閑話:ココとクリスの素材採取
思いつきでできた短いお話です
私、ココですわ。
メイサとベラトという2つの街を治める、リンデルニア家の長女ですわ。
実家は貴族ですが、今は冒険者として、のぞみさん率いるパーティ『赤青の流れ星』に所属していますの。
私とリーダーであるのぞみさんのほか、錬金術師のクリスさん、メイサの巫女であったセチア樣が所属していますの。
私の役職はのぞみさんと同様、前衛ですわ。模擬戦をした時、実力はほぼ同じだと思っていましたが……それは間違いでしたの。ハイゴブリン達を葬ったあの技能は、のぞみさんの「切り札」だと思いますの。
使用後の代償が行動不能、というのは大きすぎますし……。
後で技能の詳細を聞いてみないといけませんわね。
現在のぞみさんはセチア樣と一緒ですの。
そして、私はといいますと……。
「たあっ!……クリスさん、まだですの?」
「もう少し、です」
砦をアルデバラン側へ出た森の一角で、クリスさんの護衛をしていますの。
クリスさんが錬金術の素材を集めている間、彼女は無防備になりますの。その無防備なクリスさんを守るのが、今日の私のお仕事ですわ。
「終わりました。ありがとうございます」
「……それはなんですの?」
クリスさんはたくさんの草を抱えていましたの。
「回復薬の材料ですよ。錬金術で作る方が効果が高いので、たくさんあっても問題なしです。それにのぞみさんに預けておけば、痛みませんからね」
のぞみさんに預けておけば痛まない根拠ってなんですの?
クリスさんは知っているようですが、いくら仲間内とはいえ、冒険者の装備の詮索はしてはいけませんわ。
どうしても知りたいなら、のぞみさん本人に聞いてみるのが、一番ですわね。
「ココさーん、手を貸してもらえませんか?」
「クリスさん?どうしましたの?」
「あの木の実を取りたいですが……届かなくて」
クリスさんの指す方を見ますと、赤いきのみがありますわね。
「もちろんですわ。私は何をすれば良いですの?きのみだけを落とすのは難しいですわよ?」
「剣で枝ごと切ってくれればいいですよ」
「わかりましたわ」
クリスさんに従い、枝ごとその木の実を渡しましたの。
「これでよかったですの?」
「はい。ありがとうございます」
「できればその上にあるきのみも欲しいのですけど……」
先ほどよりも、少し高い所ですわね。
「……風の魔法で切り落としてみますわね。風よ、切り裂く刃となれ。〈ウィンドカッター〉!」
狙った場所に風の刃が飛んでいき、枝ごと落ちてきたきのみを、クリスさんがキャッチしましたわ。
その背後に、ドスン!とゴブリンが落ちてきたのは予想外ですわね。
「クリスさん!後ろにゴブリンですわ!」
「はい?きゃあっ!」
クリスさんが振り返ると同時に、ゴブリンに体当りされ、そのまま押し倒されてしまいましたわ。
そのゴブリンは目の前にいるクリスさんしか見ていないのか、その服を引き裂こうと手を伸ばしますが、そんなことさせませんわ!
「クリスさん!」
突如押し倒されたショックと、恐怖で声が出せずに、動けなくなっているクリスさんに変わって、私がゴブリンを蹴り飛ばしましたわ。クリスさんに続き、私の姿を見たゴブリンは、笑みを浮かべますが、1匹だったので即座に斬り捨てましたわ。
「クリスさん、大丈夫ですの?」
「……ココさん……ありがとうございます」
目に涙を浮かべながら力のない声で、私にお礼を伝えましたの。
「今日はもう帰りませんこと?」
「はい……そうします」
こうして私とクリスさんの採取は終わりましたわ。




