23 お仕事しよう(ミンタカ編)
私達は森を進む。
今回の討伐目標は『ホワイトコケコ』という動物。
冒険者協会の受付嬢である、リノさんから貰った情報を確認しよう。
ホワイトコケコは大きな白い鳥であり、『コケーッ』と鳴くという。
そして私達を見ると逃げる……ね。
「討伐するには気づかれる前に倒すか、私とクリスで挟み撃ちするかのどちらか、かな」
「コケコですか?」
「そうよ」
挟み撃ちはいいけど、クリスはナイフくらいしか持っていなかったよね……。
「クリスの水魔法でなんとか倒せない?」
「やってみないことには……あら?」
そんな話をしていたら、ゴブリンが現れた。
「グギ?」
「クリス!ロミちゃん!」
「はい!いけます!」
慌てて武器を構える。
ほぼ同時にゴブリンが棍棒で殴りかかってくる。
ゴブリンから一番近い私に。
「やばっ!」
「のぞみさん!」
このまま殴られると思っていたが、衝撃が来ない。
なぜかと見てみたら、ライラが棍棒を受け止めていた……素手で。
「ライラ!」
「のぞみ様、私もいますよ?遠慮なさらず呼んでくださいね。のぞみ様が死んでしまうのは困りますから」
精霊って呼ばなくても来るのね……って、そうじゃない。
「相手は一匹でございます。のぞみ様」
「あ、はい」
改めて武器を構え直し、ゴブリンの首めがけて刀を
振るう。
「せやっ」
思いきり体を捻って、振り抜いたのもあってか、一撃で切断することができた。
頭と胴体が別れたゴブリンはそのまま倒れた。
「のぞみ様、お疲れです」
「ううん、ライラありがとう」
「街に戻るまではいますので、頑張ってくださいませ。のぞみ様とクリス様の修行にもなりますので、私は回復と補助をさせていただきます」
ライラがいてくれるなら、大丈夫よね。
気を取り直して、お仕事再開。
◆
しばらく歩くと、白い大きな鳥がいた。
相手はまだ私達に気づいていないようだ。
念のため姿を隠し、クリスに小声で確認を取る。
「白い大きな鳥……あれがホワイトコケコよね?」
「そのようですね」
「まずは私が一人で行ってみるね」
刀を握りしめ、息を殺して背後から襲う。
「コケッ!?」
気づかれたがいける!
「たあっ!」
刀を振り、コケコを倒す。
息絶えたコケコを鞄にそのまましまい、クリスのもとへ戻る。
「これでまず一匹。次はクリスね」
「はい。頑張ります」
パーティで受けた仕事のため、全部で十匹のホワイトコケコを討伐すれば依頼達成となる。
私とクリスで二匹ずつ、合計四匹のホワイトコケコを討伐したところで、空は橙色になっていた。
「クリス、一度出直そう?もうすぐ暗くなっちゃうし……」
「そうですね……残りは明日にしましょうか」
「ライラもありがとうね」
「いえいえ。私は契約精霊なのですから」
クリスと二人、街へと歩き出す。
街に戻ったら、今晩の宿を探さなくては……。
……結論から言うとね、宿はありませんでした。
二人部屋に泊まるにはお金がかかりすぎた。クリスは財布代わりの袋の中を見て、「大丈夫です、大丈夫……」と言っていたけど、これは不味い方だと、そう思った。
街の外ならともかく、街の中で女の子二人で外で寝るわけにもいかず、ダメ元で冒険者協会へ行ってみることにした。
着いて早々、リノさんに話しかけられた。
「あら、本日冒険者になられた方ではありませんか」
どうも私の事を覚えていたらしい。
「実はね……」
素直にお金がなくて、泊まるところがないと白状した。
「それでしたら、冒険者協会にある仮眠室を使ってはいかがでしょう。お金がない新人冒険者の方に向けて、格安で貸し出していますよ?」
「それっていくらくらいなの?」
金額を聞き、クリスは頷く。
「是非、よろしくお願いします」
「はい、ありがとうございます」
リノさんに料金を払い、部屋へ案内してもらう。
「男女で別れていますので、ご安心くださいね」
別れててよかった。別れてなかったら、断っていたかも知れない。
とにかく、今夜は安心して眠れるね。
そして翌朝。
近くの料理屋さんでご飯を食べ、そのお店でお昼のパンを買う。
パンと言っても丸いフランスパンだ。クリスが錬金術で作ってくれているものとは違い、それなりに固い。
私が元の世界で食べていたフランスパンと同じくらいだ。
森へ入ってすぐ、ライラを呼び出す。
「ライラ、またよろしくね」
「おまかせください、のぞみ様」
ライラには昨日と同じく、私達の回復と補助を頼む。
「攻撃は私とクリスね」
「はい」
周囲を警戒しつつ、ホワイトコケコを探す。
今日のうちに私とクリスで三匹ずつ、合計六匹のホワイトコケコを討伐する事を目標にする。
「いたよ、白い鳥」
私達からおよそ15メートルぐらいか。
「クリス、いける?」
「はい。いけます」
クリスに任せて、コケコの様子を伺う。
コケコはのんびり食事中だ。
「……水よ、穿て。ウォーターボール」
クリスの魔法が放たれ、一直線に食事中のコケコへ向かう。
魔法は命中したものの、当たり方が悪かったのか、倒れなかった。
「クリス、もう一度!」
「はい」
クリスはすぐさま魔法を放つ準備に入る……が、コケコは逃げだそうとしといる。
「逃がしません」
ライラが光の拘束魔法ーー光の輪でコケコの動きを止める。
抜け出そうと足掻いているところに、二発目の魔法が命中し、コケコが倒れる。
倒れたコケコを回収し、次の獲物を探す。
途中休憩を挟んだものの、狩りは順調に進んでいる。
「せいっ!」
最後の十匹目となるコケコを討伐し終える。
「のぞみさん、お疲れさまです」
「クリスありがとう。それにライラもロミちゃんも」
「主人を守るのも私の務めなのですから……」
『ご主人様につかってもらえて、わたしはうれしいのです』
ロミちゃんだけは刀の状態なので、念話で返事をしてくれる。
あとは冒険者協会で達成報告をすれば、依頼達成となる。
「それじゃ、街へ戻ろっか」
「そうですね」
街へ向かって歩き出した。とは言え、まだ森の中なので、警戒は続けている。
何事もなく、街へと着いた。
そのまま冒険者協会へ向かい、受付のリノさんを探す。
「リノさんいないのかな……」
「私をお探しですか?」
「うひゃあ!?」
後ろから声をかけられ、変な声が出てしまった。
「すみません、驚かせてしまいました」
「だ、大丈夫よ……」
息を整え、用件を伝える。
「依頼の報告ですね。カウンターへどうぞ」
リノさんに促され、カウンターに向かう。
「討伐の確認をさせていただきますが、なにか証明できるものをお願いします」
証明できるものね。死体なら全部持ってきたけど、ここでいいのかしら。
出すのは聞いてからにする。
「コケコの死体でもいい?」
「構いませんよ」
鞄からコケコの死体を十匹分出す。
リノさんは鞄から十匹も出てきたことに驚いているようで、ポカンとしていた。
出し終わったので、声をかける。
「これでいいのよね?」
「……は、はい。それではこちらが報酬でございます」
報酬を受け取り、それを鞄にしまう。
「ありがとう。クリス、行こう」
「はい」
用事も済んだので、協会を出る。
「今もらった報酬を合わせれば、宿に泊まれるかな」
「あまり高いところでなければ大丈夫ですよ」
「よかった」
それならば宿屋を探さないとね。
昨日は協会の仮眠室で、なおかつ日中は動き回っていたから、体中痛い。
それに、できれば水浴びもしたい。
そんな宿屋があればいいな。
のぞみ「コケコって食べられるの?」
クリス「そのまま焼いても美味しいですよ」
の(油で揚げれば唐揚げができそうね)
ク「?」
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