第二話 再会
目が覚めた。
いや、気がついたと言った方がいいかもしれない。
俺はあの時、猛スピードで降りてきた自転車と激突し、坂の上から落ち、地面に叩きつけられた。
その衝撃でどうやら気絶していたらしい。
まぁ、あんなところから落ちて地面に叩きつけられれば、大抵の人は気絶するだろうが。
「ここはどこだ…?」
俺が目を覚ましたそこは、激突現場の坂ではなく、ベッドの上だった。
ベッドの上と言っても、自分のものではない。
見知らぬ家のベッドだった。
どうやら、どこぞの親切な御方がご丁寧に俺を運んでくれたらしい。
事実、枕元には今日使う予定だった、筆記用具やら教科書やらが入った鞄が置いてあった。
体を起こす。
不思議と体が軽い。
よく見ると何故か俺の体には傷がなかった。
あの高さから落ちて地面に叩きつけられれば、擦り傷は勿論、骨の一つやや二つは持っていかれるだろう。
下手すればオタブツだ。
なのに擦り傷一つ無いとはどういう事だろう。
奇跡と思いたいが、まずそれは無いだろう。
「何でだ・・・?何で無傷なんだ・・・?」
俺が頭を抱えていると、
「あ、やっと気が付いたんですね」
部屋の向かいから声が聞こえた。
ガチャと音が聞こえ、ドアが開く。
中に人が入ってきた。
「あ・・・」
入ってきたのは先程の自転車で俺に降りてきた少女だった。
「まだ安静にしてなくちゃダメですよ?傷が開くかもしれないんですから」
「・・・あ、ああ」
驚きで声が出なかった。
「さっきはごめんなさい・・・止まらなくて・・・」
謝られた。
彼女は心底申し訳なさそうに下を向いた。
「あ、いや、別にいいよ。気にしてないから」
「ほんとですか?」
彼女は顔を上げた。
「・・・あ、ああ。ほんと全然気にしてないから」
俺がそういうと、彼女は安堵したのか、力が抜けたように座り込んだ。
「良かった・・・体で償えと言われたらどうしようかと思いました・・・」
「いやいやいや、まてまてぃ!誰がそんなこと言うか!どんな変態だよ!」
「そうなんですか?」
「そうだよ!普通は言わないよそんなこと!」
「おかしいですね・・・」
「おかしくないよ!誰だよそんなこと言ったの!」
15年生きてきたなかで一番強くつっこんだと思う。
なんというか…まぁぶっ飛びすぎだった。
さっきまでのシリアス風味の空気はどこにもない。
「・・・という冗談はさておき」
「冗談なのかい!」
「一つ、お願いがあります!」
「スルーしたな!スルーしたよな!・・・でお願いってなんだ?」
「あの…私と一緒に世界を滅ぼしませんか?」
「・・・はい?」
「私と一緒に世界を変えてみませんか?」
「・・・どゆこと?」
「私、異世界で魔王やってるんです」
「・・・え?」
朝、俺に激突してきた、名前もまだ聞いていない自転車少女は、異世界の魔王でした。
この先どうなるのやら。
今回も、変なところで終わってしまいましたが、仕様です。
出来としては、あまりよくないので、もしかしたら、少し編集するかもしれません。