プロローグ一
プロローグ1
ここは高速道路を走っている夜行バスの車内。
時間も夜中の11時を回り。乗客が寝静まり始める時間であり。バス車内は寝息やいびきの音が目立ち始めている。
そんな中、最後尾の座席でポリポリ……とスティック状のお菓子を食べながら観光ガイドを黙々と読んでいる青年がいる。彼の名は更式成道と言う18歳の高校生である。
彼は夏休み中東京に行くためにこのバスに乗っている。目的は観光だ。
(東京何しよっかな~♪)
更式は鼻歌混じりに観光ガイドのページをペラペラとめくっていく。
「おい、後で俺にも見せろよ?」
隣の席の男が小声で更式に話しかける。
男の名は高橋直人中学生の頃からの友人で同じ高校に居る友人の中でもっとも古い人物だ。顔は醤油顔な中の上ぐらいのイケメンで黙っていたら多少なりとももてるだろう。
なぜ黙ってればなのかと言うと……。
「やっぱり東京着いたらまず。秋葉原いこうぜ」
そう、こいつヲタクなのだ。
こいつが自己紹介するとき大々的なアピールをせず。ああ、控え目なイケメンなんだな……。と思ったが話し掛けたらこいつの口からでたのは最近やっているアニメや定番のネタのオンパレード。
近くで話を聞いていた女子が引き、そこから噂が広がり中学二年生の一学期には早くもクラス公認のヲタの一人と化していた。
もちろん、その話について行けた俺含むクラスの男子八名もその中に含まれている。
「お前はそれ以外に行くとこねえのか」
「あるが、秋葉原ははずせない!」
高橋は小さい声で怒鳴るとゆう器用な事をしてみせた。
「怒鳴らんでもいいだろうに」
「いやー、熱くなったらつい……」
そんな時唐突に、グラッとバスが揺れた。
「おい、更式この揺れなんだ?」
「横風だろう?」
風が強い時の車とゆうものは横風で揺れる事が有り、それのせいで揺れたものだと思い更式はそう返した。
グラッ……グラッと未だバスは時々揺れ続ける。
しばらくしてその揺れがおかしい事に高橋は気づいた。最初、不定期だった揺れがどんどん定期的になり揺れと揺れの間が短くなってきたのだ。
「更式これ絶対風じゃねえって」
「ああ、ちょいと運転席の方みてくる」
「っておい」
そう言って更式が立ち上がった時に揺れが止まった。
すぐにバスの窓から外を見ると高速道路の壁がどんどんバスに迫ってくるではないか。
「やべえ!居眠りだ!」
バスの定期的な揺れた事を考えるとすぐに予想がついた。
すぐに更式は運転席に走る。だがそんな努力も虚しく高速道路の緩やかなカーブにバスが突っ込んだ。
……翌日、ニュースはある大事故を取り上げた。
その事故はバス一台とその後ろを走っていた乗用車三台を巻き込んだ大事故として紹介された。
死者十六名の名前の中に更式と高橋の名をのせて……。
12月29日バスの事故シーンの訂正