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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
魔を見据え

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ミイラの殺し方

 お婆さんはかなり前で止まってもらって、私一人でカタコンベの外へと向かう。

 出口に近くなってきたので、カメラを遠距離モードに切り替える。


「ごめん。今日全然コメント見れてないや。これからはもっと見れないかもだけど」


 どうしても、NPC(住民)の人と話している時とか、戦闘中は確認ができない。

 仮にも配信者名乗ってるくせに、って言われても何も言い返せないね、これじゃぁ。


『返答求めてコメントしてる訳じゃないんで』

『これで戦闘中に見始めたらちょっとキモイから……』

『対雑魚ならともかく、ボス格相手は無理でしょ。……無理だよね?』


 無理に決まっている。

 私のことをなんだと思っているんだ。


「まったく…………、じゃあ確認次第行くよ」


 足音を殺して、ゆっくりと。

 出口の手前から見える範囲にしっかりと注意を払う。


 ちょっとずつ見える範囲を広げていって、敵影を見つけにいく。


 ――うん、いるね。

 なんでいんだよ、失せてろよ。


「――――――、ふぅ」


 深呼吸一つ。

 鯉口を切って、重心を落とす。


 ――歩法 迅雷

 重心を落とす勢いを一切緩めずに、一気に加速する。


 強ミイラが私に気がつくまでの一瞬を使って、極大のダメージを叩き込む!


「『練魔纏斬』ーー箒星ッッ!!」


 MPは注ぎ込めるだけ注ぎ込んだ。

 全身の力を余すこと無く伝え切って、最大火力の突きとして蒼炎を撃つ。


 ーーゴウッと炎のような音と共に蒼い閃光が視界を焦がす。


 強ミイラは箒星が到達する一瞬前にこちらに気が付いていたが、時すでに遅し。

 包帯を動かすどころか、スキルを使う時間さえ無く、紺碧正近は深々と刺さる。


 穿った場所は左腕の肘関節。

 元々支えがしっかりしていないかのように、若干ブラブラと揺れていた腕は最早千切れる寸前。

 今後は左腕での攻撃はそこまで脅威としなくても、大丈夫だろう。


 いつぞやのアンデッドどもと同様に、身体の所々に魔力(MP)溜まりが存在する。

 左肘関節にもあって、それがギリギリ千切れ飛ぶのを防いだ感じか。


 現状の強ミイラの残りHPは約95%。

 カタコンベに入る前に削った分である約1割分はもう元通りだった。


『HP自動回復』系統のスキルを保有しているとみて、良いかな?

 フィールドにプレイヤーがいなくて、データが再ロードされた説もあるっちゃあるけど、まあ、ある前提で殺しきるようにすればいい。


 強ミイラの背後で収斂される魔力。

 腕型の呪いでは無い。

 数が圧倒的に多い。


 数は、12……?

 呪いの腕よりもよっぽど小さいけど、一つ一つが腕の形をしているように見える。


 なんにせよ、魔法なら『散魔対斬』で対応できる。

 異次元な火力が無ければ。


 まぁ、殺しに行かなければ終わらない。

 行こうか。


 ――歩法 滑歩

 多少効果あると信じて、視覚を惑わす歩行法で距離を詰める。


「『散魔対斬』」


 先んじてスキルを発動しておく。

 基本は回避で、問題が出たときに切り裂くつもりだ。

 流石に12もあると全部回避しきれない。

 特に近距離だと。


 右腕を振りかぶる強ミイラのレンジに入る寸前に12本のうでが蠢いた。

 強ミイラの後ろから迫る腕の群れ。


 腕が振りかぶっている時点で、私の動きを止められる前提。

 ってことは拘束系?

 それも呪いの魔法なのか?


 まあ、良いや。

 一部分だけこじ開けて、視界から外れるか。


 一閃。

 直近の腕を雑に切り飛ばす。


 瞬間、パッと4本の腕が消える。

 ――ぁあ、4本で一つの魔法なのね。


 まあ、どうでもいいか。


「『練魔纏斬』」


 ――斬法 旋払(つむじばらい)

 回転を加えて、すれ違いざまに敵を背から斬り捨てる。


 ばっさりと縦一文字に。

 減少するHPは、約3%。


 ――撃法 徹震

 背後からショルダータックル。


 体勢を崩した強ミイラに対して、更に刀を振るい削いでいく。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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