↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/422

戦いの始まり

※これは誰が何を言おうと戦いです。

「お母さん、そろそろ行ってくるね」

「行ってらっしゃい。言うまでも無いでしょうけど、気をつけなさいね」


 夏休み最初の月曜日、私は日向と一緒に出かける約束(半ば一方的)のために、出かける準備を終わらせて、ちょっと時間があったから、道場に顔を出していた。


 まだ稽古の時間にはなっていないから、人が少ない道場でお母さんや昔からの門下生の人たちと話しているうちに、いい感じの時間になった。

 私は、出発しようと車椅子を進めて、入り口の近くに行ったところで、道場に人が入ってきた。


「おはようございます!」


 元気いっぱいに挨拶をしたのは、小柄な中学二年生の男の子。

 焦げ茶色に近い髪を短くまとめたその子は、子犬みたいな雰囲気で門下生みんなに可愛がられている。

 その子は、一番近くにいた私の前に歩いてきて、視線を私に合う位まで下げる。

 こういう細やかな気遣いも人気の理由だ。


「おはようございます、瑠璃さん」

「うん、おはよう、湊君(・・)。琥珀のこと、いつも任せちゃってごめんね」

「い、いえいえっ。気にしないでください!」


 内田 湊君。

 彼は、琥珀が密か(笑)に思いを寄せるあの子のクラスメイト兼友達兼修行仲間。

 なんでも、中性的な見た目はどうしようもないけど、ちょっとでも身体を鍛えたい。

 そんな理由で、剣術道場の門を叩いたそうな。

 でも、彼の身体は筋肉が付きにくいみたいで、頑張って鍛えてもすごく華奢なんだよね。


 それもあって、この子の剣は琥珀とは対称に位置していて、技で攻める剣。

 どちらかと言えば、私に近いかな。私の場合、力押しも割とあるけど。

 ちょくちょく戦い方の相談受けるから、琥珀がこの子を好く理由も何となく分かる。

 凄い良い子なんだよね。……まあ、タイプじゃないから取り合いとかにはならないけど。


 また、良く琥珀の勉強を見てくれているみたいで、本当に足向けて眠れないね。

 ……まあ、湊君自身も琥珀のことは気になっているみたいで、満更でもない様子が見てて非常に微笑ましい。

 ちなみに、こうして会話しているのを見ただけで、琥珀は嫉妬する。

 不満げに頬を含ませる当たりが何とも可愛らしいんだけど、八つ当たり先が湊君だから気をつけないと。


「瑠璃さんはお出かけですか?」

「そうだよ。割と強引に約束取り付けられてね」

「そう言えば、昨日おっしゃってましたね」


 どうして、知ってるのかな……?

 一番可能性が高くて、一番嫌なやつが一個あるけど…………。


瑠璃(ラピス)さんの配信見てますので」

「……だよねぇ…………」

「――あ、雪華・風花凄い上手かったです。………今度教えてもらって、いいですか?」


 この子の性格的問題なんだろうけど、頼み事する時不安げにするから断りづらいよね。

 そもそも、断る理由が無いけど。


 会話もそこそこに家を出て、加世家に向かう。

 隣だからすぐに着くけど、今回はちょうど家どうしの境目に来た辺りで、日向が家から出てきた。


「ごめぇん、待った?」

「……この場合、どう答えるのが正解?」


 答えに窮する日向に車椅子を押してもらい、私達は日向ご所望のショッピングモールに向かって出発した。



 ________________




「――それでさ、装備はどうしてんの?」

「ナフトールさんに頼んだ後、連絡はないけど、多分後何日かで出来るでしょ」


 燦々と照りつける太陽が人々を焼く。

 まあ、私も日向も日傘を差してる(私には日向が差してくれてる)から、防げてるけどね。

 まばらに行き交う人の視線の一部は私達の方へと向く。全く別の意味で。

 理由は分かるから、放置だね、放置。


「そっちは、次何するの?」

「レベル上げかねぇ、とりまDPSを上げないと……」


 なんてこと無い会話。でも、配信を始めた影響か、ゲームの話が増えたように思う。

 それにしても、日向のキャラクター、サニーのDPS(秒間ダメージ数)が上がり続けたら、誰にも手がつけられなくなりそう。


 交差点。

 信号は赤だから、止まる。

 不意に、私達の前を大型トラックが通り過ぎる。


 竦む全身。

 加速する鼓動。

 総身から汗が吹き出てきて、視界を狭める。


「瑠璃? どったの?」

「――ううん、何でも無い」


 正体不明の現象。

 起こり始めた時期的に、原因は失った1月の中にあるはずだ。

 私が半身付随になった理由は、事故に遭ったから。

 身体が竦むのは、基本的に大型トラックを見た時だから、恐らくそれに轢かれて、歩く力と記憶を失ったんだと思う。

 でも、実害らしい実害は今の所ないから、誰にも言ってないけど。

 それよりも、実害の出そうなことが目の前まで迫っている。


 私の視界の先には、私達の家から最寄りで、県一の大きさでもあるショッピングモールがそびえ立っている。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。