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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
Hello World

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祝初心者装備脱却!

開始一月でようやっと。

ラピスさんが暴れるのが悪い(責任転嫁)。

「もういい加減フィールド出よう」


 配信開始からはや30分は経過したのに、話がぜんぜん進んでない。

 今回は本来、アンバーとフィールドで暴れる予定だったのに、未だ暴れるどころかフィールドにも出てない。

 流石に、視聴者さんも飽きるだろう。


「長くなった理由の大半はお姉だけどね」

「どっかの誰かが人の恥ずかしいエピソードを言わなければ後15分は短くなったよ」


 くだらない言い合いをしながら、私とアンバーは宿屋を出て、街に繰り出した。



 ________________




「――あ、そうだ。お姉、ちょっと寄りたい所あるんだけど、行っていい?」


 街に出てすぐに、アンバーが若干遠慮がちに聴いてくる。

 普段はそんなの気にしないのに、配信中だからって気つかってるな。

 まったくこの子は……。


「いいよ、行こう。そこを配信で映せるのなら、ね?」


 アンバーは、にんまりとサニーと良く似た笑みに口元を歪めて、


「お姉にとっては、これ以上無いほどに良い所だからねっ」


 そう言って、歩き出すのかと思ったら、メニューウインドウを開いた妹が居た。


『フィールド行くんじゃないのか』と視聴者さんからも突っ込まれていた。

 何か本当、グダグダですみません…………。



 ________________




「やっほー、なっちゃん」

「ああ、いらっしゃい。でも、なっちゃんは止めて」


 アンバーは、β版の頃からのフレンド(ゲームで連絡先を交換した人)に現在位置を聞いて、私達はその人のもとを訪ねた。

 何でも、β版でフレンドになった人は、正式版でもそのままメニューのフレンド欄に残るのだとか。

 そのことから、この人がβからの人でもあると分かる。


 ……あれ? 私フレンド(友達)0人?


「……それで、そちらの人はアンバーのお姉さんかな?」


(多分)遠い目をしていた私に話しかけてきた”なっちゃん”は、木綿色の髪を三編みにした同色の瞳の女性。身長は170cm近い。

 非常に大きい。ついでに胸も。……チッ。

 でも、威圧感は感じない。どことなく柔和な雰囲気を纏っている。それと顔立ちも相まって大人っぽい感じだ。まあ、私より年上だろうから、大人という可能性は結構あるけど。


「ええ。アンバーの姉のラピスです。いつも妹がお世話になっております」

「いえいえ、あの子は上客なので全然。素材沢山持ち込んでくれますしね。私はナフトール、裁縫師をしています」


 その言葉に嘘は無いようだけど、あの子の事だから、何かしら無茶を言ってそうで……。

 それにしても、裁縫師ということは、ナフトールさんは生産系のスキルでアイテム、それも布系のものを作っていることになる。

 ……ああ、


「裁縫師だから、木綿用の染料(ナフトール)なんですね。それで、髪色とかも木綿色と」

「あら、それに初見で気がつく人なんて中々いないのに」


 何とも愉快そうにコロコロと笑うナフトールさん。

 男性ウケ良さそう(小並感)。


「――さて、それで、何の用でしょうか? と言っても私への用など一つだけでしょうけど」


 ひとしきり笑った後で、切り替えたように表情が変わる。


「お姉となっちゃんの顔合わせと依頼にね」

「止めてって言われているのになっちゃん呼びは継続なのね………」


 まったくこの子は。

 でも、有り難いね。ちょうど装備は欲しかったから。


「えっと、私の防具一式を用意して欲しいのです。具体的には――」



 ________________




「なる程。武具の生産用のアイテムらしき根源やボスの素材で防具を作って欲しいと言うことね」

「お願い出来ますか?」

「ええ、こちらとしても未知のアイテムに興味があるので」


 そんなこんなで、私の防具の相談が始まった。

 素材とかの持ち逃げの対策として、契約書なるものを書いた。

 それに書いた内容に違反するとゲーム的に罰則が下るとか。(違反内容によって罰則の重さも変わる)


 おおよそのパーツが決まったところでふと疑問が湧く。


「あの、籠手とか脛当てとか頼んじゃいましたけど、ナフトールさんだけじゃ出来ないんじゃ無いですか?」


 当たり前だけど、籠手とか脛当ては金属等の加工。間違っても裁縫じゃない。

 やっぱりそこだけは、他の人に頼むしか無いかな。


「ああ、話してなかったけど、私のスキル構成は、『裁縫』『器用強化』、そして『鍛冶』なのよ。だから、全部一人でできるわよ」

「ええっ……?」


 その言葉に驚きを隠せない。

『裁縫』はそのまま、布系のアイテム生産用のスキル。

『器用強化』は『敏捷強化』や『魔力強化』とかのDEX版。

 生産系のスキルの補助だろうね。

 最後に、『鍛冶』。読んで字の如く鍛冶用の生産スキル。


 ということはナフトールさんは、裁縫師であるとともに鍛冶師でもあるということだ。


「まあ、そういうことで問題ないわ。それよりも素材とか売ってくれると助かるわ。ちょっとスキルレベルが心許ないのよ」

「でしたら、昨日切り刻んだものが沢山ありますね。……あ、でも――」


 今思ったんだけどさ、まだ私は初心者装備オンリーなのであって(武器を除く)、これから防具を作ってもらうって話だけど、完成まで初心者装備のままというわけにもいかないわけで。


「代わりに今ある防具頂いてもいいですか?」

「私が作ったやつとのトレードってこと、か。結構人件費入っているけど大丈夫?」

「まあ、多分。足りなければベルグ(お金)払えばいいですし」


 防具は、上半身、下半身、頭、腕、脚の5箇所に装備可能で、他に5つアクセサリー(防御性能のないステータス補助等用のアイテム)の計10個のアイテムを装備可能。

 厳密にはそこに武器が追加されるけど、兎に角。


 私は、上半身用に水色の長着と下半身用に濃い青の袴を購入。

 まあ、素材と引き換えだから、トレードかな。正確には。

 あと素材の分がちょっと余ったから、大暴れするだろうアンバー用のオーバーパンツを用意してもらった。

 最後ので、ちょっとオーバーしたけど、まあ、問題ない。


「装備が出来たら連絡するから、少し待っててね」


 最後に、ナフトールさんとフレンドIDを交換して、今度こそ私達はフィールドに向かった。

 あ、あと、アンバーとも何故かID交換しました。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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