13 契約しよう
始まりの生命樹の精霊ライラに、主従契約を申し込まれた。
私が戸惑っていると、クリスが割って入る。
「すみません、ライラ様。精霊と契約するのに、主従契約はおかしいと思います」
精霊と契約するって、主従契約とは絶対に言わないと思う。
言ったとしても、精霊との契約だから、精霊契約だろう。
私が対価を支払い、ライラの力を借りる、ということであれば、理屈はわかる。
主従契約というのは、どちらかが主人に、どちらかが従者になるという契約だろう。
「確かに通常の契約とは違いますが、主従契約で合っています」
ライラも普通の契約とは違うと言っている。私が主人になるのは多分ない。となれば、ライラが主人で、私が従者となりそうだ。
「のぞみ様を主人とし、私ライラが従者になります」
……違った。主人が私だった。
「待って」
「なんでしょうか」
「ライラはそれでいいの?」
「構いません。私は『始まり』を冠する精霊であり、同じ『始まり』を冠する巫女である、のぞみ様に力を貸すのは当然ではありませんか?」
ライラはよくても、私は嫌だ。
同じ『始まり』を冠するなら、対等でいい。
上下を決める必要はないと思う。
「当然かは知らないけど……主従契約は嫌よ」
「……わかりました。のぞみ様の意向であれば、通常の精霊として契約しましょう」
通常の精霊契約に変えてもらい、契約内容は私が思った通りの内容だった。
私が対価を支払い、支払いに応じてライラが力を行使する、というものだ。
ただし、今回の場合はライラの意向により、私が支払う対価は契約時に支払うのみとなった。
つまり、それ以降は無償で力を貸してくれることになった。
契約の方法だが……。
「……契約ってどうやるの?」
やり方を知らなかった。
ロミちゃんは精霊だけど、契約をした記憶はない。
最初から持っていたから、契約が必要なかったとも考えられるし、剣に名前を与えた事が原因かもしれない。
「……私から説明しますね」
ライラの説明によると、次の通り。
精霊との契約は魔力交換により結ばれる。
魔力交換は、お互いの体の一部を繋げればよく、握手、ハグ、キス等、なんでもいいそうだ。
契約を結ぶ条件は精霊に力を示す事だったり、指定された物を持ってくる等、様々あるが、今回のような事例はないと言う。
そして、名無しの精霊に名前を与えるという行為は、主従どころか、親子関係とも言えるそうだ。
つまり、ロミちゃんの場合は、私が親で、ロミちゃんが子とも言える。
ちなみに精霊が『親』と言う場合は、『世界樹』または『始まりの生命樹』を指すそうだ。
「……となります。わかりましたか?」
「うん、大丈夫よ」
「それでは、契約に移ります」
今回はお互いの額をくっつける方法での契約実行となった。
「のぞみ様、私の問いに対して、どんな言い方でも構いませんので、肯定の返答をお願いします」
「わかったわ」
ライラが頷き、私とライラを中心に複雑な魔法陣が形成された。
そして、ライラが呟く。
「私ライラは契約の下、柊のぞみ様に力を貸すことを願います」
契約内容が私の頭の中に流れ込んできた。
契約内容は先ほどの通りであり、それに加えて、契約を受け入れるかどうかの問いかけが来た。
もちろん、受け入れる。
「よろしくね、ライラ」
私が答えた事により、契約が結ばれ、私の力がライラに、ライラの力が私に流れ込んできた。
ライラの力は神秘的でありながら、力強くも優しいものだった。
「凄い……」
「これが……のぞみ様の魔力なのですね……とても強い火の力と、光の力……ほかにもお持ちなようです」
ライラにも私の力が流れているようで、そんな感想を漏らしていた。
「のぞみ様、これで精霊契約が結ばれました。のぞみ様の能力をご確認ください」
言われた通り、『鑑定』を使い、自分の能力を確認する。
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名前:柊 のぞみ
年齢:17
LV:1
技能:光属性魔法 治癒魔法 鑑定 不老
称号:異世界人 始まりの巫女
契約精霊:ライラ
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ライラと契約したからか、契約精霊の項目が増え、その場所にライラの名前がある。
「……ライラの名前が増えて……不老?」
契約精霊の方にばかり目がいくが、私の技能に『不老』というものが増えていた。
「……ライラ……不老ってなに?」
「私と契約されましたので、その影響で取得した技能です」
その効果はこの通り。
不老:技能を会得した瞬間より、見た目が変わることがなくなる。
……私は今、17歳だ。不老の技能により、私はこの先、見た目が変わることがなくなった。
正直言っていい?
悲しい!




