38 スケルトン退治をしよう
遅れました。
「…………」
スケルトンの数に私達は絶句していた。
こんな数がいるなんて思わなかった。私達に依頼するレベルだから、そこまでの数はいないだろうと考えていたのに……。
だけど、依頼内容はスケルトンの討伐。
「……多すぎませんか?この数は……」
「私も同じですわ。のぞみさん、一度引くべきですわ」
「……確かめたいことがあるから待って……」
確かめたい事は私の持つ〈光属性魔法〉と〈神聖力〉について。
アンデッド族の仲間である、スケルトンに対して有効なのは知っているが、果たしてどの程度有効なのか、ライラに聞いてみる。
『〈光属性魔法〉と〈神聖力〉がどのくらいアンデッド族に対して有効か、ですか?のぞみ様の〈神聖力〉に限りますが、スケルトン程度であれば、必殺の一撃でございます』
『……私の力ってそんなに強いの?』
『はい。仮にアンデッド族上位に位置する魔物であっても、致命傷を与えることができます。クリス様とココ様に付与してあげてくださいね』
ライラの言う通りなら、当てる事ができれば一撃で倒せることになる。というか、上位魔物であっても致命傷になるって、相当よね。
どうしようもないときは、ライラ任せにしよう。
「クリス、ココ……やるよ」
「本気ですか?」
「本気ですの?」
語尾が少しだけ違うが、ほぼ同じタイミングで確認されてしまった。
「もちろんよ……しっかりついてきてね。……かの者に聖なる力を……〈付与、神聖力〉」
クリスとココに神聖力を付与し、先陣を切ってスケルトンの集団に突撃する。
「……わかりましたわ……クリス、いきますわよ!」
「はいっ!」
私に遅れて、ココとクリスも攻撃を始めたようだ。
ちなみにスケルトンと言う魔物は、一言で済ますと動く骸骨である。例えバラバラにしたとしても、その体に魔力が残っている限り何度でも復活する。完全に倒すには神聖な力で浄化するか、跡形も残さず焼き払うという方法がある。
今回は前者の方法を使っている。
「たあっ!」
神聖力を纏わせた刀でスケルトンを斬れば、そのスケルトンは金色の光に包まれながら、活動を停止させる。
ちなみに刀がかすっただけでも、同じことが起きる。つまり、私は刀を振り回しているだけで、スケルトンは倒れていく。
クリスとココの方は大丈夫なのかな。
チラッと様子を見れば、ココは剣でスケルトンを袈裟斬りにし、クリスは杖でポカポカ殴っている。
ちなみにスケルトンの見た目は骸骨だけど、姿形には種類があるようで、ゴブリン型、ウルフ型の姿があった。
行動そのものは通常の魔物と同じであるが、アンデッドだからなのか、仲間を倒されても平然として襲ってくる。
粗方討伐し数が減ってきたので、ちょっとした実験をしてみる。
神聖力を使った攻撃では一撃で倒してしまうため、スケルトンの強さがいまいちわからない。
神聖力を解除し、攻撃を加えてみる。
刀の当たった箇所の骨が外れ、その骨は地面に落ちる。
そして、スケルトンはその骨を拾い、もとあった場所にくっつけた。その後は何事もなかったかのように、私に向かってくる。
そのスケルトンはゴブリン型だったため、自力で修復したが、ウルフ型ならば、どうだったのかな。
四足歩行の彼らなら、拾うことはしなそうだけど……。
だからと言って、試してみようにもウルフ型スケルトンはもういない。
「こいつで最後、ですわっ!」
ココが最後に残っていたスケルトンを倒したので、そちらへ向かった。
「ココ、お疲れ様」
「どうってことありませんわ。のぞみさんの神聖力の付与がなければ難しかったはずですわ」
「神聖力の付与してもらっただけで、スケルトンを殴って倒せるとは思いませんでした」
それは私も同意できる。
チラッと見たら、その瞬間だったから。
「この辺りをもう少し調べて、スケルトンがいなかったら戻ろう」
「そうですわね」
「クリスは……」
クリスにも伝えようとしたけれど、クリスはすでに辺りを調べ始めていた。
「……なんでしょう?」
「ううん、なんでもない。なにか見つけたら教えてね」
クリスは「わかりました」と返事を返してくれたので、大丈夫でしょう。
3人で周囲を調べていた時だった。
部屋の中央付近に魔法陣が浮かび上がり、一人の人間が現れた。
「む……なんだお前たちは」
「っ!?」
私はもちろんの事、その声に気づいたクリスとココも、慌てて武器を取り戦闘体勢になる。が、その人間の男が一瞬だけ放った殺気に負け、武器を落としてしまっていた。
そして彼は私に向き直ると、口を開き問いかける。
「ここにいたスケルトンはどうした?」
『のぞみ様、彼との戦闘になることだけは避けてください』
ライラに言われなくても、この男と戦って勝てる見込みはないし、なによりクリスとココは、腰を抜かしているようで動けないみたいだし。
それにスケルトンは倒してしまっている。そんな事を堂々と言えるはずもなく、どういう返しをしたらいいか、悩んでいたら男の方からさらなる問いかけが来た。
「……ふむ……スケルトンは強かったか?」
「…………」
そんな事言えるわけない。神聖力で一撃だったけれど、まともに戦ったら時間がかかっていた。
「よい。お前の反応でわかった。神聖なる力で倒したのであろう」
魔力を感じ取れるらしく、そう結論をつけた。
「それになかなか強い力を持っているようだな」
そういって男は微笑み、何もない場所から黒く大きな剣を取りだす。
なんだか嫌な予感がするんだけど……。
「お前の力を見せてはくれないだろうか」
あ、やっぱりそう来るのね。
「……断ったらどうなるの?」
「どうもしないさ。俺の邪魔をしたとして、全員排除するだけだ」
私に選択肢なんてなかった。
「……見せればいいのね?」
「それだけでお前達の命は助かるのだからな」
ライラに「戦闘は避けて」と言われたけど、断れば排除するなんて言われたら、受けるほかない。
「わかったわ……ちゃんと約束は守ってよね」
「もちろんだ。さぁ、こい」
私は刀に神聖力を纏わせ、袈裟斬りにしようと刀を振るう。
「ふんっ!」
男は手に持った黒い剣で刀を「ガキン」と受け止めた。
「ほう……スケルトンがあっさり死ぬわけだ」
「なんの、話……よっ!」
「お前の神聖なる力の事、だ!」
男は私の攻撃を受け止めた状態から、刀を弾き飛ばし、がら空きとなった私に剣の腹を叩き込んだ。
私はそのまま吹っ飛ばされ、壁に強く叩きつけられる。そしてそのまま地面に落ち、意識を失った。
◆
クリス視点
私が動けるようになった時、のぞみさんは地面に倒れていました。
のぞみさんの所へ駆けつけます。
私から遅れて動けるようになったココさんも来ました。
「のぞみさん!大丈夫ですか!?」
「しっかりするのですわ!」
返事はありませんが、息はしているのでひと安心です。
うつ伏せで倒れているので、仰向けにします。
少し離れた場所に魔法陣が出現し、ココさんが警戒しますが、あれはライラさんのものです。
……のぞみさんってライラさんの事をココさんに話していない気がしますけど……。
名前を聞いて凄くびっくりしていますが、軽く説明して、あとはのぞみさん任せにします。
のぞみさんすみません。
ライラさんの治癒魔法で、怪我は治してもらいましたけど、すぐには目覚めないようです。
私とココさん、ライラさんで周囲を警戒しながら目覚めるのを待ちます。
早く起きてくださいね、のぞみさん。




