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【俺だけ最強×復讐×溺愛】最強能力・闇の掃除人~正体を隠して無双しまくり、心の壊れたエルフを徹底的に甘やかす~  作者: 猫目少将@「即死モブ転生」書籍化
1 心を失った俺と、虐待エルフと。

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1-6 フィオナの敵を、圧倒的な力量差で瞬殺する

「このお方はなんでも掃除屋スクラッパーだとか」


 おほほほほっと、魔導士が高笑いした。中年男の口調とは思えない。


「戦闘力皆無なのに危険な現場に出向く毎日ですね。それなら勘も鋭くなるでしょう」

「用事は何だ。仕事の依頼なら、ギルドを通してくれ。通さず闇仕事すると、こっちが干されるからな」

「お前に用などない」


 勇者気取りの戦士が、片手剣の柄に手をかけた。


「そっちの女にある」


 ちらと横目で見ると、フィオナは馬上で縮こまり、震えていた。


「なんの案件かな。俺が代わりに聞いてやるよ」

「大したことじゃない。なに……命を置いていってもらえないかとな」

「殺したいのか……、このエルフを」


 後ろ指で、俺はフィオナを指差した。連中から視線を外さないよう注意しながら。


「この女は俺の奴隷、つまり財産だ。殺したいと言うなら買ってくれ。あんたらは、その後で勝手にすればいい」

「ああ買おう」


 すぐ返答してきた。


「百ドラクマ払う。新しいドラクマ金貨で、この場で」

「新しいドラクマ金貨は強奪された。ほとんど流通してないはずだ。つまりあんたらは……まあいいか」


 俺は、感心したふりをした。


「どちらにしろ信用できんな。無法区に百ドラクマ持ち込むなんて、自殺行為だ。なんなら一ドラクマで殺し合いが起こる場所だからな。馬鹿に見つかったら終わるぞ」

「……」


 ニンジャが視線を飛ばすと、回復魔導士が懐から革袋を取り出した。そのまま中身を、ざっと地面に撒いてみせる。


「百二十ドラクマある。すぐ渡してくれるなら、余りの二十もやる」

「こちらは現金を見せたんだ」


 長剣の戦士が口を挟んできた。


「今度はそっちが誠意を見せろ、掃除屋」

「こんな小汚い奴隷を、なんでそんなに高く買う。いくらエルフでも、相場の十倍だ。しかも……こいつは顔にまで傷がある。もちろん体中にも」


 連中の表情を見ながら、嘘を混ぜ込む。


「体ももう俺のものにしてある。手付きの奴隷だ。金持ちが道楽で買う女じゃない」

「なに、そういう用途じゃない」


 戦士はにやにや笑っている。


「ちょっと俺達が手を抜いてな。ほっておけば死ぬと思ってさ。だが……なんでか生きてやがる。どこの奴隷商人が拾ったんだか知らんが、余計なことを……」

「さあ掃除屋、金を受け取って消えろ。この女はもう味わったんだろ。中古が百二十ドラクマだ。大儲けじゃねえか」

「わかった」


 俺はゆっくり近づいた。思わぬ収入に大喜びしている馬鹿の顔を作って。もちろん手を腰にはやらず、武器を取っての戦闘を放棄した形で。


 連中は油断していた。俺が悪党の中でも底辺中の底辺、「掃除屋スクラッパー」装備だったからだ。万一俺がやけくそで飛びかかっても、一対一でも冒険者には負けると踏んで。ましてや連中は、攻守バランスの取れた四人パーティーだ。


 だが……。


 だがこいつは、ただの掃除屋カッターではない。


 地面の金貨を拾う体で腰を屈めた瞬間、カッターを抜き放って俺は、魔導士の両脚を真横に切断した。膝の下から。


「ぎゃああああーっ!」


 絶叫が響き渡る。神経を操作して最大の苦痛を与えたから、回復魔法を撃つどころじゃないだろう。そのままジャンプすると、片手剣を抜いた戦士の腕を、上から切断した。噴き出した血が、白い地面に赤いしぶきを散らす。


 我に返った重戦士が背中の両手持ち大剣を抜き放った。


「てめえっ」


 突進してくる。トロールのように。


「それはこっちのセリフだ。お前らだったんだな、フィオナをこんなにしたのはっ!」


 振り下ろされた大剣を、カッターナイフで受ける。──と、鋼鉄の太い剣の刃は、うっすいカッターナイフで真っ二つにされた。


「なにっ!」


 あり得ない展開に、重戦士が絶叫する。俺がナイフで横になぐと、信じられないといった表情のまま切断された頭が、地面に転がり落ちた。いがらっぽい土煙が上がる。カッターナイフの刃先には肉どころか、血の一滴もついていない。


「ちっ!」


 俺を気にせずフィオナに向かい、敏捷なニンジャが突進していた。


 カッターナイフを投げ捨て鞭を振り抜く。触手のように鞭が延びる。十メートルほどにも。カミソリで斬られたかのように、鞭手の触れた四肢が分断された。


「ぬ、ぬぬぬぬぬっ」


 痛覚耐性の高いニンジャらしく、悲鳴は上げない。


「たいしたもんだな。さすがはニンジャだ」

「お……お前は……だ、誰だ。こんな技も武器も……見たことがない」

「ただの掃除屋スクラッパーさ。あんたを処理対象スクラップに追加する」

「見逃してくれ。いや、仲間に入ってくれ。お前は桁違いだ。お前の力があれば、王都の闇社会でトップに仕えられるぞ……くそっ痛えっ」

「ニンジャの痛覚遮断も、そろそろ限界か。なら情けをかけてやる。痛みから解放されて地獄に落ちるといい」

「保証する。お前は世界一だ。俺は使いっ走りになってもいい。だから──」


 流木のように転がったままのニンジャにもうひと振りしてやると、瞬時に体が全部分解され、粉となって消えた。


「……」


 苦しがっている戦士にもとどめを刺し、重戦士の死体もろとも清掃(消去)する。


「さて……」


 横になり、脚を押さえたまま悶絶している魔導士のもとへと、俺は進んだ。なんとか止血しようと、魔導ローブで膝下を縛ろうとしていた。


「苦痛のせいで治癒魔法を出せないとは情けないな、おっさん」

「ほっといてっ」


 毒づくと、唾を飛ばしてくる。


「教えてもらおうか。なぜフィオナを傷付けた」

「わたくしたちではない。ただ……始末を頼まれただけで」

「拷問した奴は別……か」


 チラ見すると、フィオナは馬上で震えたままだ。


「エルフを拷問した。つまり一時は自由にいたぶることができたんだ。圧倒的な戦闘力があったはず。お前らなんかに始末を頼まず、そいつが殺せばよかったじゃないか」

「こ……この子は特別なの。殺せば呪われる」

「ほう。だから拷問者はお前らに始末を任せたんだな」

「痛いいっ!」

「で、請けたがいいが、お前らも呪いが怖くなったと。だから廃棄物処理場のヤバい場所に放置した。放っておけば死ぬから」


 なるほど、色々わかってきた。とはいえ「殺すと呪われるエルフ」なんて、聞いたことがない。


「い、痛い」

「殺さずに逃してやってもいい。仕事に失敗し秘密も知っているお前はどうせ、発注者に追われる。王都から逃げるしかないからな。俺達にはもう危害を加えない。違うか」

「そ……そうです。は、早く助……けて。掃除屋……様」


 情けない野郎だ。


「も、もしやあなたさまは底辺掃除屋などではなく……伝説の……真──」

「それより聞かせてもらおう。なぜフィオナが特別なのか。あと拷問した奴の名前。どうして拷問したのか。もしかして……ベルナルドか、『嘆きの塔』の」


 昨日の晩、フィオナが寝言でその名を呼んでいた。


「違う。もっと上の……ぐはっ!」


 突然、目が裏返り、白目になった。自動的に……といった様子で口が大きく開く。と、そこから大量の内蔵が吐き出されてきた。飯を吐いたんじゃない。こいつの内臓が、裏返って出てきているんだ。


「ほう……」


 飛び退いた俺は、内臓が全部引きずり出されるのを見ていた。もちろん魔導士は、とっくに絶命している。


「『仕掛け』が施されてやがる。こいつは陰謀の臭いがするぜ」


 フィオナはどうやら、とてつもなく厄介な陰謀に巻き込まれているようだ。


「だが、まあいいか」


 秒で魔導士の体を分解した。跡形もなく。


「タダ働きの掃除スクラップ完了。ついでに、フィオナの復讐も果たした。まだ『入り口』だけだが」


 手を上げると、レイヴンはこつこつと蹄音を響かせて寄ってきた。


「フィオナ、お前を攫った一味だ。もう死んだ。安心しろ」


 レイヴンから、ひらりと飛び降りてきた。身軽なエルフだけある。一日で、それなりに回復はしたか。さすがはコレットの治癒能力だ。まあ……顔や体の傷は消えそうもないが。多分……永遠に。


「ゼノ……」


 抱き着いてきた。震えている。安心させるよう、そっと抱いてやると、背中を撫でる。


「心配するな、フィオナ。俺がお前を守ってやる。そして癒やしてやる。お前の心と体の傷が消える、その日まで」

「ゼノ……でもこの傷……多分……ずっと消えない」

「消える日まで癒やしてやると言っただろ、フィオナ」

「それって……永遠にって……こと?」


 フィオナの瞳に、涙が浮いた。次から次へと溢れてくる涙が、俺とフィオナのシャツに染みを作っていく。


 震えるエルフの体は温かかった。あの日の……エリスのように。


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