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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
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31 クリアボーナスを貰おう

 私の前には、ゆで卵を潰した物と紅茶、食パンが並べられている。この懐かしい光景は、きっと夢か幻なのだろう。

 私は今、電気・ガス・水道のない異世界で生きているのだから。

 それに食パンのような形のパンは見たことないものの、パン自体は存在している。クリスの錬金術で作られたものしか口にしたことないから、正確な味は知らないけれど。


「のぞみ姉様、わたくしの作ったタネはお嫌い?」

「そうじゃないわ」


 スプーンを手に取り、食パンの片側半分にタネを乗せ、二つに折る。


「いただきます」


 卵の味を崩さない程度に胡椒がまぶされ、丁度いい加減となっている。

 夢か幻なのか、どちらかわからないけれど、味覚といった五感もはっきりしている。

 気づいた時には、残さず綺麗に食べてしまっていた。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さまです」


 着替えの為、自室へと向かい、クローゼットを開ける。

 中には制服やコートの他に、メイド服といった自分で買った記憶のない服が収められていた。


「……高校の制服まであるのね」


 今となっては着ることのできなくなってしまった、高校の制服に袖を通す。

 いつも着ている和ロリのスカート丈が膝上5センチくらいなのに対して、制服のスカートはそれよりもさらに5センチ程短い。だけど、日本にいた頃の事を思い出して、懐かしい気分になった。

 そして奥の方には異世界で着ている赤色の和ロリ(着物風ワンピース)もあった。

 その異世界で着ている和ロリに手をかけると、声が聞こえてきた。


「……生命の精霊……本当にいたんだ……しかも契約者がのぞみちゃんなんて……」


 この声はエマ?


「のぞみ様は私の事をあまり知られたくないようですが、主人が危ないのに出てこない精霊はいません」


 今度はライラの声だ。

 その服から手を話すと、声は聞こえなくなった。

 この疑似世界から脱出するにはこれを着なくてはならないのね。

 そう考え、着替えを始める。


「姉様、わたくしと学校へ……!?」


 見たことのない服を着ようとしている私に驚き、部屋の入口で止まるみずほ。


「ごめんね……みずほ……私は戻らないと」

「姉様……」


 何かを悟ったみずほだったが、すぐにいつもどおりの顔になり、「行ってきます、だけは言ってほしいな」と言い残して部屋を後にした。

 みずほを見送り、私は着替えた。そして先ほど言われた通り、行ってきますの挨拶をみずほにする。


「姉様!」

「みずほ……なに……んむ!?」


 みずほに呼び止められ、振り返るとそのまま口付けされた。

 数秒間という時間であったが、みずほの唇の柔らかさを感じ取れた。


「……のぞみ姉様……いってらっしゃい」


 みずほは顔を染めながらも、私を見送ってくれている。

 そんなみずほの視線を背に受け、靴を履きドアを開き、一歩踏み出す。

 そして落ちる。

 ……落ちる??


「またなのーーー!!!!?」


 この世界に来た時と違い、真っ暗闇の中をひたすら落ちていく。

 しばらく落ち続けると、光が見えてきた。その光はどんどん強く眩しくなり、やがて耐え切れずに目を閉じた。

 

 そして目を開けると、生い茂った緑が視界に入ってきた。

 とりあえず起き上がると、傍には綺麗な青色がある。


「……のぞみさん?」


 クリスがのそのそ起き上がり、私を見る。


「のぞみさん……ですよね?」

「……そうよ?」


 まだ寝ぼけているのかな。と思ったがそうじゃなかった。

 私の声と姿を確認して、目に涙を浮かべて私に抱きついた。


「ちょっ!?クリス?」

「……よかったです……のぞみさんが、戻ってきてくれて……」


 それに気づいたトーマ達が駆け寄って来る。


「のぞみちゃん、目を覚ましたんだね」

「のぞみちゃんが巫女だなんて初めて知ったし……それに生命樹の精霊ライラ様と武器精霊の二柱と契約している方が驚いたわよ」


 ライラはどうしようもないけれど、ロミちゃんはなんでバレちゃったのだろう。


「のぞみさん、すみません。ロミちゃんのこと喋ってしまいました」

「のぞみ様、あまりクリス様を責めないでくださいませ。ロミさんが実体化して、のぞみ様を支えてくれたのですから」

「そっか……ロミちゃん、ありがとね」

「いえ、このくらいしかできませんので……」


 お礼にロミちゃんを撫でてあげた。


「さて、のぞみちゃん。早速で悪いんだけど、動ける?」

「……たぶん」


 立ち上がり、軽く体操してみる。体はちゃんと動く。

 魔力(MP)もある程度回復しているようで、問題ない。でもどうやって魔力(MP)回復したのだろう。普通に全回復するのを待つと、一日近くかかっていたはずだが、私が倒れてからそんなに長い時間は経っていないらしい。

 魔力(MP)はどうやって回復させたのか聞いてみたが、やや頬を染めたクリスにはぐらかされてしまった。

 本当にどうしたのだろうか……。


「大丈夫そうだね。さっきのぞみちゃんが倒したホブゴブリンは階層主だったから、迷宮ダンジョン最深部への扉がでている。そこにある祠に祈りを捧げれば迷宮踏破になる。さぁ、行こうか」


 途中にも魔物が出てきたが、私を心配して迷宮ダンジョンを出るまで傍にいると言うライラと、トーマ達が倒してくれた。


「この迷宮ダンジョンにはいないけれど、最深部には迷宮守護者ダンジョンガーディアンがいることがあるから気をつけてね。特に世界六大迷宮(ダンジョン)と言われる高難易度の迷宮ダンジョンには必ずいる」

「特に世界六大迷宮(ダンジョン)ってなんなの?」

「世界に六本ある世界樹のことよ。世界樹の属性に合わせて、火・水・風・土・光・闇の六つの大迷宮(ダンジョン)ね」


 つまり、私は『世界樹』に『生命の雫』を与えるという立場上、その全ての大迷宮を攻略しないといけないってことね。私とクリスの二人だけじゃ絶対無理よね。

 そんな話をしているうちに迷宮ダンジョン最深部にある、祠の前までやってきた。


「祠にお祈りすると迷宮ダンジョン踏破のボーナスが送られるからね。それは技能スキルだったり道具アイテムだったり、何が送られるかはまったくわからないけど……いいものだといいね」


 ボーナスはランダムになるのね。

 さて、私の番が来た。

 祠にお祈りを捧げる。その直後、鞄が光った。

 鞄に技能スキルがついた?すぐに確認したいけど、クリスのボーナスも気になる。

 クリスのお祈りが終わったようだ。


「のぞみさん、やりました!大当たりです!!」


 クリスはいい技能スキルを貰えたらしく、とても喜んでいる。


「……のぞみちゃんとクリスちゃんはいいものをもらえたようね」

「エマはどうだったの?」


 思わず聞いてしまったが、エマは普通に答えてくれた。


「まあまあってところかしら。少なくともトーマのアレよりはいいわね」

「……苦労して突破したのに……タワシ……」


 トーマの方を見ると、ボーナスはタワシだったらしく、めちゃくちゃ落ち込んでいた。それをマナが慰めているところだった。

 この世界でもハズレ枠としてタワシがあるのね……。

 私達は落ち込んでいて動けそうにないトーマを引きずって、迷宮をあとにするのだった。


みずほ「のぞみ姉様……また会えますよね?」

クリス「のぞみさんは私が守りますっ!」


みずほちゃんはまた出る……かもしれない?

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