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正解は君のために  作者: 風太生
30/103

ピッチャー 3

 なるほど。

 その予想が事実だったとしたら確かに彼らは報われないかもしれない。

 信頼を通り越すと依存になる。

 そして、依存はその依存対象の一挙一動について考えることを放棄させるということだろう。

 なぜこの人はこのタイミングでこの行動をとったのか、と考える余地を与えず、無意識にこいつの考える事だから大丈夫だろうと賛同してしまう。

 加えて、環境の変化などの外的要因も合わさると自分が見逃したものの重大さに気付くことさえ出来なくて非常に危険だということだろう。

 今回の例だと、炎天下に加えてもうすぐ勝敗が決まるという極限状態にいたピッチャーが、あの場面でキャッチャーがカーブのサインを出す理由とその必要性について考えることが出来なかったがために、見逃しの事実に気付く事が出来なかった。ということだ。

 だがよく考えてみると、それは野球だけではなく他のことにも当てはまる。

 むしろ野球の試合なんかより、もっともっと身近な事。

 例えば、僕と未羅の関係についても同じことは言える。

 友達から恋人へと関係が変化したこと、別々のクラスになったことなど、先程の例の環境の変化や外的要因と呼べるようなことが僕らの間には存在する。

 もちろん今現在僕らの関係性が目に見えて危ない、なんてことはないが、何かを見逃すことによりそうなってしまうことも否定はできないだろう。

 これからは現状に甘えず、未羅との関係性を維持するためにも様々なことに気を配らなければいけないな。

 壱はまさか先程の話から僕がここまで考えを発展させているとは思っていないだろうが、空に浮かぶ夏らしい大きな雲を見上げながら僕はそんなことを考えていた。

「あー、そういえば今週末花火大会だよな。空人は未羅ちゃんと行くの?」

 壱は僕と同じようにボーっと空を眺めながら話題を切り替えた。

「うん。一応約束はしてる。

まだ集合時間とか詳しいことは何も決まってないけど」

「おい。週末って言ってもあと二日しかねーじゃん。

お前がそういうのはビシッと決めろよ」

「あー、そういうもん?」

「うん。そういうもん」

 このように未羅と付き合い始めてからは、壱からちょっとしたアドバイスをもらうことが多くなった。

 本当にちょっとしたことだ。

 デートプランの構成の仕方とか服のコーディネートとか。

 まあ、ちょっとしたことだが、かなり重要な事ばかりだ。

 それに壱からのアドバイスは外れたことはないので今回も言われたとおりにしておこう。

 早速携帯を取り出し未羅にメッセージを送った。

『今週末の花火大会、五時半に〇〇駅集合でいい?

そこから二人で歩いて行こう』

 未羅から返信が来たのは、その日の夜だった。

『分かった!!楽しみにしてる!

しっかりリードしてくれるとか偉いじゃん。笑

ちゃんと彼氏してるね!』

 ・・・やはり壱はさすがだと思った。

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