7:ござる言葉って、憧れますよね。
白ゴブ娘の言う通り、集落には1時間ほどで到着した。
「ようこそ、なまり村へ!」
いやいや。そんなサービスはいらんから。
村は田んぼに囲まれていた。田んぼ!ふぉー!米が食える!
実るほど頭を垂れる稲穂かな
いや言ってみたかっただけなんです。大好きなんですこの句。
でもなあ、村の外周にかなり立派で堅固な柵だよ。物見櫓兼半鐘や大量の桶、材木が置いてあるとか。これはなんや、あれか、今って戦国時代か何かやろか?ちょっとやばくね?
「おとーさーん」
「ああ、おかえりれいか。花はあったか?」
ちょちょちょでかいよお父さんゴブリン?なんだっけ?ホブゴブリン?
えらい目で睨みつけてくるぞこの親父。いや引くわー初対面でこれ引くわー
「どちらさま、でしょう?」
威圧されてるーでも営業で慣れてるよポーカーフェイスポーカーフェイス
「お父さん、このオーガさんはかねかつらさんていって、旅の方なの。道に迷っていた私を助けてくれたのよ。」
そうそうそうなんよそうなんよいいオーガなんよ。
「はじめまして。私かねかつらと申します。」
こういうときって余計なことは言わないほうがええんよ。
「ああ、そうですか……。」
値踏みするようなお父さんの目。いやーん、なんかいやーん。
「失礼しました、お武家様ですか。私この村の名主をしておりますれいえもんと申します。」
「名主殿でござったか……。」
「そうなの。お家は広いから、オーガさんくらい泊めてあげることはできるよね。」
レイカ嬢がニッコリと話しかける。いやいやゴブリンに(以下略
「かねかつら殿、今は取り込んでおります。申し訳ないがこの村から出ていってもらえないでしょうか。」
あーやっぱり。なんかそういう予感がしたんよ、しらんけど。
「えー、どうしてお父さん!私お世話になったのよ!」
白いホブゴブリンのお父さんが眉根に皺を寄せ、左手の親指と人差指で目を押さえる仕草をする。
ナニコレかっこいいー。いや不細工だけど!でもシュッとした和服を着て!なんかダンディー……。
お父さんが目を開けると、キッとこちらを見つめてくる。
あー。予感がするよ。きっと面倒事だよ。
「お武家様を見込んでお話があります。良ければ拙宅までお越し願えますか。」
やっぱり。まあそういうもんだよなー、しらんけど。
読了ありがとうございます。