『一度蘇ってみませんか』おかしな少年とふしぎな女の子の物語
処女作です。
中坊なので稚拙な文章しか書けませんが、暖かく見守ってやっていただけるとありがたいです。
かなり短いです。
「一度蘇ってみませんか」
少年は一人町の中を練り歩く。
「一度蘇ってみませんか」
町の人は、この少年の頭はどうかしているのではないかと思った。
何をおかしなことを言っているのだ、私達は今生きている、蘇るなんてわけのわからない。
「一度蘇ってみませんか」
少年は優しい口調で、だが大きな声で続ける。
「今なら大サービス、七割引の3000Gで承ります」
町の人は思った。
そんなわけのわからないものに普段10000Gもの値をつけているのかと。
町の人は無視した。
それに少年は安堵する。
「次の町へ行こう」
少年は自分の馬車で次の町へ向かった。
◆
「一度蘇ってみませんか」
少年は次の町でも同じように言った。
この町の人も皆、この少年の頭はどうかしてしまっていると思った。
しかしその中で唯一、一人だけ違う反応を見せた者がいた。
少年より少し背の高い女の子だ。
女の子は少年に近寄って行くと、「本当に蘇られるの?」
と目を輝かせる。
「勿論です、さぁ、あちらに僕の馬車がありますから、行きましょう」
少年は少し真剣な顔つきになった。
◆
少年は女の子を馬車に乗せ、町から少し離れたところまで行く。
そしてそこで馬車をとめた。
「ここまで来れば儀式ができます、さぁ、降りてきて下さい」
女の子は少年の言ったとおりに馬車を降りる。
「早速始めてちょうだいな」
女の子は明るく言う。
だが少年は暗い顔だった。
「あなたは死人ですね」
女の子の顔が引きつった。
「何を言っているの?」
「厳密に言えば魂か」
女の子は逃げ出そうとした。
しかしあっさりと少年に捕まえられる。
「天に召されていただけますか」
女の子の顔は真っ青になった。
「蘇られるのではなかったのかしら?」
「そんなもの、あるわけないじゃないですか…あなた方死人を釣るための餌ですよ」
少年はニタ、と笑みを浮かべる。
「あなたは一体…」
「僕は“死人壊し”あなた方を狩る者です」
「嫌だ、私はまだここに残るの!あの時の男の子にお礼を言っていない」
女の子は目に涙を溜め、少年にこう訴えた。
「あの時の男の子…?」
少年は何か深い事情があるのかもしれないと思い、問うてみた。
「昔私の命を助けてくれた男の子よ…彼にその時のお礼ができれば、私はここに残る必要はなくなる」
少年はふむと唸る。
「ではその男の子を一緒に探しましょう、そうして男の子がみつかればあなたは天に召されてくださるのでしょう?」
少年はニコと微笑んだ。
「僕は世界を旅していますから、そのついでに…つまり、一緒に旅をしましょう」
女の子は泣いて赤くなった目で
「いいの…?」
と言った。
少年は女の子の手を取ると
「勿論ですとも!僕の名前はカル・エシア。新人死人壊しです…あなたは?」
女の子はニッコリと満面の笑みを浮かべ、自己紹介をする。
「ナヴ・タユラ…死人始めて二年になります!」
二人はお互い硬く握手を交わした。
「…では、行きましょうか!」
「「一度蘇ってみませんか」」
ご読了ありがとうございます。
続編は書くつもりですが、あえて短編にしました。
感想、アドバイス、お待ちしております。




