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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

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下世話な尾行 Ⅰ

「…………うぅん………………」

「お姉、何その微妙な感情表現?」


 クエストを終えた翌日のお昼ご飯。

 私は適当に用意した親子丼を琥珀と啄きながら、物思いに耽っていた。


 ちなみに、お母さんは剣の稽古の関係で、私達とは別で食べることになっている。

 更に言えば、今日は琥珀はお休み。……あ、あと湊君とかも。


 流石に毎日修行に明け暮れる程、世捨て人じみたことはしていない。太刀上流は、日々のあれこれと両立出来る流派です。勿論、努力量とかで成果は変わるけど。


 それはそれとして、琥珀にちょっとした悩み事の相談、というには些かしょうもないけど、まあ、考えていることを打ち明けることにした。


「――もうすぐ30レベルだから、スキルに迷っているんだよ。何が良いだろうね?」

「いや、知らんがな」


 冷たいなぁ……。私でも同じ反応すると思うけど。


 候補としては、

 ・良くある気配遮断スキル『隠蔽』。ただし、効果範囲は視覚情報だけ。

 ・『魔力強化』。これは『対魔斬』とかでMP消費が増えたから、ついでに魔法の威力も上がるし(殆ど使ってないからあんまり効果ないけど)。

 ・MP回復を早める『魔力生成』。これもMP消費が増えたから。でも、こっちはMPの最大値が増えない代わりに、MPの回転率が上がる。

 ・『筋力強化』or『器用強化』。純粋に性能を上げる。

 この5つかな。


 正直な話、『魔力強化』は今のところはいらない。『魔力生成』の方が便利。MP最大値より回復速度の方が問題だからね。


 後、『隠蔽』は使い所が微妙なんだよね。普通に死んだらアウトなゲームなら兎も角、WJOはデスペナも緩いし。…………配信的にも、おいしい(・・・・)だろうし。これもぶっちゃけると、戦闘を態々避ける機会があんまり無いし。

 でも、オン・オフを思考入力でイジれるなら、歩法との相性は良さそう。試して見る価値はありそう。


 そして、STRとDEXとのどっちを優先するかと言われれば、個人的にはDEXだから『器用強化』寄り。そもそも(ラピス)のスキル構成なんだから、個人以外のなんでも無いんだけどさ。


「――まあ、適当に決めることにするよ。……琥珀は今日は?」


 暇なら一緒に狩りにでも誘おうかな、と考えていたんだけど……、対する琥珀は得意げ。

 何故? なんか良いことあった?


「私は……知り合いと遊ぶ予定」

「ゲームで……?」

「ゲームで」


 にへら、とそんな感じの擬音を付けるのが丁度いいような何とも嫌らしいニヤつき。

 ごめん、言い過ぎた。ニヤケ顔……緩み切った笑み……表現が酷い。


 兎も角、言うまでもないが琥珀は割と分かりやすい子である。隠し事など出来ない。武術をやる上でそれはかなり不利だけど、ちゃんと戦闘中はそうはならないから不思議。


 得意げな顔、言い淀んだ上で知り合い、ニヤつき、そこから判断するに結論は一つ。



 ________________




「――やっぱりだったね」


 ここは、第二の街の東側エリア。

 このエリアに出現するモンスターは、スライムとかの魔法生物的な奴ら。

 スライムは打撃攻撃に弱くて、刺突に強いモンスターで、魔法属性ごとのカラーリングがある。


 大自然にはびこるカラフルな不定形生物。

 何その悪夢。絶対に見たくない。


 そして、その魔境(笑)の中には、一組の男女がいる。

 女性の方は、頭に動物の耳を携えた焦げ茶の髪の小柄な少女。彼女の背には巨大な戦斧。

 男性の方は、同じく小柄で、水色の髪の柔和な雰囲気の男の子。彼の腰には二振りの小太刀が下げられている。


 言うまでもなく、琥珀(アンバー)と湊君(らしき人)である。

 あいつ、デートしてやがった。

 あの時の表情は、やっぱりこれ(・・)だったんだね。

 私みたいな喪女まっしぐらの女に自慢げにしやがって……。


 私もデートとかしたかったよ、畜生め!

 どっかの誰かさんが頑なに拒んだから、したこと無いわ!!

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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