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プロローグ

 風が幾度と無く耳朶を打つ。

 けれども、風の元が身体を打ち据えることは、()()()()()

 私たちはお互いに木刀を以て、相手を打倒せんと剣戟を繰り広げる。


「――ハアッ」


 大きく弾かれた得物を手首の返しで引き戻し、目の前の友達(てき)の脇腹目掛けて振り抜く。


「甘い」


 けれど、彼には届かない。ギリギリのタイミングで身体を引いて、これを躱す。

 でも、それは想定済みだ。

 木刀を振り切った姿勢のまま、前身。

 右肩を押し付けて、衝撃にて彼を吹っ飛ばす。


「――チッ」


 思わずといった様子の舌打ち。

 何とも嫌そうな顔をしているけど、彼は寸前で私の攻撃を減衰させた。

 とんでもなく速い反応。

 彼曰く速いのではなく、多いらしいそれはそうは言っても、()()()()()()とんでもなく速い。

 攻撃はまともに当たらず、当たったとしても殆どノーダメージ。

 ああ、本当に――


「楽しいね、悠真!」


 獰猛な笑みを浮かべているとは思う。

 でも、私は今この瞬間が一番好きだ。

 未だ勝てない友達(てき)がいて、彼と技をぶつけ合える。


「――ああ。だけど、これで終わりにしようか。瑠璃(るり)


 彼も私と同じように口元を歪めて、2人揃って同じ構えを取る。放つ技は全くの同一。

 練度は彼が。速度は私が。

 互いに勝るものをもち、同時に駆け出した。


 これが最後になるとは、お互い知らずに。


 その後、彼は全てを失い、私は歩みを失った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 分かりにくいんですが、速いのではなく多いというの視覚野のフレームの事ですか? あと私にとっても速いというのは? 女の方は敏捷が高く、男の方は女よりも瞬発力が高いみたいな話ですか?
2023/08/23 20:15 退会済み
管理
[一言] これが最後になるとは、お互い知らずに。  その後、彼は全てを失い、私は歩みを失った。 この話の開始時点で現実っぽいし、これで事故って主人公が寝たきりだか、下半身不随、確認したら歩くの…
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