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三年目に  作者: こんにゃく王子
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発生

「俺は殺してない!俺は無罪だ!!」

男は裁判所でそう怒鳴った。平成最後にして最悪の犯罪、家族親戚殺しの容疑がかかっている男は明らかな証拠と証言がとられているにも関わらず一向に罪を認めなかった。弁護士は精神疾患の方向で罪を軽くしようとしている。その点ではこの被告人の言動はプラスに働いているだろう。

「被告人を、無期懲役の刑に処する」

弁護士の奮闘も虚しく、両親、兄弟、親戚の計8名を殺した被告人に下ったのは無期懲役の刑だった。


うだるような暑さの中、僕はタバコに火をつけた。「暑いけど吸っちまうんだよな〜」独り言を言いながらタバコを吸っていると後ろから声が聞こえる。

「休憩もその辺にして、そろそろ手伝っちゃくれんかのう」

背中を曲げてキュウリを収穫しているおばあさんがこちらに困ったような笑顔を向けて言う。

「ごめんごめん婆ちゃん!今行くでな」

丁度3年前の夏、僕は長野の山奥を彷徨っているところをこのおばあさんに救われた。そこからここでお世話になっているのだ。僕は記憶を失っていた。僕が覚えているのは、家族を殺され最後に見た、あの見覚えのある男のニンマリとした笑顔である。きっとあの男と僕は血が繋がっているんだろう。事件の内容を聞く限り、そうでないと辻褄が合わない。そんな男に下ったのは無期懲役の刑。だったのだが、その男は現在刑務所から逃走中らしい。


「よし、今日はここまでにしとこうかのう」

婆ちゃんの言葉に、達成感と疲労感の入り混じった感覚が込み上げてくる。

「いや〜疲れた!婆ちゃん、飯にしよう!」

僕はそう言うと婆ちゃんと笑顔で家に帰った。

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