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正解は君のために  作者: 風太生
28/103

ピッチャー 1

 僕と未羅は高校二年の冬の始まり、十一月二日に恋人同士となった。

 いや、秋の終わりと言っておこう。

 それは単なる僕の都合だが、特に目立った印象がなかった秋を何か特別なものと結び付けておきたいのだ。

 その秋のいわば”特に何もない“ところに良さを見出していたのだが、いざそれが自分だけの特別な季節になると、それはそれで悪い気はしなかった。

 なるほど、世の中のカップルはこんな気持ちなのか。

 高校二年生にして僕は少し遅めの”春“を迎え、それに対する素直な喜びをひしひしと実感しているわけだが「人に興味がないと散々一匹狼を謳っていたのにもかかわらず、案外自分も俗っぽいな」と自分で自分を小ばかにできるくらいは浮かれていた。

 付き合いたての頃は、クラスから僕が脅迫などをしているのではないかと疑いの目を向けられたこともあった。

 しかし、僕らの恋仲の事実に皆が慣れ始めると面白いことが起き始めた。

 不思議なことにクラスの方から僕に興味を持ち、話しかけてくることが多くなったのだ。

 突然先日のドラマの話題を振ってきたり、昼ご飯を一緒に食べようと誘ってきたりと、訳の分からないことが頻繁に起こるようになった。

 おそらく理由は二つあると思う。

 一つ目は壱の影響だ。

 クラスの人気者が当たり前のように僕らのことを応援してくれた結果、それが正しいという共通認識がクラスの間で生まれ、僕らの仲を邪険にする空気感を作らせなかったのだろう。

 二つ目の理由は、未羅の好感度のポイントが僕の好感度のマイナスポイントを遥かに上回っていたからだ。

 その結果、図らずとも相対的に二人セットの印象が大きくプラスに傾いた。

 最悪の場合いじめ等に発展しかねないだろうと考えていた僕にとっては、拍子抜けというか、暖簾に腕押しというか、そんな感じだった。

 そんなこんなで、思いもしない追い風を受けた僕らはとても順調に仲を深めていった。クリスマスデートや一緒に初詣、それに壱も含め三人で映画を観に行ったりもした。

 そして僕らはあっという間に三年生になった。クラス替えでは、未羅とは別々のクラスになってしまったが、クラスが離れたから仲が悪くなるとかいうこともなく、むしろ未羅の方から頻繁に僕のクラスに来てくれた。

 そして腐れ縁の壱とはまた同じクラスだったので何かが変わってしまったとか、そんな感じはあまりなかった。

 それから付き合う前によく見せていた“あの表情”もあの日以来まったく見なくなった。

 最近は純粋に未羅の新たな表情や嬉しそうにする顔を見れることが何よりも嬉しい。

 何が言いたいかというと、とにかく僕は今とても幸せなのだ。

 こんなに順風満帆では、いつか受け止めきれないくらいの大きな不幸が訪れるのではないかと不安になってしまうくらいに。

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