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ACT・4

挿絵(By みてみん)


    ACT・4(火の妖精(イフリィト)


「ちょっと出かけてくるよ」

 自分で歩けぬほど衰弱した少年を抱えて、リオは散歩にでも行く様な口調で言う。

 リュシアの意識は深奥に戻っているので、その双眸は漆黒。

「どこへ行かれるのですか?」

 畑にいた人々の間から、サファイアブルーの髪をもつ青年が歩み出てきた。

「ファルスの里」

「…結界の外ではありませんか…!」

 あっさり答えるリオとは対称的に、青年は声を震わせた。

 背後で他の人々もざわめき、それぞれ顔を見合わせる。

 1ヶ月ほどの間に転生者の少年は彼等にとって希望をもたらす存在となり、最初のうちは遠巻きにして様子を見ていた人々も今では共に笑い合えるようになっていた。

「ここ以外の地域は、いつ魔物に襲われるか分からない危険な場所なんですよ。それでも行かれるのですか?」

 リオを崇拝する若者は、紫水晶を思わせる瞳で、まっすぐに見据えてくる。

 まるで自分が責められている様な気がしたのか、貧弱な少年が悲し気に目を伏せた。

「オルジェ」

 痩せた少年を抱えたまま、リオは青年の名を呼んだ。

「僕を誰の生まれ変わりだと思ってる?」

 珍しく強気な口調…

 その漆黒の瞳が瑠璃色に変わる時、大きな力が発現する事を、オルジェは知っていた。

「大丈夫、僕は魔物に襲われたりしない」

 青年の瞳をしっかりと見つめ、リオは言う。

「ファルスの里で為すべき事を済ませたら、すぐに帰るよ」

 軽い用事で出かけるかのような明るい声は、人を安堵させる力をもっている。

 澄んだ黒い瞳に浮かぶ、柔らかな笑み…

 初めは恐れられていたその瞳の色は、今はもう受け入れられていた。

「…分かりました。気をつけて…」

 一度決めたら簡単には変わらぬ強い意思…

 リオの本質を知る前世の幼馴染みは、微かな溜め息をつくと一礼する。

 他の人々も青年に倣い、一様に頭を下げて見送る意を示した。

 人の輪の中心に立つ少年は、周囲に視線を巡らせそれを確認すると、青く広がる天空に目を向ける。

「風の妖精、僕に翼を貸して」

 高校生にしては透明感のある声で、リオは呼び掛けた。

 その声に応えて、柔らかな風が短い黒髪を揺らし、澄んだ空から染み出す様に、羽根のある小人たちが降りてくる…

「ファルスの里へ行くんだね?」

「僕たちはいつでも貴方の翼になるよ」

 友である少年の周囲に集まると、妖精達は鈴の音を思わせる高い声で言った。

「…どうしてそれを?」

 まだ彼等には言っていないのに…と、目を丸くするリオに、風の妖精達は微笑むとこう告げる。

「たとえ、この容姿をしてなくても、大気はいつもエルティシアに満ちているわ」

 少女の姿をした妖精が、両手を広げて言う。

「呼吸一つからも、風は生まれるんだよ」

 肩に乗るのは、透き通った羽根をもつ少年。

「私たちは、いつも貴方と共に在るのです」

 白い髪と髭をもつ小さな老人が、ふわりと目の高さに移動して言った。

「…そっか。じゃあ、頼むよ」

 人なつっこい笑顔で応えると、リオは言う。

 妖精たちの小さな手が二人の少年に触れ、風のヴェールがそっとその身体を持ち上げる。

「リオ様!」

 足裏が地面から少し浮き上がった時、高く澄んだ少女の声が、それを引き止めた。

「これをお持ち下さい」

 人垣を押し分けて進み出てきたのは、白金色の髪と勿忘草色の瞳をもつ少女。

「…ミーナ?」

「お護りです…。子供の頃、これのおかげで私は助かりました」

 キョトンとするリオの首に、心と身体の傷を癒された乙女は、青瑪瑙に似た涙形の石が付いた金鎖をかけた。

「…それ…お母さんの形見じゃ…」

 斜め後ろで、オルジェがぼそぼそ声で言う。

 五歳ほど離れているが、彼は彼女とも幼馴染みであった。

「いいの」

 線の細い少女は、儚い印象を与える笑みを青年へと向ける。

 それから、その笑顔をリオへと戻した。

「…魔除けなんて、聖者様には必要ないかも知れませんけれど…持っていてほしいんです」


 身を案じてくれる、控え目ながらも一途な想い…。


「…ありがとう」

 それを感じ取り、リオは照れながらも素直に笑みを返した。

 …そして、聖者と呼ばれる少年は、助けを求めてきた少年を抱えたまま、上空へと浮かび上がる。

「じゃ、行ってくるよ」

 登校時の様に気軽な声が、頭上から降り…

 畑に残された二十名ほどの人々に見送られ、風の翼を得た少年は青く澄んだ空を飛び去って行った。


 白夜の太陽光と巨大な地割れに守られる聖域の外は、青空だけが唯一の救いに過ぎない、広大な砂漠が広がっている。

「見て」

 リオの肩に触れている妖精の少女が、眼下を指差した。

「水の妖精が清められたから、大地が潤い始めているわ」

 言われて目をこらすと、砂色の地表にポツポツと小さな染みの様な若緑色をした部分が見える。

 更に南へ進むと、彼方に枯れ草の茂みに似た茶色の塊が見えてきた。

「あれが…ファルスの森…です…」

 骨張った手でそれを指し示し、金茶色の髪をした少年が途切れ途切れに言う。

 茶色の長衣を纏った身体は、死人のように冷たい。

(…治癒の力が効かない…何故?)

 頭を胸に凭せ掛ける様にして抱かれている少年をちらりと眺め、リオは眉を寄せた。

 青ざめた顔や関節の浮き出た手足が痛々しくて、先刻から何度も念じているけれど、衰弱した身体は一向に回復しない。

 さりげなく手首の脈を調べると、不規則で弱々しく、時折フッと途切れたりしてヒヤリとした。

 呼吸は、眠っている者よりずっと遅い。

 息を吸ってから吐くまで、あまりに時間がかかるので、この少年は本当に息をしているのかと疑ってしまいそうになった。

 体温に関してはよく判らない。

 鷹の状態で飛翔してきた直後からずっと冷たいままなので、健康な時は温かいのかどうかは不明…

 エルティシアに来てから日数が経ち、随分自分の中にある「力」を自由に使えるようになったリオだが、鷹から変化したこの少年を全く癒す事が出来なかった。

 頼みの綱であるリュシアの意識も、何やら思案しているらしく、表面に出てこない。

(…こいつ一人回復させられないのに…僕が何の助けになるっていうんだ…?)

 伏し目がちな黒い瞳が、微かに揺れる。

 オルジェ達の前では強気なふりをしたが、実際のところ自信は無かった。

 育った環境の違いか、リオは前世ほど強い意思をもっていない。

 …ただ、助けを求められれば精一杯の事をしようという気持ちは共通で、だから今彼はファルスの里を目指している。

「…あそこへ…降りて…」

 茶色の塊が、荒野に在る立ち枯れの森だと分かる所まで近付くと、リオに抱かれた少年が、また途切れがちに言って、その中央部を指差した。

「分かった」

 妖精の友である少年が頷くと、風は向きを変え、地上へと下降し始める。

 密集した枯れ木が次第に近付き、乾いた枝先が僅かな風にパラパラと砕け散る。

 やがて、森の中央に在る石造りの家々が、少年たちの視界に姿を現した。

(エレアヌが言ってた廃墟って…これか…?)

 ふわりと地面に降り立つと、リオは周囲を見回す。

 …半ば崩れかけた、民家らしき建物…

 木戸が腐って崩れ落ちた入口から中を覗いても、人影は無い。

 埃だらけの鍋や食器が転がる床には、無数の足跡が残っているが、それは殆どが人間のものではなかった。

「リオ!」

 妖精の一人が叫んだので背後を振り返ると、木々の間から様々な動物達がノソノソと姿を現した。

 茶色の角をもつ鹿に似たもの、灰色のたてがみをもつ狼に似たもの…リオにとって、動物園でしか見た事の無い獣たち。

 彼等は一様に身体が大きく、栗鼠やウサギに似た白い生き物でさえ、リオよりも一回り背丈が上である。

 …と、ふいにその姿が霞み、鷹が分解した時の如く細かな粒子となり、集結した時には二十名ほどの人々に変わっていた。

 リオは息を飲んだ。


 …半人半獣…


 エレアヌの言葉が、耳の奥で蘇る。

 人化した者たちの髪や瞳の色は獣であった時と同じで、纏う衣服はくすんだ色の長衣。

「…アーヴ様…」

 人々の中から灰色の髪をした男が進み出て、嗄れた声で呼び掛ける。

「スエッグ…」

 抱えられたまま、金茶色の髪をもつ少年がやっと聞き取れる声で応えた。

「…お連れしたよ…聖なる人…を…」

 そこまで言うと、華奢な少年は微かな笑みを浮かべ、使命を遂げた安堵ゆえかフッと意識を手放した。

 糸が切れた人形の如くがくんと仰け反る身体を、ギョッとしたリオが揺すったが、少年は何の反応も示さなかった。

 向かいに立つ人々が急にザワつき、一人が手近な家へと駆け込んでゆく。

 そして、何か薬らしき液体が入った小瓶を手に走ってくると、力なく下がる頭を片手で支え、その口に含ませた。

 癒しの力が効かないため、リオは為す術もなく、弛緩した細い身体を抱いたまま、その様子を見ている事しか出来ない。

 半透明な緑色の水薬を喉へと流し込まれ、少年はゆっくりと目を開けた。

「…ありがとう。もう、歩けますから…」

 言われて、リオがそっと降ろしてやると、茶色の長衣の裾から出ている細い二本の足は、ふらつく事なく地面を踏んだ。

「…今のは…?」

 小瓶を家の中に戻しに行く若い男を見送り、自分より頭一つ背が低い少年に視線を戻すと、リオは問う。

「命を繋ぐ薬です。僕の身体は、これでしか回復しません…」

 今までとは違い、はっきりとした口調で、か細い少年は答えた。

「…気になさらないで下さい。それよりも、ファルスの民の事…お願いします…」

 顔色は青白いままだが、具合は悪くはないらしい。

「貴方が…我等を救って下さるのですね…」

 その様子を見ていた、スエッグと呼ばれた初老の男は、灰色の瞳を少年より高い位置にある、リオの顔へと向ける。

 漆黒の髪と瞳を目にしても、ファルスの民は怯える様子がなく、茶色や金色の双眸は、穏やかに二人の少年を見詰めていた。

 年若い者が多いにも関わらず、彼等の瞳は皆、永い時を生きる老人の様に静かな雰囲気を漂わせている。

「事情を、話してもらえるかな?」

「…はい…」

 リオの言葉に応じて、人々の代表格であるらしいスエッグは、昔語りを聞かせるような口調で話し始めた。


「…私達の里は、チヒロの都よりも遥か以前、魔物の襲撃を受けました…。森の木々は枯れ、鳥も獣も滅び、民もひどい怪我をしたのですが、丁度里に来ておられた方から不死の霊薬(フィアルス)と呼ばれる秘薬を頂いて、一命を取り止めたのです…」

 そこで彼は言葉を切り、目を伏せる。

 横に立つ少年も、同様に沈黙していた。

 不死の霊薬(フィアルス)というのが、先刻見た水薬だと理解し、リオは視線で続きを促した。

「…ところが、彼が去った直後、民の身体に異変が生じ、全員が人外のものに変化する様になったのです。…中には正気を失い、人間に戻れなくなった者もいます…」

「正気を?」

 リオは人々の間に視線を巡らせた。

 けれど、彼等に狂気は感じられない。

「…発狂した者は、今ここにはおりません」

 彼の疑問を察して、スエッグが言った。

 それから、物静かな老人は語る。

「…一ヶ月ほど前、北の空が青く輝いた時、アーヴ様はおっしゃいました『あれはすべてを救う方の光だ』と…。そして、私達の中で唯一の鳥に変化し旅立たれ、今こうして貴方を連れて戻られた…」

「…アーヴ様…?」

 リオは傍らに立つ小柄な少年に目を向けた。

(そういえばさっき、こいつはそう呼ばれていたっけ…)

 そんな心の呟きを読み取ったのか、金茶色の髪をもつ少年はニコリと微笑む。

「名乗るのが遅れてしまいましたけど、僕はファルスの里長・アーヴ=フォシールといいます」

 血の気の無い顔に浮かぶ笑みは儚く、脆い印象を与えた。

 余命幾何もない様に思える、病弱な雰囲気。

 自力で立てるようになったとはいえ、その身体は相変わらず痩せ細ったままで、とても健康とは思えなかった。

「貴方をお連れしたわけを話します…一緒に来ていただけますか…?」

 その言葉にリオが頷くと、琥珀色の髪と瞳をもつ少年は、先に立って歩き出した。

 枯れた木々の向こうに去ってゆく二人を、獣の姿に変化してゆく人々が見送る。

 二十対もの澄んだ瞳は、枝ごしに注がれる陽光を反射して、滑らかな水面の様に光っていた。


「…遂に来てくれた…聖なる者が…」

 暗闇の中に漏れる、掠れた呟き。

「…やっと…私も彼等も戻れる…」

 姿は見えない。声だけが虚無の空間に響いている。

「…さあ…救い出してくれ…輪の中へ…!」

 黒い闇の中で、仄かな紅い光が揺れた。


「え…?」

 リオは、ふと背後を振り返った。

「どうかしましたか?」

 突然立ち止まり、何かを探すようにキョロキョロする彼を見て、アーヴも歩みを止め、首を傾げる。

「…今…誰かの声が…」

 そう言ったものの、二人以外に人影は見当たらず、少年たちは再び歩き出した。

 密集する立ち枯れの木々はその枝を絡ませ、視界を随分遮っている。

 しばらく進むと、茶色い蔓草の向こうに、小さな洞穴が見え始めた。

「…この中に、ファルスの人々が本来の姿に戻れる鍵があります…」

 枯れた草が簾の様に覆う入り口の、数メートル前まで来ると、今までよりも声のトーンを落とし、ファルスの幼き里長は説明する。

「…けれど、民や僕では、それに触れる事が出来ないのです…」

 目を伏せると、彼は一層病弱に見えた。

「お願いします…ここに封じられた大いなる力を解き放ってください…」

 すがるような瞳がリオへと向けられた時、二人の背後で枯れ枝の折れる音がした。


 振り返った先には、三頭の獣たちがいた。


 頭だけが人間の若い男で、首から下は豹に似た獣の姿という、怪物じみた彼等の全身は、黒炭の如き色…。

 エルティシアに来てから、リオは一度しかその色を見た事がない。

 一ヶ月前、水の妖精の空間を食い荒らしていた、アメーバ状の怪物…。

 のっそりと歩み寄ってくる獣達は、それと同じに黒かった。

(…確か、この世界に黒い色をした生き物はいないって…)

 リオはアーヴを背後に庇った。

 ラーナ神殿で得た知識が、彼に危険を感じさせる。


 三頭のうち一頭が跳躍した。


「逃げろ!」

 鋭く言い放つと、リオは華奢な少年を押し退けた。

 …直後、黒髪の少年に、漆黒の猛獣が飛びかかる。

 小刀の様な爪が、ズブリと突き刺さった。

「わぁっ!」

 両肩に激痛を感じた時には、リオは地面に押し倒されていた。

 すぐ間近に、血色の目をカッと剥いた男の不気味な顔がある。

(…魔物って…こいつらの事か…?)

 燠火を思わせる口腔から饐えた臭いがする息を吐きかけられ、背中に冷たい汗が流れた。

 アメーバ状の魔物はリオを傷つけられなかったが、今目の前にいる怪物の爪は容赦なく肩の肉に食い込んでくる。

(…駄目だ…殺られる…!)

 不気味な男の顔から視線を外せず、リオは頬が引き吊るのを感じた。

 魔物に浸食されない、とエレアヌは言っていたが、あれはどういう意味だったのか。

(僕が今殺されたら、どうなるんだろう…?今度は僕の生まれ変わりがここへ来るのか?)

 頭の隅を、そんな思いがよぎる。

 ラーナ神殿の人々は、彼が死んだら悲しむだろうか。

 すぐ帰るという言葉を信じて待つオルジェや、お護りをくれたミーナは…?

(…ミーナ…ごめん…)

 勿忘草色の瞳をもつ少女の微笑みが脳裏に浮かんだ時、胸の辺りが急に温かくなる。

 直後、リオが首にかけていたペンダントの宝石が、青みがかった白色の光を放った。

「…グゥ…ッ!」

 目が眩んだのか、怪物は低い呻き声を上げ、顔をそむけた。

 その時、猛禽類特有の甲高い声が聞こえ、獣の姿が視界からフッと消える。

 大きな鷹に変化したアーヴが、体当たりで猛獣を突き飛ばし、素早く人間に戻るとリオを抱き起こした。

「大丈夫ですか?」

「…驚いた…アーヴって結構強いんだなぁ」

 悲鳴に近いアーヴとは対称的に、リオの声は随分呑気に聞こえる。

「早く中へ、彼等は入れませんから」

 早口で言うと、虚弱に見える少年は、傷を負った少年の背を押すようにして、洞穴の中へ駆け込んだ。

 その言葉通り、獣たちは入り口付近で立ち止まり、それ以上追ってこない。

 二頭は獲物を逃したかの様に、ウロウロと洞穴のすぐ外を往復し始める。

 残る一頭…リオに傷を負わせた怪物…は、血の跡が残るその場所で、しきりに頭を振り続けていた。

「あいつら、一体何?」

 数十メートルほど奥まで走って立ち止まり、リオは背後を振り返った。

 獣の爪に貫かれた傷から溢れ出る血液が、肩から手首の方へと伝う。

 深過ぎる傷口は痛みを通り越して、痺れとなっていた。

「…正気を失ったファルスの民です…」

 同様に足を止めると、アーヴは伏し目がちに答える。

 うつむいた視界の端に、リオの指先から地面に滴り落ちる鮮血が映った。

「…申し訳ありません…貴方に怪我をさせてしまって…」

 何か手当てする物はないかとアーヴは衣服を探ったが、茶色の長衣にポケットは無い。

 布地を裂いて包帯の代わりにしようにも、薄汚れていてそれも出来そうになかった。

「これくらい、すぐ治せるから平気だよ」

 言うと、リオは傷口に意識を集中させる。

 この世界へ来てから身に付いた、傷を癒す「力」が発現し始めた。

 その場に座り込み、目を閉じた彼の両肩が、霞状の光に包まれる。

 魂に刻まれた前世の知恵が、転生者(リーンティア)に奇跡を起こす術を教えてくれた。


 …ただ、己の肉体に命ずればいい…


 自分という存在を支える生命の力が、両肩に集まるように。

 身体の内側が温かい。

 体温が少し上がるのが感じられた。

(…これは…特別な力じゃない…生命をもつもの全てに宿る、癒しのエネルギー…)

 …傷口の細胞がその活動を早め、見る間に出血が止まり、無残な爪痕を残す皮膚や皮下組織が再生されてゆく…。

 その様子を見つめるアーヴの蜂蜜色の瞳は、微かに潤んでいた。

 ふと自分の両手を胸の前に持ってきて視線を落とす仕草は、どこか頼りなく見える。

「…よし、治った治った」

「もう何ともないんですか…?」

 けれど、完全に傷の癒えたリオが目を開けると、生命力の乏しそうな少年の青白い顔は僅かに緩んだ。

「これ以外はね」

 まるで遊んでいて服を破いてしまった子供の様な悪戯っぽい笑みを浮かべ、リオは片手の親指を肩に向ける。

 そこには、獣の爪痕を残す破れ目があった。

 癒しの力は、死者や無機物には効かない。

「ちょっと風通しが良くなったかな…。でもここ、結構暑いから丁度いい」

 冗談混じりに呟いて、リオは破れた部分をつまんでみせた。

 おどけた仕草に、アーヴも軽く笑う。

 左右に五つずつ穴が空いてしまった黒い長袖シャツは、日本から着てきたもの。

 エレアヌから着替えを渡されていたけれど、リオは元の衣服を身に着ける事が多かった。

「ところで、この後どうすればいい?」

 服地から手を離すと、彼は問う。

「こちらへ来て下さい…」

 すると、儚い印象をもつファルスの長は、先に立って洞窟の奥へと歩き出した。


 …一方、半ば廃屋と化した家々に囲まれた広場で、獣の姿をした民はぼんやりと時間を過ごしていた。

(…これでいい…)

 灰色の狼となったスエッグは、硬い地面に伏せて、軽い溜め息を漏らす。

(これで…私達は還れる…本来の自分に…)

 雪が降る前の空を思わせる灰色の瞳は、人である時と同じ穏やかさを保っていた。

「ホントウニ、ソレデイイノカ?」

 枯れた木立ちの影から問いが投げ掛けられ、人間の顔と獣の身体をもつ者が姿を現した。

「ニクス!」

 途端に、スエッグは声を上げた。

 といっても、普通の人間には狼の唸り声にしか聞こえないのだが…

 ムクッと立ち上がった彼に、スフィンクスに似た漆黒の怪物が歩み寄る。

 真紅の炎を思わせる双眸に、もはや狂気の翳りは無かった。

 それでも、やはり不気味に見える容姿…

「正気に戻ったのか?」

 灰色の狼から人間へ戻り、スエッグは問う。

「ついさっきな…。あの小僧が着けていた、守護石の光のおかげで…」

 ニクスと呼ばれた半人半獣も、ヒョイッと後足で立つ格好をしたかと思うと人間の姿に変わった。

「…それよりも…皆、本気であれを解放するつもりなのか?」

 赤い瞳以外、すべてが炭のように真っ黒な体格の良い男…。

 年齢は、スエッグとさほど変わらないけれど、筋肉質な体躯や黒い髪のせいで、ニクスの方が若く見える。

「それがどうなる事か、分ってるのか?」

 やや吊り目気味の、全体に赤い色をした瞳が、激しさを秘めて灰色の瞳を睨んだ。


挿絵(By みてみん)


「…封印を解くには、この下に降りなければなりません…」

 洞穴の一番奥にある深い縦穴を覗き込み、アーヴは少し震える声で言った。

 狭い肩や縦穴の縁についた両手は、見た目にも分かるほど震えている。

「寒いのか?」

 訳が分からず、リオは問うた。

 けれど、穴の中からは汗ばむほどの熱気が溢れ出ていて、寒いとは思えない。

「…それとも…また具合が…?」

 口に出しつつも、そうではない事を願わずにはいられない。

 癒しの力が全く効かない少年の命を繋ぐ薬は、今ここには無いのだ。

「…いえ、何でもありません…」

 隣で膝をつくリオに目元だけの微かな笑みを向けると、アーヴはついと立ち上がる。

 その両足は、ガクガクと震え続けていた。

「行きましょう」

 両足の膝頭を掴んでその震えを押さえると、華奢な少年は思い切ったように穴の中へ飛び込んだ。

「アーヴ!」

 慌てて立ち上がり、リオもそれに続いた。

 縦穴は深く、底は暗くて見えない。

 けれどしばらく下へ進むと、急に落下速度が遅くなり、二人の少年は並んで空中を浮遊し始めた。

 更に下降するに従って、足元の闇に仄かな紅い光が見え始める。

「…もっと…下…へ…」

 掠れた声で言うと、アーヴは自分の両肩を掴んで顔をしかめた。

「…やっぱり具合悪いんだろ? 上へ戻って少し休んだ方がいいんじゃないかな」

 虚弱な少年をいたわる様に、リオはそっとその肩に触れた。

(熱い?)

 途端に、彼はギョッとした。

 今まで冷たかった青白い肌が、触ってすぐ分るくらいの熱をもっている。

 息遣いも速く荒い。明らかな異変に驚き、リオはアーヴのうつむいた顔を覗き込んだ。

「…大丈夫…です…」

 顔を僅かに横向け、震える瞳で見つめ返すと、アーヴは細い腕を伸ばし下を指差した。

「…早く…あれの開封…を…」

 華奢な指が示す先には、直径1メートル程のルビーに似た真紅の球体が浮かんでいる。

 …黒い二つの輪が、クロスしながら土星のリングの様にその周りを囲んでいた。

「…って言われても、どうすれば…」

 球体の間近まで浮遊してゆくと、リオは背後を振り返る。

 …けれどファルスの長は、球体より数メートル上で、身体をくの字に曲げたまま沈黙していた。

転生者(リーンティア)よ…』

 心配になったリオがそちらへ戻ろうとした時、ふいに男性とも女性とも思えるハスキーな「声」が頭の中に響く。

『お願いだ、私をここから出してくれ…』

「…お前は…創始の炎(イフリィト)?」

 リオの黒い瞳が、瞬時に聖なる青へと変化した。

 ラーナ神殿を出た時からずっと沈黙し続けていた「リュシア」が、意識の表層へと一気に浮上する。

「火の妖精達から聞いた事がある。…お前は遠い昔、古き民に封じられたと…」

『…そう、ファルスの民の祖先に、私はこの精封球へ閉じ込められた…』


 ―――何故、封印されたんだ…?―――


 低いが玲瓏と響く声と、中性的なハスキーヴォイスの会話を、リオは意識の底で聞いていた。

『…だが…今はもう、その封印は必要無い。さあ、私を解き放ってくれ…この球体に触れるだけでいいんだ』

 創始の炎の言葉に応じ、リオの右手がリュシアの意思によって、大人が一人は入れそうな程に大きな真紅の玉に触れる。

 途端に、その手は炎に包まれた。

 熱くはないがリオならば驚いて後退したかもしれない。

 けれど、「リュシア」は構わず球体に触れ続けた。

 手の下で球が大きく膨れ上がり、周囲の空間が透き通った赤色に染まる。

「ああ…やっと…出られる…」

 掠れた声が、球体から漏れる。

 直後、精封球は粉々に砕け散り、そこにはルビー色の髪とオレンジ色の瞳をもつ妖精が立っていた。

 見た目はオルジェと同い年くらいの、長身痩躯な青年の姿…

 創始の炎(イフリィト)と呼ばれる妖精は、しなやかな動作で両腕を広げた。

 無造作に切った様な雰囲気の紅い髪の先がフワリと持ち上がった直後、彼を中心として発生した紅蓮の炎が、視界の全てを覆い尽くした。


 ―――その時、ファルスの森全体に異変が起こった…―――


 大地が激しく震動し、枯れて脆くなった木々の幹や枝が、たやすく砕け散る。

 半ば崩れかけ、廃屋の様な状態だった家々が、積み木の如く崩れ落ちた。

「早く逃げろっ、出来るだけ遠くへ!」

 ニクスは怒鳴り、森の外へ指先を向けた。

 …しかし、人々は誰もその場を動こうとはしない…。

「何をぐずぐずしてる、急げ!」

「無駄だよ、もう我々の心は決まっている」

 尚も怒鳴る彼に、灰色の髪と瞳の老人が、嗄れた声で言う。

「それに、今さら走り出しても間に合わんさ。ニクス、諦めろ。我々は随分長い間、自然に逆らい続けてきた…」

 その瞬間、森の中心部に位置する里の地下から、膨大な量の炎が吹き上がる。

「…もうそろそろ、戻ろう…」

 スエッグの言葉を最後に、ファルスの森は炎に包まれた。


 …人と獣、二つの姿をもつ人々は、全員がまるで紙の様に燃え上がり、一瞬の内に灰と化し、風に消えていった。


「わあぁっ!」

 痩せた少年が、絶叫して身体を硬直させる。

「アーヴ!」

 リオの意識が「リュシア」を押し退け、炎の中を跳躍して、激しく痙攣し始める少年へと近付いた。

 弓形に仰け反って悲鳴を上げ続けるアーヴの両肩を掴み、彼は息を呑んだ。

 骨張った狭い肩が、手の中で消し炭の様に崩れてゆく。

 焦点の合わぬ金茶色の瞳も引き吊った頬も、まるで乾いた土団子の様に脆く崩れる。


 …目前で、鷹に変身する能力をもつ少年の身体は分解・四散し消え去った…。


「アーヴっ!」

 少年の肩を掴んだ格好のまま、リオの目はいっぱいに見開かれた。


 ―――一体、何が起きたのか…―――。


「…心配ない。その子は還っただけだ。本来の輪に…」

 背後の声に、彼は振り返った。

 そこには、広げていた腕を胸の前で組んだ、創始の炎が立っている。

「どういう事なんだっ!」

 珍しく語気を荒らげる彼を、細身の青年の姿をした妖精は怪訝そうに見つめる。

「ファルスの民は、とうに滅びた一族なのだ。既に死んだ人間が、闇の薬によって魂を肉体に繋ぎ止めていたに過ぎない…」

 その言葉に、リオは絶句した。

「…その子の仲間も今、炎の浄化を受けた。見てくるがいい、この地の本当の姿を…」

 温かいと感じるだけで熱くはない炎に包まれた途端、リオは上へ押し上げられた。


『…貴様…よくも里を滅ぼしてくれたな…』

 吹き出す炎に地上へと送り出された黒髪の少年の前に、蜃気楼の様に実体の無い、赤い瞳と黒い肌や髪をした男が現れる。

『せっかく…あの方が永遠の命をくれたのに…貴様はそれをブチ壊した…』

 血のような色をした瞳でリオを睨み、男はその両手を伸ばしてきた。

 首でも締めようとするかのような仕草…

 …けれど実体の無い手は虚しくすり抜け、男は悔し気に顔を歪める。

『やめないか、ニクス!』

 背後に現れた灰色の髪と瞳の初老の男が、鋭い声でそれを制した。

『食べる事も眠る事もなく、お前の様に正気を失った状態で、生きていると言えるのか?』

 長に次いでリーダー格である男は、魔物のような色彩をもつ男を睨む。

 ニクスと呼ばれた黒髪の男は、返す言葉を失い、空気に溶けるようにフイッと消えた。

『…聖者よ…』

 すると、残った男はリオの前に進み出て、穏やかな声で呼び掛けた。

『…我々を救ってくれた事、心から感謝いたします…』

「…僕は何もしてない…」

 左右に軽く首を振り、リオは低い声で言う。

 彼を押し上げていた炎は、次第にその勢いを弱め、そっと地面に降り立たせた。


 周囲に広がるのは、黒ずんだ大地。

 枯れ木の森も、廃墟の里も、何一つ残ってはいない。


「僕は…ファルスの民を救えなかった…」

 リオの黒い瞳から、一筋の涙が零れて焦土へと落ちた。

『…いいえ…。貴方は我々を輪の中に戻してくれた…』

 ふわりと移動して目の高さを合わせると、男は穏やかに微笑んだ。

「輪の中?」

『魂が巡る輪…輪廻の事です…。ファルスの民は永い間、その外に弾き出されていました』

 昔語りを聞かせる様な調子で、スエッグはファルスの里の真実を告げる。


『…数百年前、我々は魔物に襲われ、全員が命を落としました。…けれど、不死の霊薬(フィアルス)によって、生き返されたのです…』

 淡々とした、抑揚の少ない声…

『…最初のうち我々はそれに気付かず、一命を取り止めたのだとばかり思っていました。…でも、違ったのです…。我々の身体は生理的な活動…つまり、物を食べるとか…をせず、体力を回復するには、不死の霊薬(フィアルス)を飲むしかない、動く死人の様な状態になっただけ…』

「…じゃあ、獣に変化するのは…?」

 リオが問うた時、すぐ横の地面がボコッと盛り上がり、直径一メートル程の火柱が吹き出した。

「…それは、肉体に閉じ込められた魂が、転生しようとしていた影響…」

 紅い髪をした細身の青年が、その炎の中に出現して告げる。

「…生き物にとって死は誕生への旅立ちでもある。彼等の魂は肉体に封じられたが、来世を失ったわけではない」

創始の炎(イフリィト)…」

 呆然と呟くリオに、大いなる力をもつ古き火の妖精は、オレンジ色の瞳を向けた。

「…肉体が消滅した今、彼等は輪廻の流れへ還ってゆける」

 穏やかに響くハスキーヴォイスで言うと、妖精はその姿を炎の中に溶け込ませる。

『本当にありがとうございました…』

 スエッグも深々と頭を下げ、大気に溶ける様に消えた。

 代わって現れたのは、金茶色の髪をもち、儚い微笑みを浮かべる痩せた少年。

「…アーヴ…」

 同じような年頃に思えていた少年に、リオは潤んだ目を向けた。

 その頬を、涙が一筋伝う。

『どうして泣くんですか…?』

 ファルスの長であった少年が、首を傾げて問うた。

 言葉が見つからず、リオは黙って幻影の少年を見上げる。

『…悲しまないで下さい。僕達は新しく生まれる為に、ここを去るだけなのですから…』

 アーヴの円らな蜂蜜色の瞳が、理知的な光を秘めてリオを見つめる。


 …黒ずんだ大地から幾本もの火柱が上がり始める中、二人の少年は真っ直ぐに互いの視線を合わせた。


 やがて、金茶色の髪の少年は言った。

『…今度生まれる時には、貴方と友達になりたい…』

「もう今でも友達だろ?」

 リオが応えると、アーヴは初めて無邪気な子供の様な笑顔を見せる。

 そしてその笑顔のまま、少年の姿は消えた。


 後に残されたリオは、火柱が上がる天空を見上げ、よく通る声で呼び掛ける。

風の妖精(エアリゥセ)!」

 大気のヴェールが、彼をフワリと包んだ。


 ―――CIRCLE OF LIFE…

 生命とは、巡りゆくもの…

 魂とは、命の輪を描くもの…

 この世の全てのものは、無から有、有から無へと渡り続ける…―――


「リオ様が帰られたぞ」

 知らせを受けて、人々は神殿から飛び出してきた。

 広場に降り立つ黒髪の少年を、鮮やかな色彩の髪と瞳をもつ民が出迎える。

「おかえりなさい」

「ただいま」

 笑顔を向けられ、リオも軽く笑みを返した。

「お腹がお空きではありませんか? 夕食の用意が出来てますよ」

 柔らかな金の髪をもつ柔和な青年が、人々の間から歩み寄ってくる。

 足首までのびた髪は、彼が歩を進める度に優雅に揺れた。

「その服…どうされたのですか?」

 …しかし、リオの両肩の破れ目に気付き、エレアヌは眉を寄せる。

 服地が黒のため、間近で見なければ分からないが、左右の肩から腕にかけて、何か染みらしきものもあった。

 その上、いつも明るい少年の様子がどこか違っている事も、彼には分かる。

「お怪我をなさっているのでは?」

「した。けど自分で治したよ」

 何でもない事のように言ってのけるリオに対し、慌てたのは他の人々。

「魔物に襲われたのですかっ?」

 一番血相を変えたのはオルジェ。

「魔物じゃない。…けど、ミーナのお護りのおかげで助かった」

 口元に笑みを浮かべてみせるリオを見て、ミーナはホッと肩の力を抜いた。

「見せて下さい。他に怪我は?」

 比較的落ち着いた口調で問いながら、エレアヌが破れ目をつまんで覗き込んだ。

 癒しの力で傷は完全に癒えているが、肌やシャツにはベッタリと血の跡が残っている。

 それを見ただけで、医術の心得のある青年には、いかにひどい傷であったか分る。

 両肩にそれぞれある五つの穴が、大型動物の爪痕であることも…。

「向こうで一体何があったのですか?」

「…ファルスの里は…火山に飲まれた…」

 両肩に手を置き、目線を合わせて問うエレアヌに、リオはぽつりと答えた。

「火山に?」

 穏やかな青年は再び眉を寄せる。

「あそこは確か平地ではありませんか?」

「そういえば、あの辺りには『創始の炎(イフリィト)』と呼ばれる古い妖精がいるらしいぞ」

「でもそれは大昔に封印されたって…』

 周囲の人々もザワついた。

「…ごめん…ちょっと疲れちゃってさ…部屋で休ませてもらっていいかな?」

 いつもより声のトーンを落とし、リオは目の前にいるエレアヌに告げる。

「分りました。お食事はどうなさいますか?あとで部屋へお運びしましょうか…」

 明らかに普段と様子が違うリオを気遣い、エレアヌはその背に片手をあてがう様にして、神殿内へと入っていった。

 うつむき加減に歩いてゆく少年を、オルジェとミーナが眉を寄せて見送る。

「…あんなリオ様、初めて見た…」

「…一体どうしたんだろう…?」

 残された人々は顔を見合わせ、小声で囁き合った。


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