天使達と天界
空から何台もの荷を運んだペガサスがやってきた。その横に、男性の天使がふわりと降りてきた。
「お兄さま!!お久しぶりですね!本日も、お恵みをいただきまして、ありがとうございます!」
「やあ、ミーシャ。羽が生えたその後の調子はどうだい。飛び方にはなれた?また天界にも遊びにおいでよ。」
「はい!もちろんですわ!」
ミーシャが嬉しそうに男性の天使に話していた。
(あの時お兄様と叫んでいたのは、この人だったのね。)とアルテミスは思った。
荷台の中には、衣服などの日用品の他、樽に入った白い林檎が山と入っていた。
「今日は、子羊も一緒にいるね?新しい使徒志願者かい?」と男性の天使が言った。
「いいえ、この子は、いつぞやか私が助けた時のお礼をしに、わざわざ来てくださったのですわ。素直で、とても可愛い子ですのよ?」
(その私の影に、よもや獣人の子が潜んでいるとは、口が裂けても言えないわね。)
「ベル、絶対に出てきたら駄目よ。」とアルテは小声でつぶやいた。それに反応するかのように、アルテの影が少し揺らめいた。
「はい、おかげさまで、この右腕もすっかり傷跡もなく治りました!」
「へえ、律儀な子だね。可愛らしい。君が天使になるというのなら、いつでも大歓迎だよ!」
「はい!ありがとうございます!」
(眠る時に羽は邪魔にならないのかしら。)
「そうだ!せっかくだから、一度天界に遊びにおいでよ!可愛らしい子羊なら、いつでも大歓迎さ!」
「あのう、それは生きている内に行ける場所なのでしょうか…?」
「当然だよ!調度荷を下ろして空になった荷台もあるし、ペガサスの引く荷馬車に乗って、少し遊びに来たら良いよ!」
アルテミスは、今日初めて、天界に行くことになったのであった。