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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
9/48

08 精霊剣とお話しよう(その1)

 『名無しの精霊剣』に新しく名前を付けたら、剣から私の事を『ごしゅじんさま』と呼ぶ、小学校低学年くらいの女の子が現れた。

 その女の子は自分の事を、私が剣に付けた名前と同じ「プロミネンス」と名乗った。。


「あなたは本当に『精霊剣・プロミネンス』なの?」


 女の子は頷く。


「はい。わたしはこんなみためですが、そのけんのせいれいです」


 この女の子は自分で言っているように『精霊剣』の『精霊』の方だと思われる。

 髪の色、目の色、さらに身につけているドレスまでも太陽を彷彿とさせる色合いをしているからだ。


「じゃあ、この剣が本体なの?」


 私が剣を持って問いかけると、女の子は「はい」と返す。


「念のため、『鑑定チェック』させてもらうね」

「はい。ごしゅじんさま」


 女の子から許可が出たので、『鑑定チェック』を行った。

 その結果がこの通り。


*****************


『精霊剣・プロミネンス』

 所有者:柊のぞみ(固定)

 技能スキル:火属性 実体化 自動修復

 備考:攻撃力が任意で変動する剣。変動幅は所有者の能力値の0%から100%。精霊として実体化時の能力ステータスは、所有者の能力ステータスの7割。


*****************


 『名無しの精霊剣』と同じ内容が出ていたが、違いは3つあった。1つは剣の名前で、『名無しの精霊剣』から、私が名付けた『精霊剣・プロミネンス』に変わっている事、もう1つは技能スキルにある『実体化』の注釈が消えていること、最後の1つは、備考の欄に『実体化』時の説明が追加されていることだ。

 以上のことから、彼女は『精霊剣・プロミネンス』であることがわかった。


「ね、プロミネンスって呼ぶの長いから、『ロミちゃん』って呼んでもいい?」

「もちろんです、ごしゅじんさま」


 私の隣で静かに見ていたクリスが、ここで口を開く。


「のぞみさん、私にも説明してもらえませんか?」


 クリスにも簡単な説明をする。


「……私もロミさんと呼ばせてもらってもいいですか?」

「ロミちゃんどう?」

「ごしゅじんさまがいいのであれば……」


 別に構わないので、クリスも『ロミ』と呼ぶことになった。ただし、さん付け。


「あ、そうだ。ロミちゃん」

「なんでしょう?」

「ロミちゃんはあの中に入れても大丈夫?」


 鞄を指して質問してみた。

 もともと剣は、この鞄の中に入っていた。今朝『鑑定チェック』した時、精霊剣だけは入る、と説明にあった。名前は変わったけれど、元は同じ剣だし、入ってもおかしくはない。

 なんだか寂しそうな顔になったけれど。答えてくれた。


「……はいれます。はいれますが……ごしゅじんさまのそばにおいてほしいです。そのなかですと、こうしてひとのかたちをとることもできませんから……」

「そっか、じゃあいつも持っているようにするね」

「ありがとうございます、ごしゅじんさま」


 鞄の中は亜空間になっているため、ロミちゃんが実体化している状態で剣を鞄に入れたら、その実体化も解けてしまうそう。

 それなら入れないでずっと持っている方がいいよね。

 とりあえず背中に背負う事にする。


「クリス、紐か何かない?剣を背負うに使いたいのだけど」

「紐ですか?探してきますね」

「まってください!」


 クリスが紐を探しに行こうとした時、ロミちゃんがそれを止めた。


「ロミちゃん?どうしたの?」

「そのくらいわたしのほうでなんとかなりますから。ごしゅじんさま、けんをください」


 ロミちゃんに言われ、鞘ごと渡す。

 剣を受け取ったロミちゃんが「んー」と魔力を込めると、背負う事ができるよう、剣の鞘に紐がついた。


「これでいいですか?ごしゅじんさま」


 新しく付いた紐の状態を確かめるため、背中に背負う。


「うん、ばっちり。でも抜く時大変ね」


 背中に背負った状態では、長い剣を抜く事はできない。


「それもだいじょうぶです。わたしのほうでサポートしますので」


 ロミちゃんがサポートしてくるのであれば、大丈夫だろう。

 ただ、疑問に思うのはどんなサポートをしてくれるのか、ということだ。


「試してもいい?」

「はい。もちろんです」

「クリス、庭使わせてもらうね」

「待ってください!私も行きます」


 私達3人で庭へ出る。


「それじゃロミちゃん、よろしくね」

「はい」

「クリスは後ろからみてて。どんなサポートか知っておきたいから」


 私は右手で剣の柄を握り、剣を抜くように手を動かす。すると、何の抵抗もなく、するりと動かすことができた。そのまま正面に向かって袈裟斬りをしてみる。

 振り切った剣を見ると鞘はなく、ほんのり赤みがかった銀色の長い刀身が姿を見せていた。

 流石にこれには驚いた。

 背中に左手をまわすが鞘はどこにもない。それに、長い刀身がすべて露出する程腕は長くない。

 ロミちゃんがサポートしてくれている事はわかっていたので、後ろから見ていたクリスに話を聞くことにした。


「クリス、どうだった?」

「……のぞみさん、背中熱くなかったですか?」


 クリスが心配そうに聞いてくる。


「いや?全然?」


 全く分からないが、聞かれたので答えた。


「なんだか、鞘の部分だけが火に包まれて消えてなくなりましたけど……」


 えっ?ロミちゃん何したの?

 ロミちゃんに話を聞くと「さやをひにかえてけした」そうだ。もちろん私には被害が出ないようにしているとのことだが……先に言っておいて欲しかった。

 ちなみに剣を使い終わった時は、そのまま背中に持っていけば、ロミちゃんの方で全てやってくれるそうだ。洗浄も自動修復の技能スキルでやってくれるとのこと。

 私は何もしなくて済むなんて……楽でいいよね。

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