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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
18/48

17 街を目指そう

 翌朝、日の出と共にアトリエを後にする。


「ねぇ……鍵はしなくてよかったの?」

「はい。人間はともかく、魔物は近づいてきませんから」


 言われてみればそうだ。

 人気のない、魔物のいる森の中にあるアトリエなのに、魔物が来た事は一度たりともない。

 柵はあったものの、簡単な作りのため、壊すのは容易いのにも関わらずだ。

 それでも、魔物が来ない理由を聞いたら、「師匠が錬金術で作製した、魔物避けがありますから」と返ってきた。


 クリスの先導で森を歩く。


「ねぇ、どこへ向かってるの?」

「ここから一番近い、ミンタカと言う街です。そこでのぞみさんのステータスカードを発行してもらいます」

「ステータスカードって?」

「こういったものですよ」


 クリスがステータスカードを見せてくれた。


*****************


 名前:クリス・アルフィテリア

 年齢:15歳

 所属国家:プレアデス王国

 職業:錬金術師


*****************


 書いてある内容を見る限りは、保険証や学生証といった、この世界での身分証だろう。

 旅をするなら、持っていた方がいいと言う。

 というか、持っていないときに何かあった時困るし。

 詳しい説明は発行時にあるそうなので、ここでは聞かなかった。


 しばらく歩いていると、私たちの前にゴブリンが出てきた。この世界に来て初めて見たゴブリンは剣を持っていたが、今度のゴブリンは棍棒を持ってた。


「のぞみさん!ゴブリンです!」


 ゴブリンはこちらへ向かってくる。

 クリスはすでに杖を構えており、魔法を放つ。


「水よ、穿て!ウォーターボール!」


 水の塊が剣棍棒を振り上げたゴブリンの顔面に命中し、少しだけ怯む。


「のぞみさん!」

「ふぇっ!?」

《ごしゅじんさま、わたしをつかってください!》


 クリスとロミちゃんに従い、ゴブリンに剣を振り下ろす。


「たあっ!」


 ゴブリンは振り下ろされた剣を防ごうと、棍棒で防御体勢を取るが、その棍棒ごと袈裟斬りにされる。

 袈裟斬りにされたゴブリンは後ろに倒れ、動かなくなった。


「…………」


 相手は魔物とはいえ、私はその命を奪ったのだ。


「のぞみさん、やりましたね」

「……うん」

「……どうしました?」

「……殺さなきゃ駄目だったのかなって……」


 それをクリスに伝えたら、彼女の顔色が変わる。


「ゴブリンに慈悲なんてかけないでください」


 私に向き直り、真剣な表情で話す。


「彼らは私たち人間を『子どもを産ませるための道具』、もしくは『食料』としか見ていません。そんな存在に慈悲なんていりません。それに……」


 そこで話を一度区切った。


「捕まってしまえばその先はありません。例え、助け出されたとしても、ゴブリンに忌み物にされた女性を誰が貰ってくれますか?」


 言葉が出なかった。

 そんな女性を貰ってくれる男の人はいないだろう。私が男でも断る。


「そうですよね。ゴブリンは見つけ次第駆除です」


 クリスはそれだけ言うと、先程殺したゴブリンのところへ向かい、ナイフで胸の辺りを切り裂く。


「で……なにしてるの?」

「魔石の回収ですよ。ゴブリンを始めとした魔物には、魔石があります。ちなみに魔石は胸の辺りにあることが多いです」


 クリスはゴブリンの体内から取り出した魔石を私に渡す。

 魔石は綺麗な紫色の玉だった。


「それは売ればお金になりますから……のぞみさん、持っていてください」


 私はその魔石を鞄にしまった。

 死体は放置でいいのだろうか。


「死体ですか?森の動物や魔物が食べてくれますから……」


 その後もゴブリンの襲撃は受けた。

 棍棒だけでなく、剣を持っていたり、中には木を切るための斧を持っているゴブリンまでいた。

 もちろん例外なく、出会ったすべてのゴブリンを駆除した。


 お昼頃になると、クリスがウサギを捕まえてきて、そのウサギが昼食のサンドイッチになって出てきた。


「いただきます」


 私はいつものように「いただきます」と言って食べ始める。 


「……のぞみさん、聞いてもいいですか?」


 食べながらも頷く。


「その……『いただきます』というのは?」


 口の中の物を飲み込み、説明する。


「うーん……何て言ったらいいかな。このサンドイッチのお肉、さっきのウサギさんだよね?」

「はい」

「そのウサギさんを殺して、私たちの糧としているよね。せめてもの感謝の気持ちかな。その生き物に対して『あなたの命をいただきます』って」

「そんな意味があったんですね。では最後の『ごちそうさまでした』というのも?」


 私は「似たようなもの」と返した。

 その次の食事から、クリスも「いただきます」と「ごちそうさまでした」という言葉を使うようになった。


 昼食を終え、再び歩き始める。

 やがて森を出て平原へ出た。


「この草原の向こうに『ミンタカの街』があります。この草原にはスライムが潜んでいますので、気をつけてくださいね」

「わかったわ」

「スライムというのは……あれですね」


 クリスの指差す方向には、水色の大きなゼリーのような物体がノロノロと動いていた。

 あれがスライムなのね。


「普段はあのように動きは遅いですが、餌となる物を見つけると、跳び跳ねるように動きます」


 クリスが説明してくれた直後、スライムと目があった。……ような気がした。顔があるかはわからないが……。


「……スライムに顔ってあるの?」


 クリスは少し考えて答えた。


「……スライムについてはよくわかっていません。ですが、目が合った、と言う話は聞いたことがあります」

「そっか。普通に斬れば倒せる?」

「はい。のぞみさんの剣であれば……。水属性以外の魔法なら、もっと速く倒せます」

「わかったわ。クリスは伏せてて。スライムが来てるから」

「はい。はい?」


 ようやくスライムの接近に気づいたクリスは、私の後ろに隠れる。

 私は手を前に出し、魔法を発動させる。


「ファイヤーボール!」


 放った<ファイヤーボール>はスライムに当たり、ゼリーのような体を燃やす。

 燃やされながらも近づいてくるが、やがて動きが止まり、核となっていた魔石だけを残して消えた。

 魔石の色はゴブリンと違い、深い青色だった。


「ゴブリンの魔石とは違う色なのね」

「はい。魔石の色は魔物の種類によって違いますからね。紫色、青色の他、赤色、黄色と様々な色があります」


 いろいろな魔物を倒したとしても、魔石の色で判別可能なのはいいね。

 ちなみに魔石を鑑定チェックしてみると、しっかり魔物の種類まで特定されていた。


 日が傾きかけた頃、ミンタカの街を護る城壁と思われるものが見えてきた。


「のぞみさん、あの城壁の内側が『ミンタカの街』です」

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