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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

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Function:Semiauto Fire Ⅳ

 毒魔法の発生。

 弾数6。

 左から順に、ABCDEFと仮定する。

 射出順は、FBCDAE。

 発生のエフェクトは既に覚えた。ならば、それで射出順は把握できる。


「――フッ………!」


 ――歩法 迅雷

 地を踏みしめて、思い切り加速する。

 前方より触手進行。数5、その内、直撃は3。

 私に当たるものだけ斬り捨てて、そのまま駆け抜ける。


 魔法が発射される。

 私の未来位置を穿とうとしているようだ。

 だが、軌道と速度がわかっているのに、誰が良いようにされるというのか。


 ――歩法 隘路


 0.3秒後魔法C。角度自身の右手側を正として、約100度。

 以降0.1秒毎に、魔法が飛来。角度は、順に70、150、40。

 緩急をいつも以上につけて、躱した瞬間、限界以上(・・・・)に加速する。


 触手の、魔法の尽くを把握して、適切に対処する。

 そんな芸当は普段の私では到底不可能。

 それを可能しているのは、『Function』。厳密には、それを使用可能にするために使っている『思考加速(ソニックドライブ)』の結果。


 生存本能を一時的に抑えることで思考速度を爆発的に跳ね上げる荒業『思考加速(ソニックドライブ)』。その状態で無ければまともに成立しないもの、それが『Function』だ。


 それは、本来(・・)視界に映る全ての物体の速度、重量、エネルギー、自身との相対角度などを自動(・・)演算して、文字通りロスの一切(・・)無い行動を取るための戦闘法。

思考加速(ソニックドライブ)』にも引けを取らない荒業中の荒業。

 私では、そんな悍ましい程の数式を処理できないから、かなり簡略化している。

 ついでに、自動処理も出来ない。私が意識した物のみで計算する。

 だから、Semiauto(・・・・・・・・)なんだよね。


 実際に現在私は、魔法の発動エフェクトから発射順を割り出して、発射タイミング、角度、速度の小数点以下第一位まででのみ、この思考を実践している。

 本当は触手も考慮に入れたいけど、脳が保たない。

 特に触手とか演算しきれれば、力の伝導率とかから威力の完璧な把握も出来たのに。


 兎も角、私はそんな強引も良いところの所業で、ボスキノコに食い下がっていた。


「ラアアッーー!」


 ――斬法 箒星

 触手と魔法の隙間を縫うように、突撃する。

 助走と全身のエネルギーを余すこと無く鋒に伝えて、多少の障害程度では無いに等しい状況に持っていける太刀上流剣術の中で最強の突破力を持つ技。


 それを以て、ボスキノコの身体の中心に刀身を埋め込む。


「――――――――!!」


 急激に減少するHP。

 藻掻くボスキノコ。箒星の威力は確かに凄まじいが、それでは説明がつかない程の減り幅を見せる。

 身体の中心部、そこが弱点か。恐らく核とでも言うべき部分がそこにあるはずだ。

 キノコなんだから、地中にあって攻撃しようがないと思っていた。


 これまでも表面部分には攻撃してきたが、弱点があるようには思えなかった。

 となると、弱点部分は身体の奥深くまで攻撃を通さないとなんだろう。


「――チッ」


 刀身を更に深くに押し込もうとした瞬間、殺到する触手。

 ついで、ボス自身を巻き込むように放たれる魔法の数々。

 咄嗟にバックジャンプで自爆じみた攻撃を回避する。


 残り時間は、2分。それまでに完全に屠る必要がある。

 でも、弱点は把握した。

 ついでに魔法は問題なく対処可能。触手という不安要素が残っているけど、このまま押し切れるかな。


「――――」


 触手が駆ける。私の撲殺を願って。

 けれども、もう、それは見飽きたよ。


 ――斬法 雪華

 高速6連撃で斬り伏せる。最後の上段からの振り下ろしのエネルギーを次に繋げる。


 ――歩法 迅雷

 急加速して、距離を詰める。


 魔法の発生。

 弾数10(・・)。先程よりも多い。まあ、いくらあろうと魔法なら、一切問題ない。


 射出。直撃コースは4。ついでに掠っていくものも他に3つ。

 攻撃は食らってはいられないし、これ以上速度を緩めるのも、あまりしたくない。

 だから――


「――ハアッ!」


 ――歩法・撃法混合 風蝕

 強引に身体を空間に捩じ込む。背のすぐ近くを魔法が通り過ぎるのがよく分かる。


 迫る触手の数々。最早数えるのも億劫な程のそれらは、軍勢が如く固まってこちらに向かってくる。

 でも、今は相手にしている暇はないんだ。


 ――歩法 閃刃

 刀を薙ぎって、群がる触手を躱して、また加速する。

 一度避けたとしても、再度攻撃が開始されるが、それまでの一瞬が勝負の鍵になる。


 構えは上段。

 一歩全力で(・・・)懐に踏み込む。

 しかし、そこに音は存在しない。


 全力でありながら無音の踏み込み。

 脚から踏み込みのエネルギーを、胴回りから捻動の力を加えて、上半身から、肩、腕、刀に伝える。

 振るうは袈裟の一撃。

 全身の力をただの一撃に込め切る絶殺の早太刀。


「豪雷」


 太刀上流における単純火力最強の大技が、ボスキノコの身体を一撃のもとに斬り捨てた。


『レベルが上がりました。Lv.22ー>Lv.23』

『『刀』のスキルレベルが上がりました』

『『敏捷強化』のスキルレベルが上がりました』

『『識別』のスキルレベルが上がりました』

『『格闘』のスキルレベルが上がりました』

『『雷魔法』のスキルレベルが上がりました』

『『走破』のスキルレベルが上がりました』

『『対魔斬』のスキルレベルが上がりました』


 システムメッセージの表示とともに、ボスはポリゴンを散らして消滅した。




お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


次回更新は、10/22(土)になります。


読み返すと、豪雷の所ハイテンションで描きすぎですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふと、思ったけど『思考加速』しかり「function」しかり「本当なら〜」とか「自分だと〜」ってあるってことはどっかしらで体系化されてるか他に使い手が要るってことかい? この人外技術を?
感想一覧
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