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正解は君のために  作者: 風太生
49/103

起源 2

◆◇◆◇

 ではまず大前提として、二つはっきりさせておく。

 一つ目は、僕は確かに車にはねられて死んだ、ということ。

 この事実は、悲しいがひっくり返しようがない。

 そして、二つ目。

 これが、ここから先の話で最も重要になってくる。

 二つ目、それは僕が死ぬのはこれで二度目、ということだ。

 二度目ということは、どういうことだろう。

 生き返ったということだろうか。

 “死んだのは二度目”という言葉を聞くと、まずこのような疑問がまず浮かんでくるだろう。

 しかし、それに対する答えは“ノー”だ。

 正確には“生き返った”というより、“やり直した”というほうがしっくりくる。

 つまり、一度目に死んだのも高校三年の冬、クリスマスの日だ。

 だとしたら次は、折角やり直した意味がないのではないか、という疑問が出てくるだろう。

 それに関しては、もう少し後に答えようと思う。

 次に、呼び方を設定しておく。

 一度目の僕が死ぬまでの道のりを“一周目”。

 二度目、つまり“一周目”で死んだあと、やり直してから、僕がさっき車にはねられて死んだ時点までを“二周目”としよう。

 では“一周目”ではどうして死んだのか。

 それも事故によってだ。

 交通事故ではなかったが、結果”事故によって死んだ“という事実には変わりない。

 じゃあここからは、“一周目”の終わりまでについて、もう少し詳しく話そうと思う。

 そうすれば、この今の状況の大半は理解できるようになるだろうから、どうか最後まで付き合ってほしい。

◆◇◆◇

 “一周目”でも、僕と未羅は恋人同士だった。

 未羅は“二周目”と同じ時期に引っ越してきて、同じように笑い合い、同じくらい甘ったるい時間を過ごした。

 しかし記憶がすべて戻った今思うと、全く同じだったわけではない。

 大体の流れは一緒でも、細々としたところがかなり異なるのだ。

 まず、ファーストコンタクトが違った。

 “一周目”では、未羅が僕に興味を持ち、彼女から話しかけてきたのが始まりだった。

 そして、二人の距離が縮まるのも“二周目”よりも早く、付き合い始めたのは、十月九日、秋真っ盛りの日だった。

 その日に僕らは“二周目”でもしたように、屋上で二人だけのパーティーをした。

 その日の終り頃に未羅から告白してきたのだ。

 今でもはっきり覚えている。

 僕が未羅の告白を承諾すると、彼女は今まで見たことがないくらいに舞い上がった。

 椅子に座り、伸ばした足をパタパタさせていた。

 そして、その日だ。

 彼女は僕の顔を見て、こう言った。


「その名前、私は空人君の為だけにある気がするの。」


 この言葉のおかげで、僕は一生付きまとうはずだった名前の呪いから解放された。

 本当に単純だと思う。

 好きな人から肯定されただけで、生まれてから今まで嫌いだったものが好きになっていってしまうんだから。

 その日から少しずつ少しずつ、心の中の棘のようなものがなくなっていった。

 ありきたりだが、そういう意味で、僕にとってこの言葉は特別な意味を持っているのだ。

 僕がやり直しを始めた日、つまり“二周目”における高校二年の二学期始まりの日に見た夢は、おそらく“一周目”の記憶の断片的なものだったのだろう。

 あとはもう一つ、“一周目”と“二周目”の間で面白いものが変わっていた。

 それは、僕自身の性格だ。

 記憶がない間に別の人格が形成されて、その後に記憶が戻ると、とても変な感覚に陥る。

 まるで、別の二つの人格を持った自分を第三者の視点から見ているような、そんな感じだ。

 具体的にどう違うかというと、“一周目”の僕は、未羅との付き合い始めた後も、肝心な部分はずっと“変わらない”ままだった。

 そのため、僕と未羅が付き合っていることを知っているのは壱だけだったし、他のクラスメイトと親しくなることもなかった。

 それだけにとどまらず、僕と付き合っている事実をみんなに言いたいと主張する未羅を、僕は止めていたのだ。

 結局、“一周目”の僕は、未羅を好きになったこと以外は、人として何も成長しなかったのだ。

 その点、“二周目”では今まで知ることのなかった世界を未羅と一緒に知ることが出来てよかったと思う。

 まあ、他にも異なることはあったが、大きな違いはその二つだ。

 これらのことを踏まえたうえで、本題の“一周目”における高校三年の冬、クリスマスの話に入る。

 その日、僕らは“二周目”でも行くはずだった大型ショッピングモールでデートをしていた。

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