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私に片想いをする枢機卿様は胸がお気に入り?

※セクハラ注意←

 笛路作品なので、許して(土下座)

 _(´・ω・`_)rz




 ◇◇◇◇◇




「やぁ、おはよう。メルティ、今日も元気そうだね。弾けるような胸が素敵だよ」

「……おはようございます」


 枢機卿であるルシアーノ様は、毎朝必ず礼拝堂に来られます。そして下働きをしている私たち全員に挨拶して下さるのですが……。なぜか、私の胸を異様に褒めてから執務に向かわれます。

 ルシアーノ様は私に片想いをしていると公言されているのですが、私にというよりは、『私の胸に』片想いだと思うのです。


 


 彼――ルシアーノ様は、二八歳という若さで聖女教会の教皇補佐にまで上り詰めました。頭の回転がとても早く、どんなトラブルも解決してきため、教皇の信頼がとても厚いです。

 また、人当たりが柔らかく丁寧で、見た目も恐ろしく良いため、かなりのご令嬢たちが妻の座を狙っています。


「ルシアーノ様、ほんとメルティの胸しか見てないわよね。私たちの胸と何が違うのかしら?」

「どちらかといえば私のお胸のほうが大きくなくて?」

「確かに、そうですわね」

「……」


 気まず過ぎます。

 

 聖女教会で下働きを始めたのは三年前。

 両親が亡くなり、翌年には成人する私が幼い弟と妹を支えねばと町の食堂で昼夜を通して必死に働いていましたら、ルシアーノ様より教会で働かないかと誘われました。

 いまは弟妹と共に、教会内にある家族用の部屋に住まわせてもらえています。

 

「メルティがいい子だから、なんのいじめにも発展しませんが、ルシアーノ様ももう少しお声掛けに気を付けられればいいのに」

「「そうなのよねぇ」」


 そうなんです。

 教会で働きだして一年経った頃から、ルシアーノ様が急に私の胸に言及されるようになりました。

 

 砂糖菓子のように甘そうな胸だ、とか。

 揉んだらどれだけ柔らかいだろうか、とか。

 顔を埋めて窒息したい、だとか。

 ちょっとその場でジャンプして揺らしてくれ、とか。


 完全にセクハラです。


「ほらほら、おしゃべりしてないで。清掃を終わらせますよ」

「「はい、聖女様」」


 老齢の聖女様が優しく微笑みながら、パンパンと手を叩いて掃除を再開するよう告げました。

 優しい聖女様。

 六〇年前の幼い頃に教会から選出され、教会の顔として様々な活動をされて来られました。


 その活動のおかげで、親を亡くした子どもたちが保護されるようになりました。

 病の家族を抱えた家庭に、助けの手が差し伸ばされるようになりました。

 家庭内暴力に耐えていた人々が救い出されるようになりました。

 医者が見放した重篤な患者を受け入れ、最後まで付き添われ、看取られます。


 人の命は尊いものだと、人々に伝え続けて来られました。

 私は聖女様を心より尊敬しています。


「メルティ……もう少し、もう少しの間だけ、我慢してあげてちょうだいね。あの子もあの子で大変なの」

「聖女様。はい――――」


 毎回ちょっと驚いてしまいはするものの、教会に来るよう声掛けしていただいた事もあり、感謝の気持ちしかありません。

 

「大丈夫です。迫って来られたら、顔面グーパンします!」


 食堂の夜は酔っ払いが大量発生します。

 そういう店では無かったのでお触り禁止です。店主より全力でシバいて良いと許可が出ていました。

 尊敬する聖女様さえ許可してくだされば、右拳をルシアーノ様の顔面に捩じ込んでみせます。


「…………ほどほどにね?」


 まさかの許可が出ました!

 

 でもまぁ、ルシアーノ様は言うだけなので、捩じ込む機会はなさそうです。




 ◆◆◆◆◆




「何なんですか、この呪いのような神託は……」


 聖女様に何度も訴えても苦笑いされるだけだった。

 この世界には女神が干渉している。

 それは、聖女・教皇・枢機卿たちのみが知る事実。


 そして、聖女を選出するのは枢機卿の誰か。

 聖女を選出した枢機卿が教皇になる。

 

「恋をした相手が聖女になるなど、聞いてません」

「どの枢機卿が恋をして、どの枢機卿の恋が女神様に気に入られるか分からないもの……」


 苦笑いのまま、更に続けられた言葉に絶望を抱いた。


「メルティには不用意に触れないようにね? 顔面に右拳を捩じ込むって意気込んでたわ」


 メルティ…………町の食堂に立ち寄ったときに知り合い、生い立ちを知り、保護した娘。

 つらい環境にいたのに全く悟らせず、天真爛漫な笑顔で周りを明るく照らしていた、太陽のような娘。


「ただ、淡く、想っていただけなのに」


『メルティが次の聖女です。口説き落としなさい』


 ある日の朝、目覚めとともに脳内に響いた声。

 初めは妄想かと思った。

 

「やぁおはようメルティ。今日も――――柔らかそうで揉み心地が良さそうな胸だ――――!?」


 今日も明るい笑顔だね、と言おうとしたはずなのに。口から出たのは恐ろしいほどに卑猥な褒め言葉。そもそも褒め言葉なのか?

 あの瞬間の得も言われぬ空気は、思い出しただけでも未だに背筋が凍る。


 必死に言い訳し、メルティに片想いしていると公言する羽目になり、軽く引かれ気味の今に至る。

 女神は手っ取り早くブチュッとカマせとか、揉んでしまえとか、訳のわからない神託を脳内に送り込んでくる。


 聖女様に曰く、異世界の読み物にハマっているのだとか。


 ――――女神は暇なのか?


「とにかく! 我慢よ! 我慢っ!」

「言われなくても、分かっていますよっ!」




 ◇◆◇◆◇

 



「あぁん、もぉ。二人とも自制心が強すぎるわぁ」

「めがみさま、おあそびがすぎますよ」

「だって、可愛いじゃない! 溺愛の未来が見えてるのに、二人ともモジモジして、前に進まないんだものぉ」


 可愛い可愛い私の信徒。

 可愛い可愛い私の子どもたち。

 みんな、幸せになって欲しいわぁ。


「めがみさまが、いちばんあしをひっぱっているように、みえますが?」

「何言ってるのよぉ」


 横でやんや煩い天使の頬を人差し指でツンツン突きながら、今日もルシアーノに神託を降した。


 さぁ、愛しい子たち、愛を育み幸せになりなさい!




 ―― fin ――




閲覧ありがとうございますm(_ _)m

まぁまぁにセクハラですみましぇんっ!


あの、えっと……ブクマとかしてもらえるとモチベになりますです、はい、すみませんです。

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