悪役令嬢の婚約破棄~婚約者がおっさんなんて嫌すぎるので、異世界に行って幸せになります~
私は王家の血筋の令嬢だ。
領民に重税を課し、贅沢な毎日を送って来た。
そんな私には婚約者がいる。
顔は見たことはない。
どんな方なのだろうか。
毎夜、まだ見ぬ婚約者に思いを馳せる。
そして運命の日。
私は婚約者と初めて顔を合わせることになった。
窓の影から馬車から降り立つ婚約者の姿を覗き見る。
まず馬車から降りてきたのはスラリとしたイケメンだった。
おお、恰好良い。
あれが私の運命の人?
と思ったのも束の間そのイケメンはかしずいて馬車の中の人物を外に案内する。
なんだ、あのイケメン執事さんか。
そしたら今から出てくるのが私の婚…約……しゃ……?
私の眼前にはでぷっとした腹で短足で禿げ上がったおっさんの姿。
いやあああああああああああああああ!!!!!
あんな婚約者いやあああああああああ!!!!!
私は脱兎のごとく自分の部屋へと逃げだした。
そして私は異国の魔法使いから買い付けた一冊の魔法書を手に取る。
その魔法書は異世界へと転移させてくれる魔法書なのだという。
はじめは胡散臭ーと思いながら買ったのだが。
試しにメイドに魔法書を使ってみたら何処か虚空の彼方へと消え去ってしまった。
この世界に居たら私はあのデブ禿おっさんと結婚することになる。
この世界での婚約は絶対遵守の法なのだから。
ならば私はもうこの魔法書に頼るしかない。
さよならこの世。
私はめくるめく異世界へと旅立ちます。
魔導書をめくると私の体が淡く光りだす。
そして、目が覚めるとそこは馬小屋でした。
な、何で馬小屋ーーーー!!?
私の声に気付いたのかこの馬小屋の主が慌ててやってくる。
あれ……この子どこかで……。
って。
「あーーーーーっ!!!」
私と彼女は顔を見合わせ大声を上げる。
そうだ。
この子は私が異世界送りにしたメイドだ。
「なんでお嬢様がこの世界に……」
「色々あったのよ……」
思いっきり肩を落としながら私は告げる。
「まぁ……いいですけど。私、今幸せなんで」
「は?どういう……」
「私、イケメンの彼氏ができたんですよ~」
元メイドはのろけながらそんなことを言う。
……元メイドのくせに生意気な。
私にも紹介しろーーーーっ。
まぁ私もこの世界でイケメンを捕まえることにしよう。
この元メイドをいびりながらね!!
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