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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
27/48

29 ベラト迷宮を突破しよう(その2)

なんとか纏められました。

 私達は現在、ベラト迷宮ダンジョン第六層にある、安全地帯にいる。

 第五層までは草原が広がっていたが、ここは森林が広がっている。

 足元は木の根っこが出ていたり、ぬかるんでいたりと非常に歩きにくい。さらに言えば、ここは迷宮ダンジョンの中であるため、魔物も多い。

 この層に来てからスライムだけでなく、ゴブリンの姿も見るようになった。外にいるゴブリンと同じように剣や棍棒で攻撃してくる個体に加え、魔法を使って攻撃してくる個体もいる。使う魔法の種類は、火属性魔法を除いた、水、風、土属性の三種類を確認している。

 ゴブリンとスライムは、二体~五体の混合編成を組んで行動しているが、チームワークと呼べそうな動きはなく、全員で襲ってくるだけである。


「俺たちは一度地上へ転移して、またここへ戻ってくるけど……のぞみちゃん達はどうする?この場所からの転移に限り、再出発リスタートもここからできるし」


 トーマがそう提案するが、私達にはまだ余裕があるからこのままでも構わない。


「じゃあ俺たちは一度戻るよ。この先も一緒に行くんだから、ここで待っててな」


 私は「わかったわ」と伝え、彼らを見送る。

 今現在、この場所にいるのは私達だけだ。何をして待っていようか考えていたら、クリスが錬金術で道具アイテムを作りたいと言い出した。


「いいけど……この場所でも作れるの?」


 確かに釜を始めとした、錬金術の道具は持ってきている。建物の中でなくても錬金術は使えるのか不安がある。


「問題ありませんよ。」


 問題ないと言って、道具箱アイテムボックスから錬金術の道具を広げていくクリス。


「のぞみさん、私が採取した素材が入った篭をください。それと食材もです」


 その篭と食材をクリスに渡し、私はいつも通り眺めることにする。見ていて飽きないからね。


 ◆


 安全地帯で魔物は来ないとは言え、私たち以外の冒険者はやってくる可能性がある。この迷宮の難易度は新人冒険者のみでパーティを組んでも、準備さえしっかりしていれば攻略可能なレベルらしい。

 そんな事を思い出していたら、他のパーティがやってきた。


 そのパーティは五人編成で、腰に剣を差した剣士が二人、魔法使いが二人、弓を持った者が一人だ。剣士二人以外は全員女性だった。


「まだまだ余裕だな、俺たち」

「そうだな、このまま先へ進もうぜ」


 彼らはここが安全地帯だと知らないのだろうか。とはいえ、私も知らなかったのだけど……。

 男たちはこのまま進もうとしているようだけど、女性の方を見るとだいぶ疲れている様子だった。

 私の持つ回復薬ポーションは残り三本。今クリスが何かを作っているが、何かは聞いていないのでわからない。

 三人の女性の中の一人と目が合うが、男たちがどんどん先へ進んでしまうので、私は「ごめんなさい」と思いながら見送るしかできなかった。


「のぞみさん、新しい道具アイテムが出来ました」

「どんなのができたの?」

「これです。飲むと元気になります」


 そう言って渡されたものは、どう見ても普通の錠剤だった。

 効果を知るためにチェックを使ってみる。


 *****************


『元気の薬』

 服用するとHPが少しずつ回復し、とても元気になる。


 *****************


 とても元気になる……ってなんのことなのかな。

 これだけでなく、減ってしまっていた回復薬ポーションも作ってくれた。


「お肉はパンや葉物と一緒にして錬金術を使ったら、このような形になりました」


 差し出されたそれはどう見てもハンバーガーだ。クリスに許可を貰い、分解してみる。パンに葉っぱとお肉――お肉100%のハンバーグが挟まっている。

 当たり前だが、ケチャップとかそういったものは一切入っていない。


「そのほかの一部は非常食のようなものになりました。」


 こちらは水分が抜けて干からびたお肉だった。もちろんこれもチェックをしてみる。



 *****************


『アルケミート(狼・鶏)』

 元の素材となったお肉本来の旨さが凝縮されているが、錬金術以外では調理不能な食材。


 *****************


 錬金術師以外には調理できなくなってしまったお肉の塊になっていた。

 私は料理とかあまり出来ないからいいけど。


「ビッグスライムに使った試作品も完成させました」


 名称を聞いたら『クラフト』という爆弾で、爆発するとトゲをばらまく物のようだ。

 それをクリスは持っていた小さな鞄に入れた。というかそんなところに入れていて大丈夫なの?

 そんな私の心の声を無視するように、鞄に入れていく。


 錬金術の道具を片付けていた所にトーマ達が戻ってきた。


「のぞみちゃん、お待たせ」

「補充もバッチリよ!」


 トーマとエマの見た目からは分からないが、弓を使うマナの矢筒にはぎっしりと矢が収められており、出発の準備は整っているようだった。


 クリスの後片付けが終わるのを待って、私達は再出発した。

 第六層を歩き、やがて階層主を見つける。


「第六層階層主はあの魔物のようだよ……」


 迷宮羅針盤ダンジョンコンパスの赤色の針はそいつを指していた。

 それはゴブリンだが、剣と盾を持っていた。

 その周りには剣を持ったゴブリン二匹と、スライム二匹がいる。


「ゴブリンが盾を持っているなんて……初めて見たわ」

「少し手ごわいだろうけど……クリスちゃんとエマは魔法で、マナは矢で先制攻撃を頼む。俺とのぞみちゃんはそれに乗じて突撃!」

「任せなさい!」


 魔物の群れに向かって、まず風属性魔法と水属性魔法が飛び、直撃。そこに矢が飛来しゴブリンの頭に刺さる。


「ぷにっ!?」

「ギャ!?」


 いきなりの奇襲に驚いた魔物が狼狽えているところに、私とトーマが飛び込み武器を振るう。


「くらえー!」

「せいっ!」


 トーマがゴブリンを斬り裂き、私は火属性を纏わせた刀でスライムを両断していく。

 後方からの魔法や弓矢によって、階層主以外は全滅させた。

 トーヤの方を見ると、階層主であるゴブリンの盾をはじき飛ばし、首を刎ねたところだった。


 第七層から第九層まではほぼ同じ魔物が出現しており、階層主も同じような方法で勝利してきた。

 そして私達は今、第十層を探索中だ。この第十層というのは、ベラト迷宮ダンジョンの最下層に当たる。つまり……。


「この第十層を突破すれば、ベラト迷宮踏破だ。気を引き締めていこう!」

「おー!」


 せっかくなので、私も混ざってみた。クリスも恥ずかしそうにしているが、一緒に混ざってくれた。


 第十層の魔物はスライム、ゴブリンであるが、スライムに限って上位種が出てきている。

 スライムはビッグスライムが出てきており、ゴブリンは通常の魔物より体の大きいもの――ホブゴブリンという種類が出てきている。

 ちなみにこの第十層の階層主はホブゴブリンだ。


「ぬぐぐぐ……」

「のぞみさん!もう少し耐えてください!」

「さっき私を助けてくれたお礼もまだなのに……潰されたら許さないんだから!」


 私はというと、そのホブゴブリンと単独で向き合っている。振り下ろされる巨大な棍棒を受け止めているが、今にも潰されそうな状況にいる。

 ほかの皆はというと、私抜きでビッグスライムと戦闘中だ。


 なぜこんな状況になってしまったのかというと、時は少し遡る。


 ◆


 第十層を探索中、突如奇襲を受けてしまった。


『ご主人様!うえです!』

『上?』


 気づいた時には遅かった。


「ぷにっ!」

「うわぁ!?」

「きゃあっ!?」


 上からビッグスライムが落ちてきたのだ。

 その衝撃を一番近くで受けた私は、尻餅をついてしまった。ほかの皆はバランスを崩した程度だったが。


「せ、戦闘準備!い、急げ」


 トーマの掛け声により、戦闘態勢に入る。


「のぞみさん、大丈夫ですか!?」


 クリスに心配されるが、大丈夫だからビッグスライムをお願いと伝えた。

 ビッグスライムに向けて、エマの風魔法が放たれる。が、それはビッグスライムの体を少し削っただけで、そのまま何処かへ飛んでいってしまった。

 ようやく復活した私が、スライムに攻撃をしようとした時だった。


 怒り声のようなを上げて、大きなゴブリンが私達の方へ突進してきた。


「……ホ、ホブゴブリン……」


 ホブゴブリンの狙いはエマのように見える。胴体に切り裂かれたような跡が見えることから、さっきの風魔法が当たってしまったのだろう。

 ホブゴブリンはビッグスライムを飛び越え、そのまま彼女に巨大な棍棒を叩きつけようと接近してくる。

 あんなのが当たったら一発で死んでしまう。


「エマ!どいて!!ロミちゃん、信じてるからっ!」


 咄嗟にエマの前に割り込み、刀に自身の神聖力とロミちゃんの火属性を同時に付与し、迫り来る巨大な棍棒に思いっきりぶつけた。


「ぬぐぐぐ……でやぁあああっ!!」


 根性でホブゴブリンを弾き飛ばすが、すでに体が痛い。

 弾き飛ばされたホブゴブリンは私を敵と認め、棍棒で殴りかかってくるが、私にはもう弾き飛ばすだけの力は残っていない。クリスの回復薬ポーションが飲めれば勝機はありそうだけど……。


 今は私が棍棒に潰されるより先に、クリス達がビッグスライムを倒してくれる事を願うしかない。、

クリス「のぞみさん、もう少しだけ耐えていてください」



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