表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
3/48

02 助けを待とう

 なんの説明もないまま、異世界へと旅立たされた私は、いきなり命の危機に晒されている。

 なぜかって?

 それはね……。


「なんでいきなり空中なのよーーー!?リドちゃーん!!」


 さっきの神様の名を叫ぶけど、返事はない。

 いや、そんなことよりも今は、森へ向けてまっ逆さまに落下中なのだ。

 何とかしないと死ぬ!まだ始まってもいないのに死にたくない!

 あっ、リドちゃんから貰った鞄があった。

 なにか使えるもの……って、もう緑の大地が近い!

 なにもないよりはマシだと思い、鞄を盾がわりにして、そのまま私は森の中に落下した。

 どのくらいの時間が経ったのだろうか。

 目が覚めた私は体を動かそうとするが、うまく動かせない。両手が自由に動かせる事が救いだ。

 見える範囲で、周囲の状況確認をしよう。

 体がうまく動かせない理由はすぐにわかった。折り重なった枝や蔓に、偶然はまってしまっているからだ。

 わかりやすく言えば、浮き輪にすっぽりはまってしまって、自力で抜けられなくなってしまったようなものだ。

 それに私は、地面からおよそ2メートル程の場所にいる。

 枝や蔓を切る事ができれば降りられるけど、落ち方によっては怪我する高さだ。

 切るものと言えば、リドちゃんから貰った剣がある。

 しかし、どこにあるのかわからないし、そもそも私が振り回せる代物なのかもわからない。

 よって私が取れる行動は……誰かが通るのを待つ。ただこれだけ。

 待つって言っても、こんな森の中に入ってくる人なんて、普通ならいないと思う。しかし、ここは異世界なのだから冒険者とか、ならず者みたいのとかがいても不思議じゃない。

 もしくは人間じゃない、何かとか。

 ともかく、自分ではどうしようもないし……少し休もうと思う。


 どのくらい休んだのかわからないけど、なんだか下の方がギャアギャア騒がしい。

 何事かと思い見てみると……全身が緑色の小さい鬼?……これってゴブリンかな。服の代わりに布切れを体に巻いて、手には棍棒。それから剣を持ったのもいる。

 下で蔓を切ろうと剣を振り回してるけど、蔓には全く届いていない。

 しかし、私には何かの拍子に届きそうなため、すっごく怖い。


 しばらくすると彼らは諦めて帰っていったけど、今度は私自身に危機が及ぶ。それはね……おトイレ行きたい!

 17歳にもなって漏らすのは嫌だし……誰か来てよー、と叫びたい。叫びたいけど、またゴブリンが来ても困る。

 いっそこのまま……と思ったら、同い年くらいでローブを纏った少女を見つけた。

 彼女は草を採っているようで、私には気づいていない。

 ある程度採取したら、立ち上がり、その場をあとにしようとする。

 彼女を逃したら、助けは来ないと思い、彼女に声をかけた。


「すみませーん!」


 私の声に気づいたのか、キョロキョロと辺りを見回す。


「こっちです、後ろです!」


 振り向いた彼女は私を見て、不思議な生き物を見た顔を見せた。


「あの……引っ掛かっててうごけないので……助けてもらっていいですか?」

「……あ、はい。ちょっと待っていてくださいね」


 彼女は私の下に落ち葉や枯れた枝を集めてきて、無いよりは良いとも言えるクッションを作る。そして、背負っていた杖に蔓で石を巻きつけた。

 私を落とすつもりかと思ったら、そのまさかだった。


「え、待って?」

「待ちませんよ?ゴブリンがまた来るかもしれませんから」


 ゴブリンってさっきの小鬼だよね。


「ゴブリンの子どもを産みたいなら待ちますけど……産みたくないですよね?」


 それはそうだ。私はあんなのを産みたくない。やっぱり人間がいいもの。


「落ちると痛いかも知れませんが、そこは心配しないでください。私が薬で治しますから」

「いや、待って!せめてこれも下に置いて」


 私は持っていた鞄を彼女に投げ渡し、下に置いてもらった。

 彼女は簡易的な斧を使い、私を支えていると思われる枝を折っていく。

 枝が私の重さに耐えられなくなったところで、バキバキと音をたてて折れた。枝が折れれば私も落ちる。


「ーーッ!!」


 落ちた時に思いきりお尻を打ったけれど、鞄と集めてくれた葉っぱのお陰か、大事には至らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ