81:あおい1
目を開けると賽銭箱の前、邯鄲の夢?色々覚えているけど、天宇受賣命はまじ色っぽい、たまらん、天照大神、性別ようわからん、ヅカの男役みたい、色っぽかったけど。スーさんと並ぶとBLかっていう感じやった。大人サイズの弁天もええ女やったなあ。後何年かかるんかしらけど。
それにしても、濃い一日やった、新たに判明したことが多すぎて、何からどうしたらええんかようわからん。いやそもそも、俺が何したらええんかの指標がどこにもあらへんから、小市民的日本人としては戸惑うばかりなんよなあ。
鮮やかな夕焼け、日本人に夕焼けが美しくないと思う人は殆どおらへんと思う、自然を情緒的に見るのが大好きな民族やからね、烏が鳴くから帰ろう。どこへ?ゴブリンの村なんだよな。
子供は何らかの戦利品を持ち、動物と絡みながら歩く、躓く、走る、回る。
狐は狐に、鹿は鹿に戻ってりくを乗せている。なんか色々言ってたけど、とりあえずりくでええかな、聞いてみ
「とりあえずりくでええどす」
「はい」
完全に暗くなる前に村に着く。やっぱり庫裏に行く。
文字通り上げ膳据え膳で、風呂だけ俺が用意する。
皆が遠慮するので一番風呂に入っているとあおいさん、また若返ってる、にっこり微笑む。
「お背中流します」
「結構です」
「私のことを神々が竜神と呼ばれておりましたが、そんな大層なものじゃないです」
「そうですか」
「私の親は長く生きた尼僧ですが、その母から生まれたわけではありません」
「はい」
極幼い頃に神隠しにあったと言われた、それを拾って育ててくれたと言われたと。
おそらく裕福な高僧であり、字やお経や和歌や楽器を教えてもらったと。
大きくなった頃にはいなくなり、一人山中の川べりに残されていたと。
淵で遊ぶうち、気がついたら水神とか龍神とか言われるようになっていたと。
「遊ぶというのはどのような」
「もちろん人との交わりです。お供えをいただき、糊口をしのいでおりました」
「あ、はい」ぱぱかつですね分かります。
「そのうちに山を巡って山に生きる者たちと生活をともにするようになりました」
山窩的な人々ですか。
「なぜかはわかりませんが、私はなかなか老いず、また子供も出来ませんでした。冬の或夜、女達に縛られて滝に落とされました。なぜかはわかりません。」
「はい」
「長く流されたと思うのですが、気がつくともとの淵に戻っておりました」
少し寒くなってきたので、こっそり湯を温める。
「今度は薬売りの男に惚れられて、共に旅した後、夫婦となりました。しかし夫は行商に出たまま帰ってきませんでした」
「はい」
「村の暴れ者に手篭めにされ、娶されました。知恵足らずですが力持ちの働き者でした。しかし流行病で亡くなりました。また淵へと戻りました」
「はい」
「虚無僧が住み着きました。食べるものなどろくに無いので、すぐにいなくなりました」
「はい」
「私は今まで世話になった男たちを思い、ひたすら念仏を唱え、潔斎する日々を送りました」
「はい」
「ある時、気が付きました。私は何も食べていないのではないか?でもそんなはずはありません。不安でしたが、何も食べなくても大丈夫なら、そのほうがありがたいと思っておりました。ある時高野聖が参られました」
泉鏡花ですねわかります。
「私から血の臭いが漂ってくると言われました。青女房かと言われました。私はあやかしではありません」
「はい」
「しかし私は聖と情を交わしました。
聖は私を愛おしいと。
次の朝気がつくと聖はおられませんでした。私は裏切られました。
北から来られたので、南へ向かったと思いました。私は追いかけました。女の身ですから、なかなか追いつけませんでした。
とあるお寺に辿り着いた時、懐かしい匂いがしました。ここに、あの聖がおられる。私は門の外から呼びかけました。『消えろ物の怪!』という声がして、お経を唱えられました」
「はい」
「あな口惜しや、そこまで嫌うとはなんと薄情な。
その時気がついたのです、私が蛇身に成り果てていたことに。
私は知らぬ間に蛇となっていたのです。
なんと恐ろしいことでしょう。私は身を震わせながら淵へと帰りました」
よかった清姫じゃない。心中してない。
「淵の庵でまた思い出しました。
私は夜になると情を交わした男を、獣を殺してその肝を血肉を喰らっていたことを。
髑髏は淵に沈めていたことを思い出しました。
私は既に人間ではなかったのです。
私は淵に身を投げました。しかし蛇身なれば死ぬことも能わず、底に沈みながらお経を唱え続けました。
嵐の夜は心を乱され、身悶えしました。
いつごろからか、淵を拝む人が増えました。
耳を澄ますと、どうやら私の読経の声が聞こえ、信心深い川の主がいる、雨のときは荒れないよう、また日照りの頃は雨乞いを、祈りとともに願われました。
私は知る限りの神仏に祈りました。声が聞き届けられたことも、叶わなかったこともありました。ある月のきれいな夜、水面に顔を出した時、驚きました。私は醜い竜と化し、その川を鎮守すべきものとなっておりました」
「はい」山椒魚じゃないよ……なあ?
「時が遷ろい、山中に人はいなくなりました。誰も祈りを捧げてくれなくなりました。
あらためて気が付きました。私は欲にまみれている、私は人の情によってのみ生き続けることができるのだと。私は川を下りました。もはや私は水神ではありませんでした。ただの河女にございました」
情、つまりは色情ですか。
「私がかねかつら様にお会いできたのは、神仏に祈ったからではありませんでした。私は長らく遠ざかっておりました。あやかしとして生き、朽ちてしまうのが私のさだめであると考えておりました。くろめちゃんは、私のいい話し相手になってくれました」
「そして、まきこまれて、ここにおられると」
「そうですね。やはり私は救われたくもなかったのでしょうね。ただ、お縋りできる殿方が欲しいだけの卑しい物の怪ですね。うふふ」
あおいさんはゆっくりと近づいてくる。体に手を回してくる。
既に美魔女レベルまでは人に近付いている。
あ、マウストゥマウス、あ、爬虫類っぽい舌が、あ痛、歯がじゅ、蹂躙、
あ、手が胸に、あ、息が耳に、あ、あ、あ、手が鼠径部に、あ、久しぶりすぎて、ぼうは、ぎゃー!潰れる潰れるいたたったぎゃー!
『脇が甘すぎますな』
あ、戻った、絶対一回潰された、絶対潰れた、死ぬかと持った、あ、あ、また
「ええかんげんにしなさい!」
またどこからか出たハリセンであおいさんを叩いた、ハリセンは消えた。
「えぇ、なにか良くなかったですか?」
「痛いですから!」
「あ、そうなんですか?今まで痛がられたことはなかったんですが」
「いやそれはないから!えぇ……もしかして、神経毒か何か?出てる?」
『そうどすな、おそらく麻痺毒でしょうな』
「あのね、これはね、俺に毒は効かないからね。だから痛いのね」
「申し訳ないです、あの、どうすれば痛くないようにできるでしょうか?」
「ちゃうから!したらあかんから!なんか根本的に間違いすぎてるから!」
「やはり生きながらえるのは間違いだったんですね」
「それもちゃうから!そういうことちゃうから!」
「では、……どう違うのでしょうか。もっと一気にすれば」
「全然違うから!情を交わすってそういうことと違うから!」
「……そう、なんですか?母はその様に教えてくれました」
「やめて!お母さん、間違った性教育は!こんなんれいえもんと同じやん!なんで皆去勢したがんねん!」
こ、声が、枯れる……
ちょっと出張で、明日は間に合わないかもしれません、その場合はすみません。
お読みいただきありがとうございます。




