21 冒険者協会へ行こう その1
うっすら見えていた街も、今ははっきりと見ることができる。
私達がやって来た方向は平原だというのに、高い塀に囲まれている。
平原にいる魔物はスライムしか見ていないが、ほかにも魔物がいるのだろう。
「のぞみさん、お金は持っていますか?」
お金?こっちの世界のお金は持っていない。
元いた世界なら、ある程度は持っていたけど、今あっても使うことはできない。
「持っていないわね……一切」
首をふって伝えた。
「それでしたら、私が支払っておきますね」
「え?なにを?」
もしかして、街に入るためにお金が必要になるの?
「通行料ですよ。その街の住人達と、一部の商人達はステータスカードの掲示で通過できますが、私達冒険者は有料なんです。それにステータスカードを持っていないのぞみさんは、割高になってしまいます」
「……なんかごめんね……」
「いいんですよ。私だって旅ができて嬉しいのですから」
異世界に飛ばされて以来、クリスにはお世話になりっぱなしだ。
クリスと出会わなかったら、なにもできなかったのは間違っていないし……。
それはそうと、聞き慣れない言葉がでてきたよね。
ステータスカードってなんだろう。
クリスに聞いてみる。
「ステータスカードですか?文字通りのステータス……つまり、自分自身の名前や能力、所属を表すカードです。名前と能力はのぞみさんが〈ステータスチェック〉で見ている内容と同じです。所属はどこの国のどこの街の住人なのかが書いてあります。これは冒険者になりますと、所属が冒険者協会となります。」
ステータスカードって、身分証の事なのね。
そんな説明を聞いていたら、通用門に到着した。
「薬売りのお嬢さんか、久しぶりだな」
「お久しぶりです」
クリスは門番と顔見知りのようだ。
挨拶を交わし、街に入る手続きをする。
この時に私の分の通行料も払ってくれたようだった。
「すまないがそちらのお嬢さんは、この水晶に手をかざしてみてくれないか。なにも起こらなければいいが、もし赤色に輝くようなら、街に入れることはできないからな」
私は言われた通り、水晶に手をかざす。
特に変化は起きない。
「うむ、大丈夫だな。協力感謝する。ようこそ、ミンタカの街へ」
無事に門を抜け、街の中へ入る。
「最初はどこへ行きましょう?私もよく知っている街なので、案内できますよ」
それならまずは身分証が欲しい。
「まずは冒険者協会へ行きたい。ステータスカード欲しいから」
「冒険者協会ですね?それならこちらです」
クリスに連れられて、冒険者協会にやって来た。
……入り口の見た目が完全に酒場なんだけど……。
これ絡まれない?私の見た目的に。
「のぞみさん、行きますよ」
「う、うん」
クリスは躊躇なく入っていく。
入った瞬間、珍しいものを見るような視線が私に刺さる。
「うっ……」
なんだか恐怖を感じたけど、クリスに引っ張られて受付の待機列に並ぶ。
十分ほど私たちの番が回ってきた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょう?」
受付で迎えてくれたのは人当たりのよさそうなお姉さんだった。
「冒険者になりたいと思ってきました」
「ステータスカードはお持ちでしょうか?」
「持っていないので、それもお願いします」
「かしこまりました」
すぐに作業が始められた。
カードに書かれる情報の説明も聞いたけど、クリスから教えてもらった内容と一致している。
「それではこちらのカードに、お客様の情報を記録いたしますので、血を一滴カードに垂らしてください」
自分のナイフを持っていないので、クリスから借りて、指先を少し切る。
そこから出た血をカードに垂らす。
すると、すぐさまカードが輝き、私の情報が記録されていく。
そして出来上がったステータスカードを確認する。
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名前:のぞみ ひいらぎ
所属:プレアデス王国
LV:2
HP:238
MP:248
物攻:106
物防:89
魔攻:96
魔防:92
速さ:102
技能:光属性魔法・回復魔法・不老・神聖力
称号:始まりの巫女・生命の巫女
契約精霊:プロミネンス、ライラ
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「私のレベルが上がってる……」
街に来るまでの戦闘でレベルが上がっていたみたい。
「良かったですね、のぞみさん」
そして私の所属はプレアデス王国になっている。
初めてステータスカードを受け取った国が所属国家となるようだ。
素直に喜んでいると、受付のお姉さんから声をかけられる。
「あの……冒険者登録に進んでもよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
ステータスカードが必要そうなので、お姉さんに渡す。
「少々お預かりいたしますね……念のためステータスを拝見させていただきます」
そう言って、裏側に記されたステータスを見る。
そのカードに記されたステータスと、私を交互に見て控えめに言った。
「あの……冒険者になるのは危険がありますが……本当になられますか」
気になっていたのでこの際聞いてしまうことにする。
「……私ってそんなに弱いの?」
お姉さんは困った顔をして話し始めた。
「……レベル1での平均ステータスはHPとMPが250、それ以外が100となっています。勇者と呼ばれる存在はレベル1でもその二倍のステータスは持っています。なので……あまりおすすめは……」
前に私のステータスをクリスにみせた時、すごく微妙な表情をしていたから、なんとなく気づいていた。
だからこそ、私は答えた。
「大丈夫、なんとかなるわ」
「わかりました。それでは冒険者登録に移りますが……その前に」
お姉さんがカウンターから身を乗り出し、小声で質問してきた。
「称号と契約精霊は本当なんですよね?生命の巫女様が、それも伝説と言われている、始まりの巫女様が冒険者になるなんて」
聞かれたら不味い話なのはわかっているので、私も小声で答える。
「間違ってはいません。ライラも本人(?)ですから」
私の話を聞いていたのだろうか。ライラから念話が届く。
『ライラという名を持つ精霊は私しかおりません。人間の名前でしたらいるかもしません』
人の名前だったらいそうよね。
なんだか御利益ありそうだし。
「分かりました。ステータスは全て隠しておくことをオススメいたします。冒険者様の中には、パーティメンバーにもステータスを見せていない方もいらっしゃいますので、珍しいことではありません」
ライラについては隠すべきなのかわからないけど、隠すことを勧められているのだから、そうしようと思う。
どうやって隠すのだろうか……。
隠し方を聞いたところ、魔力を通しながら、隠したいところを念じるだけでいいと、教わった。
話し終えるとお姉さんは座り直す。
次は冒険者登録だ。
のぞみのステータス(HPとMP)が平均どころか、あからさまに低すぎたので修正しました。
以前の話も修正していきますので、よろしくお願いします。
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