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【俺だけ最強×復讐×溺愛】最強能力・闇の掃除人~正体を隠して無双しまくり、心の壊れたエルフを徹底的に甘やかす~  作者: 猫目少将@「即死モブ転生」書籍化
1 心を失った俺と、虐待エルフと。

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1-5 王立鑑定士ルナの疑念

「王立鑑定士……か、場違いだな」


 普通は王宮内部か、貴族の館が立ち並ぶ一角にある鑑定士ギルドに詰めている。一般区、ましてや無法区に姿を現すなんてことはない。


「上級国民が、なんでこんな治安の悪い場所に突っ立ってるんだ。そのバッヂ色、王都に数人しかいない、特級鑑定士だよな」

「あなた、掃除屋スクラッパーでしょ」

「さあね」

「そう聞いているわ。評判も」

「なら尋ねる必要ないよな、最初から」

「それは……ごめんなさい」


 素直に謝ってきた。上級国民にしては、性格が捻じ曲がってはいない。


「で、用件は。俺を探してたんだろ」

「とある案件で、事件現場の残留魔力鑑定を頼まれた。そこで……強い力を感じた」

「……」

「そう。全部、あなたが『掃除』した現場よ」

「どこの現場だか知らないが、俺が犯罪を犯したわけじゃない。俺は……ただ片付けるだけ。その残留なんとかは、殺した奴か殺された奴だかの力だろ。俺も感じることがある」

「嘘よ。あなたは……強い力を持っている。王都……いえ王国、もしかしたら人類最強の。仕官すれば騎士団トップにだってなれるはず。地位も名誉も思うがままよ。わかっているはず。それを隠して、底辺で掃除屋をしている理由はなに」

「あんたはなにか誤解してるな。ご指摘のとおり、俺は底辺だ。それだけに丁寧に仕事をしないと、干されちまうからな。肉片ひとつだって残さない。それをあんたが勘違いしてるだけさ」

「……」


 瞳が揺れた。どうやら、確信はないらしい。それなら助かる。悪党以外は殺したくないからな。


「百歩譲って仮に俺が力を持っているとして、隠す理由がどこにある」

「それは……その」


 言葉に詰まった。


「た……ただ強いなら、頼みたい案件が……」

「まあ……俺に仕事を頼みたいなら、グレンを通せ」

「と……通せない案件の場合は?」

「それは……」


 じっと、俺の返事を待っている。澄んだ瞳で。どうやらからかっているわけではなさそうだ。


「そのときは話を聞いてやる。俺を探せ」

「そうするわ。……ところで」


 フィオナに視線を移す。


「かわいそうに。こんなに傷だらけで。顔の傷だって、まだ開いてるじゃない」


 視線を受けるとフィオナは、俺の背中に隠れてしまった。


「どうやら、あなたが傷付けたのではないようね」

「……」


 俺は黙っていた。フィオナが訳ありである以上、知らん奴に情報を与えると危険だ。


「それに……それ」


 ペンダントトップとして胸で輝くフィオナの指輪を、目ざとく見つけた。


「それ……エルフの……」

「エルフだからな。祖霊の指輪だ。持ってて悪いか」

「いえ……ただ……その……」


 口ごもった。


「どうして……奴隷なんかに」

「俺が買ったんだ。カスみてえな、流れ者の商人から」

「そう……」


 なぜか、俺とフィオナの手を、両手に取ってきた。隠れながらもフィオナは、黙って手を取らせている。


「頑張って。いつの……日か……」


 くるっと転回すると、すたすた歩み去る。


「なんだ、あいつ……」


 だがどうにも、居心地が悪い。王立ギルドが俺の痕跡を嗅ぎ回っているんだとすると、これまで以上に力を隠し、用心したほうがいいかもしれない。でないとまた……。


 俺の脳内を、苦痛が駆け巡った。


 また……あの……。


「……ゼノ」


 フィオナが、後ろから俺の胸に腕を回してきた。初めて俺の名を呼び、抱き締めるかのように。


「俺の名前、覚えたのか」

「……」


 フィオナは頷いた。俺の背中に頬を寄せながら。


        ◇     ◇     ◇


 ルナとかいう特級鑑定士に呼び止められた、闇ギルドからの帰り。俺は回り道した。一直線に「竜の喉笛亭」には向かわず。無法区の、しかも外れのヤバいほうへと。レイヴンをわざと、ゆっくり歩ませて。


「……」


 馬上で俺に後ろから抱かれたまま、不安そうにフィオナが振り返る。


「気にするな、フィオナ。……もう少しだ」

「……」


 少し強く抱いてやると、安心したかのように俺に背を預けてきた。


「……」


 無法区の外れ。焼け焦げた樹木ばかりが立ち並ぶ一角に、俺は馬を乗り入れた。元々は王都の背後を守る霊峰があった場所。八年前に地下で魔導マナのマグマが破局爆発し、高い山が全て吹っ飛び消え去った地帯だ。


 女をさらって空き家に監禁する厄介な連中でさえ、ここには近寄らない。強力な闇魔導マナで土地が侵されていて、長居すると危険なためだ。


 公式には、破局爆発の被害者はいない。たしかにまともな領民の被害者はいなかった。だが裏は違う。悪党が大量に吹き飛んだ。俺の力が暴走し、最愛のエリスが命を失った現場だ。それを知る者は、ひとりもいない。


 この場所は大嫌いだ。辛い記憶に、心が潰れそうになるから。だが今は、そうも言っていられない。


「……」


 黙ったまま、馬を降りる。


「フィオナ、お前は鞍に移れ。なにかあったら逃げろ。レイヴンが勝手に、オルクスの下宿へと連れて帰ってくれる」

「……ゼノ」

「心配するな。少し離れていろ」

「う……ん」


 フィオナが馬を脇に寄せると、俺は背後を振り返った。


「お前らっ」


 誰も見えない廃墟に、大声で呼びかける。


「俺になにか用があるんだろ」

「ちっ……気づいていやがったのか」


 四人の男が、物陰から姿を現した。


「勘の鋭い野郎だぜ」


 ただのチンピラではない。両手持ちの重戦士、片手持ちの戦士、即死スキル持ち短剣のニンジャ、回復ローブ姿の魔導士。──つまりしっかりした魔物討伐パーティー、それも直接攻撃主体の奴らだ。つまり……街路での対人戦に最適化されているとも言える。


「命が惜しかったら、俺達の言う事を聞いてもらおうか」


 獣戦士が腕を組むと、重い鎧が金属音を発した。

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