くと閻魔は指パッチンをした。すると、更式の足元に直径三メートル程の魔法陣が出来上がった。
テンプレで指パッチンと共に足元に落とし穴が開と思ったが違うようだ。
「では逝くぞ、そーい!」
「ちょ!?それ字違う!」
物騒極まりない言葉と共に更式は裁判室から姿を消した。