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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
23/48

25 隣街へ行こう(1日目)

 翌朝、宿を引き払った私たちは、テントを探すため、お店へ向かった。

 この街で野営の道具を売っているお店は、1件しかなくそこで調達することにした。

 店員さんを呼び、テントを探している旨を伝え、おすすめの物を出してきてもらった。

 出してくれたテントは、私たちでも組立が簡単にでき、なおかつ値段もお手頃だったので、そのテントを購入することにした。ほかの食料等も一緒に。

 店員さんにお金を払い、商品を受け取る。買ったものは全て私が持ち運ぶことになった……鞄に入れて。


「まさか入るとは思わなかった……」

「そうですよね……」


 今は背中に背負っているけど、この刀――ロミちゃんだって鞄に入っていたものだ。

 鞄の大きさは、ちょっと大きめの肩掛け鞄といったところなのに。


 ◆


 ベラトの街へ向かうため、北門から街を出る。

 門の外は緑の平原で、その中をひたすら真っ直ぐに道が伸びている。この道をまっすぐ進めばベラトの街にたどり着くという。

 門が見えなくなったのを確認して、ロミちゃんに人型になってもらう。


「ロミちゃん、どう?」

「もんだいありません、ご主人様!」


 人型を取ったロミちゃんは、前と同じく緋色のドレスを身に纏っていた。

 その服装は目立つと思ったけれど、私も人のこと言えないので黙っておく。


「ならよかった……。実体化って何かわかった?」

「はい。ご主人様がわたし(ほんたい)をせおっていても、このすがたでいられるようになりました」


 ロミちゃんはそう言って、鞘に収められたロミちゃんの本体(精霊刀・プロミネンス)を両手で差し出す。

 私はそれ()を受け取り、背負う。

 緋色のドレスを纏ったロミちゃんは、まだ私の前にいる。

 ちゃんと触れられるのか、そっと手を伸ばし、頭を撫でてみる。


「……なんですか?」


 口ではそんな風に言っているけど、なんか嬉しそうにしている。


「なんでもないよ~」


 本体を私が背負っていても、実体化できるようになったのなら、いつでも一緒にいることができる。

 魔物と戦うときは、実体化を解いてもらえばよさそう。


「まものともたたかえますよ?たとえやられても、ご主人様のもつほんたいがぶじなら、ひとばんあればでてこられます」


 戦うことはできる、とロミちゃんはいうけれど、見た目が小さいから戦わせるのは気が引ける。というか、ロミちゃんのステータスはHPとMPを除いて、私のおよそ半分くらいしかない。そのため、スライムにすら勝てないと思う。スライムは魔法が効くので、魔法が使えればもしかしたら勝てるかも……というレベルかな。

 正直、ロミちゃんが魔物にやられるところを見たくない。


「戦える、というのありがたいけど……気持ちだけでいいから。戦いになったら実体化を解いてね」

「……わかりました。ご主人様がそういうなら……」


 本当に渋々、といった感じで納得してくれた。


 ◆


 ロミちゃんを真ん中にして、私が左側、クリスが右側の順番で横に並んで道を歩く。

 

「のぞみさん、右側から何か来ます」


 道の右側を確認すると、なにかがかなりの速さでこっちへ向かってきている。速さを考えると、スライムではない。


「ロミちゃんは実体化を解いて!クリスは魔法の準備して!」

「「わかりました」」


 2人に指示を出し、私は刀を構える。

 念のためライラも呼んでおく。ライラは基本的に支援しかしないが、どうしようもない時は助けてくれる。現状、私たちの切り札的な存在になっている。


 がさがさと草が揺れ、飛び出してきたのはツノが生えたウサギだった。数は4匹いたが、そのウサギ達は私達を無視し、そのまま駆け抜けていった。


「……え?」

「のぞみさん、前!」

「前?」


 前を向くと、私に向かって爪を立て、飛びかかってくる狼が!


「ひっ!」

「のぞみさん!伏せてください!ウォーターボール!」


 クリスのウォーターボールが狼を捕らえた。


「クリスありがとう!」

「まだ来ますよ!のぞみさんはそちらを!」

「わかったわ!」


 捕らわれた狼はまだもがいているが、もうすぐ動かなくなるだろう。

 この個体はクリスに任せ、私は残り2匹を倒す。


「ロミちゃん、お願い」

『はい!』


 刀を大きく振り、1匹を斬り飛ばす。


「うぐっ……」


 大きく振ったために隙が生まれてしまい、もう1匹の狼の爪を脇腹に受けてしまう。

 叫びたいほど痛いけど、それを根性で堪え、狼をしっかり見据える。

 少し距離は離れているけど、ほんの少しだ。すぐさま刀を握り直し、攻撃に移る。

 狼は噛みつこうと突進してくる。

 私はその動きに合わせて、刀を振る。

 振り抜かれた刀は、狼の胴体を大きく切り裂き、そのまま絶命させる。


「はぁ、はぁ…………痛っ……」


 爪を受けた場所が酷く痛むため、その場に座り込んだ。傷を見ると血が出ていた。

 戦いにはなんとか勝てたけど、このままでは駄目だ。

 私が爪で斬られるところを見たのか、とても心配そうな顔で駆け寄ってきた。


「のぞみさん!大丈夫ですか!?」

「クリス……なんとか……痛っ」


 立ち上がろうとしたけど、できなかった。


「のぞみさん、やっぱり怪我してるじゃないですか!」

「……少し休めば大丈夫だから」

「ちょっと見せてください」


 傷口をクリスに見せる。


「まだ回復薬ポーション持っていますよね?出してください」


 それを鞄から出し、クリスに渡す。


「染みると思いますが、我慢してくださいね」


 その言葉に私は頷く。

 回復薬ポーションを傷口にかけられた瞬間、「うあっ」と声が出てしまった。


「……これで消毒はできました。あとは魔法で治すか、薬を塗りましょう」

「ありがとう、クリス」


 クリスにお礼を伝える。


「このくらいいいですよ。のぞみさん、これからの事ですが……魔物が出てきても、逃げませんか?」

「……そうね。一匹相手ならなんとかなるけど、二匹相手は無理よね……私なんか怪我しちゃったし……」

「それから、ベラトの街で旅の仲間を探しましょう。夜はライラ様が守ってくれるとはいえ、二人旅は辛いです」


 旅の仲間を探すのは賛成よね。とはいえ、問題なのは私の経歴になるかな。

 ライラやロミちゃん、鞄の容量、私自身が巫女であること等。


 暫く休んで怪我の痛みも引いてきたが、今日はそのままここで野営キャンプすることになった。

 怪我をした私を気遣ってくれている事がわかっているので、反対はしない。

 テントはクリスとロミちゃんが頑張って組み立ててくれた。


 私がやったことと言えば、鞄から畳まれたテントを引っ張り出しただけ。

 他の用意はすべてクリスとロミちゃんがやってくれた。

 私が「なにかしようか?」と聞いても、「のぞみさんは休んでてください」と言われてしまう始末。


 そんなわけで私は今、テントの中に一人でいる。

 外ではクリスがご飯を作っているらしく、いい匂いがしている。


「のぞみさん、ご飯できました。パンとスープです。スープにはライラ様が採ってきた薬草を入れてあります」

「ありがとう……いただきます」


 スープを一口飲む。

 

「…………美味しい」

「そう言ってもらえてよかったです」


 クリスがにっこり笑う。

 私はこの笑顔を守りたいと思った。

のぞみ(よそ見はダメね……うん)

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