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和ロリな少女は異世界を旅する  作者: ほずみ
本編
16/48

15 魔法を知ろう(その2)

魔力切れから復活した私達に待っていたのは、ライラによるお説教だった。


「いいですか、のぞみ様、クリス様。魔力を使いすぎると、先ほどのように倒れて行動不能になります。倒れる兆候としましては、頭がボーっとする、体がフラフラする、テンションがおかしくなる等があります」


 よく思い出してみたら、テンションがおかしかったかもしれない。

 いろいろ連発してたし……。


「個人差がありますので、一概には言えませんが、そうなった場合は魔法の行使を中止するか、休んでください。もしくは、何らかの方法で魔力を回復してください」


 体力を回復する回復薬ポーションがあるのなら、魔力を回復させる回復薬ポーションがあってもおかしくない。

 ……え、ある?

 魔力回復薬マナポーションと言うらしい。材料となる素材は、この森の奥で取れるそうだが、ゴブリンを始めとする魔物が出ることがあるため、あまり行かないそうだ。


 ちなみに治癒魔法と神聖魔法については、魔力が完全回復するまでお預けとなった。

 アトリエに送ってもらい、ぐっすり寝た翌日、私達は再び『生命の聖域(ビオス・カタフィギオ)』へとやってきた。

 今日は、治癒魔法と神聖魔法について学ぶ。


「それでは治癒魔法についてお話します。治癒魔法というのは、怪我や病気、毒や麻痺などの状態異常を治す魔法です」


 治癒魔法っていうくらいだし、そうだよね。


「治せる傷や怪我の程度は使う者によって左右されますが、魔力を込めれば込めるほど、治せる怪我の程度も上がっていきます」


 傷や怪我はもちろんの事、魔力さえあれば骨折、果ては欠損ですら治癒できるという。ただし、魔力をいくらつぎ込んでも、死人を生き返らせることはできない。

 ちなみに、クリス曰く骨折を治癒できた人間は、錬金術の師匠を除き、今のところ聞いたことがないそうだ。

 クリスの師匠とは一体何者なのだろうか。

 治癒魔法については、これだけでほとんど済んでしまったので、神聖魔法の話になった。


「続いて、神聖魔法です。神聖魔法とは、巫女である少女、もしくは巫女であった女性にだけ使える魔法です」


 つまり、一般人であるクリスには使えず、使うためには『巫女』でなければならない魔法。


「神聖魔法の効果は、治癒魔法が効かない呪い等の状態異常除去、悪魔(デーモン)悪霊(ゴースト)魔物(モンスター)へ大打撃を与えることが出来る、唯一の魔法です。そして、のぞみ様は、始まりの巫女です。通常の巫女の少女達よりもその力は強く、弱い悪魔デーモン悪霊(ゴースト)魔物(モンスター)ならば触れただけで、浄化してしまうほどです」


 前にクリスが言っていた、『巫女は神殿にて保護されている』という話は本当みたい。こんな魔法を使える存在は保護しなければならないと思う。

 もし、私がこの魔法を使えると知られてしまえば、その強さも相まって即座に神殿送りだろう。

 というか、 弱い悪魔デーモン悪霊(ゴースト)魔物(モンスター)ならば触れただけで、浄化してしまうって、どれだけなのよ。

 

「神聖魔法の使い方としましては、『魔法や武器に付与する』という使い方のほか、『一時的な祝福』という形で、クリス様への付与も可能です。のぞみ様ほど強ければ、純粋な攻撃魔法としても使えます」


 物は試しと、〈ファイヤーボール〉に神聖魔法を付与して撃ってみれば、金色の輝きを放つ火の玉が飛んでいった。武器ロミちゃんに付与してみれば、淡い金色の光を放った。

 ……隠しようないよね……この力。

 できるだけ使わない方針でいよう、うん。


 ライラによる魔法講義も終わったので、アトリエに戻ってきた。

 ライラは生命の聖域(ビオス・カタフィギオ)にいるが、呼んでくれればいつでも駆けつけてくれると言ってくれた。

 なお、呼ばれなくても、私がピンチになった時は「助けに行く」とも言っていた。


 この日は魔法の自主練習をして終わった。

 翌日、朝食を取ったあと、クリスに言った。


「召喚魔法を試してみようと思うの」

「……なんの召喚魔法ですか?」

「リドっていう女神様」


 私は女神であるリドちゃんを呼び出すことができる、召喚魔法がある。

 魔法についてライラに教えてもらったから、使ってみようと思ったのだ。

 こんな理由でも、女神であるリドちゃんを呼んでいいのか、普通は迷うけれど、私にはリドちゃんが神様には見えないんだよね。

 初対面時の出来事のせいで……。


「リド様……女神リド様ですか!?」

「そうだけど……?」


 なにをそんなに血相変えているの?


「迷い子を導く偉い神様ですよ!?」


 私の頭の上には、クエスチョンマークがきっと浮かんでいるだろう。


「ちょ、ちょっとだけ待っていてください!」


 慌ててアトリエの中を片付け始めたクリスさん。

 私にも雑巾代わりにしている布を投げつけてきて、「手伝って」と言いたげな視線が飛んできたので、できる限りのお手伝いをした。


 アトリエ内の掃除を終えて、クリスが「もう呼んでもいいですよ」と言うので、念のため、外へ出て召喚魔法を発動させる。

 頭の中に出てきた言葉を唱える。


「◆◆◆◆◆、◆◆◆◆◆◆◆、◆◆◆◆◆、◆◆◆◆◆◆◆、◆◆◆◆◆◆◆」


 自分で何言っているのか、さっぱりわからなかった。

 私の前に幾何学模様の魔法陣が出ているから、召喚は成功したのだろう。

 しかし、リドちゃんはまだ来ていない。

 すぐに行けないこともあるって言っていたし、のんびり待っていると……上空から女の子の悲鳴のような叫び声が聞こえてきた。

 その声はだんだん大きくなってくる。

 そのまま地面にズドン!と派手な音と共に、土や砂埃を立てて墜落した。


「……のぞみさん……リド様は大丈夫なんですか?」

「大丈夫でしょ……たぶん……」


 土や砂埃が晴れると、落ちた場所には人の形をした穴が開いていた。


「ちょっと見てくる。クリスは穴を掘るもの持ってきておいて」

「わかりました!」


 私は穴の方へと向かい、穴の中に向かって呼びかけた。


「リドちゃーん!だいじょうぶー!?」

「……た、助けて」


 中から弱々しい声で、一言だけ返ってきた。

 とりあえず生きていることを確認し、アトリエの方を振り向くと、クリスが2つのスコップを持って走ってきた。


「こんなのしかありませんでした……」

「十分よ」


 2人で穴を掘ること暫く、ようやくリドちゃんを救助することができた。


「……のぞみ……私の事嫌いなの?」


 救助したあとの第一声がこれだった。

 嫌いじゃないから、そんな今にも泣きそうな顔しないで。


「そんなことないよ?リドちゃんは可愛いし、好きだから」


 頭を撫でて落ち着かせ、可愛らしいピンクの洋服についた、土やら砂を手で払い落としてあげる。


「……うん、少しは綺麗になったね」

「のぞみ、ありがとう」


 私が手で払いきれなかった分は自分で、綺麗にしていた。

 こういうのは気持ちが大事なのよ。

 ……女神様を地面に墜落させておいて言うなって?ごもっともで。


 リドちゃんはクリスに気づき、口走るように自己紹介をした。


「わ、わたひゃ……」


 噛んだ。

 そして、言い直す。


「わ、私は迷い子を導く女神、リド!敬うのです」


 クリスの目がとっても優しい。

 さっきので威厳なんてどっかにいってしまっているということも、多分気づいていない。

 それでもクリスは膝をつき、祈りを捧げる。相手は神様である、ということは忘れていないみたい。

 私?リドちゃんは神様だけど、妹みたいなものだから。

 

「それで……のぞみ?私を呼んだ理由は?」


 理由?ありません。

 魔法についても少しはわかったので、召喚魔法を使ってみただけです。

 そのことを素直に伝えた。


「そっか…………うん?」


 私から何かを感じ取ったのか、私のことををまじまじと見ている。


「精霊ライラと契約できたのね。そのご褒美、というわけじゃないけど、これをのぞみにあげる」


 私はリドちゃんから、スーツケース程の大きさの宝箱を受け取った。

 なぜ私が生命樹の精霊(ライラ)と契約していることがわかったんだろう。

 疑問に思ったけど、リドちゃんは神様だからね……見た目や私の態度はともかく。


「それと鞄だけど……のぞみにはこの中に入っている物を使ってほしいな。色合いも合わせてあるし……」


 ……色合い?装備品一式でも入っているのかな。


「元々使っていた鞄は、錬金術師のお姉さんが使うといいよ。使えるようにするから」


 そう言ってリドちゃんは鞄に触れる。

 すると鞄が淡く光を放つが、すぐに収まった。


「これでお姉さんにも使えるようになったよ」


 すると突然ベルの音が響いた。


「っと、ごめんね。呼ばれちゃったから行くね。用事なくてもいいから、また呼んでね」


 そう言って、リドちゃんは帰っていった。


「……のぞみさんといると飽きませんね」

「……何か言った?」

「いいえ。なんでもありません」


 クリスと2人でアトリエに戻り、リドちゃんに貰った宝箱を開いてみる。

 中に入っていたのは、綺麗な服と小物であった。

 服は赤色を基調とした花柄模様で、日本の着物を洋風にアレンジしたものだ。日本の着物の良いところに、海外から伝わってきた洋服の良いところを足して、綺麗に纏めたような感じ。着物をベースにしたドレスだろうか。裾部分にはフリルがあしらってあり、とっても可愛らしい。

 服に合わせた色の小物として、肩掛けポーチのほか、花を模した髪飾り、帯、帯紐、靴下、靴、さらには肌着、下着類まである。

 そして、箱の一番下には、服の説明と、着用手順が書かれた紙が入っていた。


 服の説明はこのように書かれていた。


*****************


 私が神様になって、初めて転移させた人間である貴女に、私から最後の贈り物だよ。

 この衣装一式を身につけると、物理防御力・魔法防御力が50%あがるよ。

 そしてなんと!この衣装は1日1回自動的に洗浄・修復がされちゃいます!すごいでしょ!?


*****************


 ……これは常時着用するしかないよね。何より汚れなくて楽でいいし。

 ……え?女の子としてどうかって?

 替えの服や下着なんて、転移の時に身につけていたものしかない上、服もボロボロになっちゃってるから、もう使えそうにない。他にあったとしても、クリスの手持ちのメイド服だ。


 という事で、紙に書かれた着用手順に従い、身に付けていく。

 下着から全部着替え、着物状の服を羽織り、形を整え、帯を巻く。その帯の上から帯紐を巻き、固定する。

 最後に髪飾りを付けて、出来上がり。

 うーん……ドレスというには丈が短い。私の膝上くらいに裾がある。

 とはいえ、素肌は出ていない。理由は靴下にあって、長さが裾のやや上まであるからだ。


「できた……クリスどう?」


 クリスに似合うかどうか訪ねる。


「…………」

「クリス?」


 クリスの顔の前で、手をひらひら動かす。


「……はっ!すみません。つい見とれてしまって……」


 たぶん、服の方に見とれていたのだろう。

 私はそう思うことにする。

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