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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
17/48

16 旅支度をしよう

 神様リドちゃんから貰った、和洋折衷の衣装を着てしばらく過ごしてみたところ、手放せなくなりました。

 見た目の割りに動きやすいし、なにかの魔法でもかかっているらしく、走ったり、ジャンプしたり、剣を振ったりと、無茶なことしても一切問題なかった。

 普通なら着崩れするのに、それすらない。

 気になって、鑑定チェックを使ってみたら、こんな効果があった。


*****************


【異世界の華美なる衣装】

 技能スキル:防御力50%上昇 魔法防御力50%上昇 固定 自動洗浄 自動修復

 備考:のぞみ専用装備


*****************


 着崩れしない理由は、『固定』と言う技能スキルのせいらしい。

 これは一度身につけてしまえば、勝手に脱げたり、ずれたりしないと言う効果を持つ。

 勝手にそうならないだけであって、人為的なものは防ぐことはできなかった。これはクリスに協力してもらって確かめた。

 自動洗浄の方は、裾に泥水をかけて放置したのにも関わらず、翌日の朝には染み1つ残っていなかった。

 自動修復についても同様、ナイフで穴を開けた状態にしても、翌日には綺麗さっぱり穴は消えていた。

 なお、万が一、洗浄修復がうまく行っていなかった場合は、クリスが「なんとかします」と言っていた。


 剣や魔法の練習をしながら、過ごすこと数日。

 旅について考えていると、クリスから質問があると言う。


「のぞみさんは……近いうちに旅に出るんですよね?」

「出るよ。ライラの頼み……と言うか、私の使命みたいなものだからね」

「……その旅に私も連れていってもらえませんか?」


 私としては嬉しい申し出なんだけど……。正直言って、いつ終わるかわからない旅になる。

 そんな旅につれて行っていいのだろうか。

 私が悩んでいると、クリスが理由を話始めた。


「前に私の錬金術のお師匠様は行方不明になったと言いましたよね」


 詳しく聞いたわけではないけれど、確かにそう聞いた。


「そのお師匠様が行方不明になる数日前、私にこんな事を言ったんです。『私にもう一度会いたいのなら、世界中にばらまいたレシピを探し出し、そこに書かれた道具を作り出してみせろ。そうすればまた会えるだろう』と」


 言い換えれば、師匠からクリスに課せられた『最後の課題』といったところか。


「もちろん、のぞみさんの旅のついでで構いません」


 私が答えを渋っていると、クリスが追撃してくる。


「のぞみさんはお料理とかできますか?」


 私はクリスから目をそらす。

 日本にいた頃は、押しかけ妻……もとい、親戚のみずほが全てをこなしてくれていた。私がやろうとした事すら強奪して……。


「お金はありますか?」


 クリスさん前進。私は逃げる。


「ここから一番近い町の場所はわかりますか?」


 クリスさん回り込む。私は左右に行けず、後ろに下がる。


「異世界を1人旅できますか?」


 クリスさん一歩前進。私は壁に当たる。


「寂しくないですか?」


 クリスさん一歩前進。近い近い。


「連れて行ってくれませんか?」

「……はい」

「ありがとうございます。のぞみさん」


 結局私が折れる形になってしまったけれど、本音はありがたかった。

 この世界の住人であるクリスについて来てもらえたら、心配事がかなり減ることになる。

 言葉はなぜか通じているからいいとしても、世界の一般常識などはからっきしだ。

 変に問題起こして、捕まっても困るし。


「旅に出る日についてなんですけど、今ある素材でいろいろ作りたいので、3日程待ってもらえませんか?」

「うん、いいよ」


 3日くらい普通に待てるからね。


 ◆


 そして3日後、私が外での鍛練から戻ってくると、クリスが大きな釜のすぐ側で倒れていた。


「クリス!?」


 慌てて近寄り、ライラを呼び出す。


「いかがなさいました?のぞみ様」


 彼女はすぐに来てくれた。

 クリスをソファに寝かせ、ライラに容態を見てもらった。


「……どう?」

「問題ありません。疲労と魔力切れです。本日中には目を覚ますはずです」

「そっか……よかった」


 とりあえず一安心。

 クリスにはあまり無理しないようと、言っておかないとね。


 その日の夕方、クリスが目を覚ました。

 

「目が覚めた?」

「……はい……あの、私……」

「何もしなくていいから寝てて」


 起き上がろうとするクリスを止める。

 止めたはいいけれど、私料理とかできなかった。

 仕方なく、クリスに助けを求めた結果、今日の晩御飯は保存食を食べることになった。

 クリスから「その気持ちだけで十分です」との言葉をもらった。


 次の日、旅に必要な物を揃えることとなった。

 揃えると言っても、私の準備はすぐ終わる。

 今は神様リドちゃんから貰った衣装を着ているし、前に身に付けていた服や下着等はポーチに入っている。

 私がいままで持っていた鞄は、神様リドちゃんに従いクリスに使って貰うことにした。


「のぞみさんのそれって、毛布等も入りますよね?」

「入るよ?」


 ちなみに、ポーチの仕様は鞄とほぼ変わらないが、「口を通らないものは入らない」という制限が消え、容量内であれば大きな物でも入るようになっている。


「それでは毛布や錬金術の道具をお願いします」

「もちろんいいよ」


 私のポーチには、クリスと半分ずつ分けた回復薬ポーション魔力回復薬マナポーションのほか、毛布や食料、調理器具、錬金術の道具まで、あらゆるものを入れた。

 なお、火を起こす道具や、水は持っていかない。

 火起こしは私がいればできるし、水はクリスが魔法で出せる。

 私が精製可能な『生命の雫』は水の代わりにはならなかった。頑張っても、雫程の量以上は出せなかったためだ。

 錬金術に使っている大釜は、持っていけないことはないが、置いていくことにした。

 それを置いていくのなら、錬金術はどうするのだろうか。


「……錬金術ですか?調理器具でもできますので、問題ありません」


 錬金術用の器具と、調理用器具を共用する、と言っているように聞こえる。

 アトリエで釜を共用していた事は知っていたけれど、器具は別にしてほしい。


「今さらですよ、のぞみさん」

「……なにが?」

「器具の共用です」


 つまりは、錬金術用器具も調理用器具も共用で使っていた、ということか。

 クリス曰く、「ちゃんと洗っていますから、問題ありません」だそうだ。

 錬金術師のクリスが言うのであれば、大丈夫なのだろう。


 次は、旅の服だ。

 私は神様から貰った服を着る。色が赤色で目立つものの、機能性は抜群なので、選択の余地がない。

 クリスは何を着ていくのかと眺めていたら、青色を基調としたエプロンドレスを引っ張り出してきた。

 有名な物語である『不可思議の国のアリス』の主人公が着ている物に近い。

 私が赤色、クリスが青色、もう1人仲間ができて、その仲間が黄色を選んだら信号機だ。

 その時は、黄色でないことを祈りたい。


 クリスはエプロンドレスのほかにも、杖を1本持ってきた。

 その杖の先端には、海のように美しい青色をした、大きな宝石が付いている。

 杖の長さは、森へ行ったときに持っていった棒とほぼ同じ物だ。


「……その杖は?」

「これですか?これは師匠の置き土産です。師匠から、旅をするなら持っていくように、と言われたものです。詳しいことは教えてくれませんでしたが、この杖は『大海の杖』というそうです」


 クリスの頼みにより、私の鑑定〈チェック〉の技能スキルを使い、杖の詳細を見てみることにした。


*****************


【大海の杖】

 技能スキル:魔力30%上昇 魔力消費半減 大海の力


*****************


 技能スキル欄にある『大海の力』という技能スキルは、水属性魔法の効果を上げるものであり、尚且つ、水属性魔法を使う際の消費を抑える、というものだった。


「……なかなか凄い技能スキルが付いてたね」

「はい……」


 クリスの師匠は、クリス自身が水属性魔法の適性があることを知っていたのではないか、としか思えないような置き土産だ。

 そうでなければ、こんなものは置いていかないはず。


「……こんな貴重な杖を私が使っていいのでしょうか……」

「いいんじゃないかな。持っていくようにって、渡された杖なんでしょ?」

「……そうですよね」


 結局、クリスは『大海の杖』を持っていくことにしたようだ。

 その他、忘れ物がないかを確認して、全ての支度が済んだ頃には、日が傾きかけていた。


 私たちの旅の装備を確認するとこんな感じとなる。

 私は赤色を基調とした和洋折衷衣装に、大きな剣を背負い、肩掛け鞄を持つ。クリスは青色のエプロンドレスに杖、そして小さめの鞄。

 クリスの方はバランスが取れているような気がするけれど、私の方は肩掛け鞄がいろいろ台無しにしていると思う。


 これで明日の朝には出発できるね。


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