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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
2/48

01 転移しよう?

 私は気がつくと、白い霧が渦巻くその内側にいた。

 ベッドに入って眠りに落ちたのは覚えている。

 身につけている服を見れば、いつも眠る時着ている橙色のパジャマではなく、私が持っているシャツとスカートを着ていた。

 いったいいつ着替えたのか、そもそも、なぜこんなところにいるのか、それすらわからない。

 周りを見ても、白い霧が渦巻いているだけで、なにも見えない。

 本当の私はまだ眠っていて、これは夢の中よね、と考え、自分の頬をおもいっきりつねってみる。


 ……やっぱり痛い。

 痛いと感じるということは、この場所は現実ということになる。


「なんなのよ……ここは……」


 そう呟いた瞬間、突如霧の渦が消えた。霧の渦の向こう側は美しい草原が広がっていた。


「お姉さんいたー!!」


 その大きな声とともに、小さな子どもーーフリルのたくさん付いた、ピンク色が眩しい洋服、言わばロリータファッションに身に包んだ女の子が駆け寄って来る。

 ……が、つまづいて顔から地面にダイブしていった。


「……ねぇ、だ、大丈夫?」


 手を差し出し、声をかけるが応答がない。

 

「だ、大丈夫……」


 そう言って自力で立ち上がる。可愛らしいピンクの洋服が汚れてしまっている。

 女の子の顔を見れば涙目で、鼻を打ったらしく、そこを片手で押さえている。

 どう見ても大丈夫には見えないが、本人が大丈夫だというなら、私はなにも言わない。


「変なところ見せてごめんね?私はこんなでも神様なの!」


 胸を張って言っているが、鼻から赤い液体が流れ、服は土にまみれていて、まるで説得力がない。


「まずいろいろ拭いた方がいいと思うよ?」

「あ、うん。そうだね」


 どこから出したのか、その布で顔を拭い、服に着いた土や砂は手で払い落とす。

 拭った布は、その辺に放り投げる。

 その布は地面に落ちた瞬間、消えてしまった。


「では改めて……私はリド。柊のぞみ、貴女の魂を別の世界へ導く女神なの」

「こんなにちっちゃいのに……」


 なんとなく可愛かったので、頭を撫でる。


「ち、ちっちゃいいうなー!あと撫でないでよ」


 そんなこと言いながらも、顔はにやけているので、喜んでいるみたい。

 このまま撫でていたいけど、先へ進まないのでここまでにしておく。


「と、とにかく説明させてね……って時間がない!」


 なんか女神様が焦り始めた。

 なんとなく自分の手を見ると、透けてきている?


「え、なんで?なんで透けて……?」


 もしかして私このまま消えちゃうの?


「本当は私の方からいろいろ説明しなきゃいけないんだけど、時間がないからできないの。それらを纏めた本を渡すから、後で読んでね。それから貴女は《始まりの巫女》になるから、頑張って生きてね。」

「え?待って?」


 待って……説明ないの?本渡すから私に読めと?

 そもそも《始まりの巫女》ってなに?


「それとお詫びの代わりにいくつかサービスしてあげるね。私を呼び出す召喚魔法と、不思議な鞄、名無しの精霊剣をあげる。召喚魔法だけど、直ぐには行けない事もあるから、気をつけてね。それでは行ってらっしゃい!」

「えーーー!?」


 お詫び代わりのサービスより、説明をくださいっ!

 それに女神様を呼び出せるって、それはいいの?……貰えるなら貰うけど。


 そしてそのまま私、柊のぞみは転送された。

 前にいた世界ーー今という世の中から、どんな場所なのかすらわからない、未知の世界へと……。


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