37 洞穴探索しよう
私達が向かう《宝石の洞穴》について、冒険者協会で仕入れた情報を整理しよう。
まず、内部について。
分かれ道が多数存在するものの、基本的に一本道であり、来た方向さえ分かれば迷うことはないという。
出現する魔物は、洞穴の浅い場所にはゴブリンが、深くなるにつれて、土や石でできたゴーレムが出現するという。
ゴーレムと言うのは、人の形をしたロボットのようなもので、魔石を核に動いている。洞穴内部で出現するのは土や石だが、鉄でできていたり、その他鉱物によって体が作られている事もあるそうだ。
そして、この洞穴の名称の元となっている宝石はどこで採れるのか、というと、ゴーレムの体から採れる。
小さな宝石の欠片であれば、辺りを掘れば採れるが、質の良い宝石を手に入れるのであれば、ゴーレムを倒す必要がある、ということ。
ゴーレムを倒す方法は、直接核である魔石を破壊するか、魔石に蓄えられた魔力を枯渇させるかの2つがある。
現在私達は土ゴーレムと戦闘中だ。
「ていっ!」
刀で斬ろうとしてみたが、ガキン!と弾かれてしまった。
土ゴーレムはカウンターにパンチを放ってくるが、動きが鈍いため、避けるのは容易い。
容易いけど、当たれば痛い。
「あー……普通にやっても斬れないわね……」
「当然ですわ。土とはいえ、魔法で強度は上がっていますもの。ゴーレムには魔法が一番ですわ。クリスさん」
「はい……〈ウォーターボール〉!」
クリスの魔法が土ゴーレムに当たり、動きが少し鈍くなった。そこにすかさず私が〈ファイアーボール〉を、ココが〈ウィンドカッター〉を撃ち込む。
追い打ちに放った魔法はすべて土ゴーレムに当たり、土は頭部にある目から光をなくし、崩れ落ちた。
「核はどこにあるのかな……」
「ご主人様、どうたいのまんなか、むねにあるまるいものがかくです」
ロミちゃんに言われた場所を見ると、透き通るような紫色の玉があった。
「これね……」
それを取った直後、土ゴーレムの体が崩れ、普通の土塊に変わってしまう。
「魔石を取ると普通の土に戻るのね」
「ゴーレムは魔石の力で形を保っているのですわ。所謂心臓ですわね。それに核である魔石を体に放置すると、また動き出しますの。ゴーレムを完全に止めるには、魔石を抜き取るか、壊すのが一番ですの」
なお、現在ロミちゃんは人の形をしている。最初にロミちゃんを見せた時、ココは戸惑っていた。
それはそうよね、私の持つ剣(刀)から小さな女の子がでてくるのだから。
説明したあとの第一声が、「精霊と契約していたなんて……流石のぞみさんですわ!」だった。
ちなみにまだ、ライラについては話をしていない。
ココと模擬戦で戦ったからわかるけど、ココはなかなか強い。
ゴーレムのパンチを盾で受け止める……のは「流石に厳しいですわ」と言っていたけれど、ゴブリンはあっさりと倒していた。
ココのレベルは私と同じくらいではあるが、ステータス上はすべてココの方が上だった。
……模擬戦で引き分けに持ち込めたのが不思議でならないくらいに……と、私はそんな事を考えながらゴーレムを倒している。
魔法を使わず、刀で。
普通に斬ることはできなかったが、魔力を纏わせたら普通に斬ることができた。
「のぞみさん、お手伝いお願いしますわ!」
見れば石ゴーレムと一騎討ちだった。体が石でつくられている為、剣を使うことができず、魔法で対処していたが接近されてしまい、防戦一方になっていた。
クリスはというと、こちらに気づいて襲ってくるゴーレムを魔法で足止めしている。
クリスの方には、実体化しているロミちゃんに加勢してもらい、そのまま倒してもらう。
ロミちゃんはいつの間にか火属性魔法を使えるようになっていて、ちょっと驚いたけど、本人が大丈夫と言っているので、任せることにした。
すぐさまココの加勢にはいり、刀で石ゴーレムを切りつける。
傷を付ける事はできたが、あまりダメージを与えたようには見えない。そのせいで攻撃対象が私に移ってしまった。
「土ゴーレムみたいにはいかないわね……っと」
石ゴーレムも、土ゴーレム同様、動きは遅く、攻撃を避けるのは容易い。しかし、体全部が石でできているため、その分攻撃力と防御力が高い。
刀に纏わせる魔力を増やせば、ダメージを増やせるが、今回の目的はスケルトンだ。私はMPを温存するが、クリスはガンガン使っている。
「風よ、切り裂く刃となれ。〈ウィンドカッター〉!」
ココの風魔法が石ゴーレムの足を切断し、行動不能にさせる。
「剣は大丈夫ですのっ?」
ココが刀を心配して、私の元へとやってくる。
「大丈夫よ。石ゴーレムを倒しておかないと」
「そうですわね」
魔法によって足を切断され、地面に転がされた石ゴーレムのHPはまだ半分ほど残っているが、時間節約のため、二人で魔法をぶつけて倒すことにした。
「ファイアーボール!」
「ウィンドカッター!」
私とココの魔法が炸裂し、胸にある核を破壊する。
核を壊してから気づいたけど、動けなくさせたのなら、核を回収すればよかったと思う。
核と呼ばれているが、あれは魔石だし。
「ご主人様、ココ様、おつかれさまです」
「のぞみさん、私達が倒したゴーレムの魔石です」
ロミちゃんが労ってくれている。それからクリス、それを私に渡そうとしなくてもいいからね?
自分の〈道具箱〉に入れておけばいいと思うよ。
道中、ゴーレムに足止めされたりもしたけれど、私達はスケルトンが現れたという場所までやってきた。
見たところ、この場所は採掘の最前線のようで、シャベルやつるはしが置かれている。
「この辺りを詳しく調べてみましょ。なにか痕跡が見つかるかもしれないし」
「そうですわね」
ロミちゃんを含む、4人で手分けして調べていると、ロミちゃんに呼ばれた。
「なにか見つけたの?」
「……よこあながあります……かげにかくれてみえにくいですが……」
確かにそこには横穴があった。
穴の大きさは、身長155センチ程の私が屈んでギリギリ通れる程度だ。
奥の方は暗闇に包まれていてよく見えないが、スケルトンが出てくるのは、きっとこの場所だろう。
「ココ、どうしよっか」
「私達への依頼は討伐ですわ。ここで働く方々の安全を確保するべきですわ」
「それもそうね……明かりは……」
「あかりはわたしにまかせてください」
ロミちゃんはそう言うと、小さな火の玉を出現させた。
〈ファイアーボール〉で放つ玉よりも小さいが、明るさは十分にある。
ありがたいのだけど、「MPは大丈夫なのか」と聞いたら「火の精霊でもあるのでだいじょうぶです」と言われた。
確かにロミちゃんには太陽の紋章が刻まれていたっけ。
ロミちゃんが出してくれている灯りを頼りに、私達は横穴を進んで行く。
進んだ先で見たものは、ガシャガシャと蠢く骨の山、数えきれない程のスケルトンの群れだった。




