天界とペガサス
教会の、食事の時間が始まったようだ。教会にいる天使達が、祭壇前に置かれた長机に列をなし、座っている。目の前にあるものは、皿に乗り、食べやすくカットされた白い林檎である。
「さあさあ、せっかくですから、アルテミス様もご一緒にいただきましょう。」
ミーシャに言われ、引き攣った顔でアルテミスは椅子に座った。目の前には、先ほど味見をした味気ない果実が乗っている。げんなりした顔で他の天使達を見た時、アルテはあることに気が付いた。羽が生えている者と、生えていない者がいるのである。
「ミーシャ様、天使様の中には、一般の方もいらっしゃるのですか?」
とアルテミスは聞いてみた。
「いいえ、羽の生えていない子達は、これから生えてくるのですよ。実は、この林檎のみを4年食せば、天界に行くための羽が生えるようになっているのです。」
(4年間修行したら、その天界と呼ばれる所にいけるのね。)
「私は、さっき一口食べてしまいましたが、それだけでは羽は生えないということですよね?」
(林檎テロだわ…!)
「そうです。大丈夫ですよ。少し食べただけでは何も起きません。」
「それにしても、この白い林檎はどこに植わっているものなんですか?こんなに白い林檎を見るのは生まれて初めてです。」
「林檎は、天界から定期的に送られてくるものなのです。調度今日、その日ですから、アルテミス様もご覧になれますよ。」
天使たちの食事後、空高くから、鈴の音が聞こえてきた。教会を出ると、空から大きな荷を運ぶペガサス、そして天使達の姿があった。