1章の二三 要は奴では叶わなかった
「根拠だと?」
右肩から流れる血をを左手で押さえているギルバートは、僕の話に耳を傾けるようだ。
甲冑を貫いた『魔力槍』を警戒しているのだろう。
ありがたい。問答無用で突っ込まれれば、自滅覚悟で攻撃しなきゃならない。こっちも頭から血がだらだら流れているが、それ以上に肉体のダメージが大きくて、まともに動くことができない。
魔力槍は威力が強力な分、射程距離は2mしかないし、打点も小さいから当たりづらいんだ。意表を突いた先程の一撃はともかく、警戒される今では当たることはない。
加えて言えば、魔力の消費も激しい。射程距離は10分の1にも満たないのに、消費量は10倍もある。操作に無駄があるから燃費が悪いのだ。
連発できるほどの魔力を僕はもう持っていない。
この時間を使ってうまく対策をたてる。
「ああ、まず、お前が領主の人間とつながっていると疑ったのは、グリル様に孤児院の事情を聞いた時だった。
グリルが話している内容は本来なら信じられないような話だと思っていたが、最初に出会った時のお前らの態度や周りの反応を見るに、孤児院に何かがある事は理解していたから、疑いつつも聞き流すことはしなかった」
あの時はあまり信用していなかった。グリルの存在が少し胡散臭かったというのもあるが、あの孤児院にそんな事情があるとは最初は思っていなかったからだ。
物語では借金で奴隷になる事は珍しくないが、だんだんと話を聞いているうちに事態が想像より重いことに気付く。
「だから、グリルから事情を聴いたとき、もしも本当の話であるのであれば、お前は領主と何かつながりがあるだろうと考えていた。
内偵か工作、もしくは両方の役割を持っているだろうとな」
「はあ?ふざけんな!馬鹿か!あのクソ領主の息子に変なことを吹き込まれたみたいだけどな、それを信じるお前はクソ以下だ!」
いきなりの推測に怒りを覚えるギルバート。だが、あの時点でこいつが怪しいと思ったのは仕方がない。
「あの時にグリルは何も言っていない。「信用できない」とは言っていたが、それを言ったのは今日の夕方ぐらいだし、それを言われる以前に気付いていたしな」
そう言うと、ギルバートは黙って下を向いて考える。自分が何か不都合なことを言ったのか考えているようだ。
でも、それって、自分が犯人だと言っているようなものじゃないか?
「・・・じゃあ、何か?俺が獣人だからやりそうだとでも言いたいのか?」
ギルバートが唐突に訳のわからないことを言った。
・・・?あれか?獣人は差別されるというラノベやWeb小説でいうアレか?
いや、そんな典型的な悪人じゃないから!僕は何事にも公平に扱う人間だから!気に入らない人間なら臆病な女子だろうが、小さな子供だろうが、遠慮なくお仕置きしてやる人間だから!
・・・いや、悪人か?
「まあ、言いたいことは分かるが、違う。
お前が最初に口にしたときに自白していたんだよ」
奴の言葉を僕は覚えている。一週間前の言葉を忘れるほど、僕の記憶力はそこまで悪くない。
「お前は俺と最初に出会ったときに言ったよな?
何処の組織の人間なのか?
ここには何もない!
・・・みたいなことをさ」
「それがどうした?」
「あの発言で二つ分かったことがある。
一つは、孤児院の何かを狙っている組織は他にも存在する。もしくは、それを知れば他の組織も手を出す可能性があること。
もう一つは、ギルバート、お前が孤児院の事情を知っており、その要因を知っていること」
一つ目の正解はおそらく後者だろう。領主の行動を憶測すればメインの存在を知らせないように仕向けているようだったし、他の組織がメインの能力に気付いているのであれば、もっと大勢の刺客に襲われていただろう。そうなったら、いくらメインでも一人では無理だ。
そして、二つ目、ギルバートが孤児院の事情を知っているのは言うまでもない。そうでなければあの発言はおかしいのだ。あそこには本当に何もなかった。孤児院の子供たちの才能は目を見張るものがあるが、それ以外に誰もが注目するような価値あるものはなかったからだ。
だが、あの言葉に違和感を覚えた。
「ここで一つ疑問に持ったことがある?お前があの時言った言葉に足りない言葉があった」
「足りない?お前に言う必要のないの間違いだろ?」
「いや、足りないだ。なぜなら、僕が仮にどこかの組織の刺客だった場合、一番疑うはずの『領主』が抜けていたからだ」
「!」
ギルバートが言った言葉を思い返す。
(てめえ、どこの国のものだ!王都の腐った貴族達か?公国か?帝国か?少なくとも、ただの一般市民ではなさそうだな)
「お前が領主という言葉を抜かした理由、色々あるけど、一番可能性が高かったのはお前が領主と繋がっているからだ。
それも、誘拐した冒険者みたいな詳しい事情を知らない下っ端ではなく、それなりの関係を築いている人間。大まかな作戦や連絡を取れたりすることが出来る人間だろう。
領主が国の手先だから言わなかったという考えもない。それなら、あの時の言葉のリストにサントリア王国ではなく、『王都』という明確な地域が出るのが考えにくいし、領主の行動は明らかに国に忠誠をしているような勤勉なものではない」
「たかが、そんな言葉だけで・・・」
ギルバートの言葉は先ほどとは違い、弱弱しい言葉だった。自分の失言に気付いてしまったからだろう。
「まあ、僕もあくまでそういう可能性があると疑うだけだった。グリルの言っていることが本当だという確証もなかったし、あの時は明確な目的とお前の立場も不明だったしな。
だけど、村で起きたあの騒動が起きた時に疑心はさらに深まった。お前と領主が確実に関係があることに」
「?」
「僕がメインを犠牲にして村に入った時だ」
その言葉を聞いて、奴の表情には再び殺意を帯びた怒りが含まれている。
奴の顔はヤカンで出来ているのだろうか?すぐに熱くなったり、冷たくなったりするな。ピーと音をならして水蒸気を放出しないかな?
・・・まあ、どうでもいい。問題なのはあの後なのだ。
「そうだ、お前が僕に殺意を向ける出来事だ。
だが、なんであの時お前は僕に殴り掛からずに見逃した?
僕はお前の姿を見たし、お前も僕に目を向けていた。怒りを剥き出しにしていたのにお前は襲ってこなかった」
奴はあの時の状況を思い出して、言葉に詰まる。
そうだ、奴は僕を見ていた。メインと一緒に入る方法を考えていた時に奴は僕を睨んでいた。
何かをすれば、すぐに対策がとれるように、味方するわけでもなく、敵になることもなく、じっと睨んでいた。
加えていれば、グリルはギルバートに視線を送っていた。ギルバート本人は僕とメインを見ていたから気づかなかったが、グリルがギルバートに視線を向けていたから、僕はギルバートの存在に気づいた。
「それは・・・周りの目があったからだ。メインの前でお前を殺すわけには・・・」
「違うな。あの状況でメインが俺を庇うとは考えにくい。第一にお前は感情に身を委ねるような人間だ。そういう人間は周りの立場とかを気にするような輩ではないし、流人の冒険者がそこまで気にするようなことではない。
それ以前にメインを村に入れさせない門番に何かしらの介入すらしないのは、お前らしくなかった」
「て、テメーに俺の何が分かる?」
「あの時に何を考えていたのかは知らない。でも、大体のお前の性格や心理を知るくらいは推測できる」
このような人間の心理くらいならある程度は把握できる。
最近知り合った人間で近い人種は電車で出会ったビッチのような人種だ。
無論、性格は千差万別だけど、千も万も性格に種類があるのなら共通するものや似ている傾向なんかがある。
奴のような人種は直情的で感情が昂ると回りが見えない人間である。そういう人間は目の前の光景で判断し、後先考えずに行動する。
要するに、河川敷なんかで一人VS多数の一方的な喧嘩の光景を見れば、迷わず一人の味方になって、多数に攻撃を仕掛けるのだ。
そして、助けた人間が実は強盗で、その隙をついて強盗に逃げられたりするのだ。そういう迷惑な人間だ。
そんな人間があの騒動で冷静に判断していた。つまり、奴には感情を押さえつけるなにかがある。冒険者であるギルバートを押さえる理由が奴に対する疑心を深めさせた。
そして、その回答はどうやら図星らしく、奴は黙ったままだった。黙ったまま拳を深く握っていた。
追い討ちをかけてみる。
「お前が手を出さなかった理由は明確な未来が想像できたからだろう。その後の出来事を深く考える必要がないほどにな。
『村が滅んで、奴も一緒に命を落とす』
そんな明確な未来を見ていたなら、堪えたのも納得がいく」
「!」
「まあ、ここまでがお前と領主がつながっている推測の経過だ。
あの時に僕へ手を出せなかった理由は、やるべき事のために注目されたくなかったからだろう。
村の崩壊させるための準備を見られないためにな。
村を崩壊させるために魔道具を盗むのに、自分が注目されたら何も出来なくなってしまう。魔道具は村を襲うだけじゃなくて、夜に馬車を使うために必要だからな」
「すべて憶測だろうが!証拠が全くねえぞ!そんな妄想で俺を犯人に仕立てあげているのか!?
全くのお門違いならどうするんだよ!」
「おい、勘違いするな。僕は探偵でも正義の味方でもないんだ。真実を突き止めるわけでも、すべての人間を救う力も責任もない」
「は?」
「妄想で何が悪い?違和感があれば、それで疑うには十分だ。
ちんたらして後の祭りじゃ意味がないだろ?
証拠がない?このままだったら救える可能性は殆ど0だっただろうが。
だったら、考えて、考えて、考え付いた憶測に賭けるリスクくらい今さらだろう。
もっとも、憶測で無関係の人間を殺そうとしたお前が言うことかよ?」
この言葉が止めだったのだろうか?
僕がそう言うと、奴は握っていた拳を開いてぶら下げる。憑き物から何か落ちたように、すっきりとした顔をした。
「まあ、他にもいろいろな推測と状況証拠から、お前がやったことを仮説でき・・・」
「いや、もういい」
僕の推測を途中で止めると、ギルバートは左手で落ちていた『巨人の破壊剣』を手に取る。
「・・・お前を殺す理由が増えただけだ。やる事は変わらない」
奴は反論するのを諦めた。いや、諦めたというより、認めて開き直ったと言った方がいいのだろう。
・・・不味いな。時間稼ぎをしたけれど、アレは失敗したようだ。次策を思い浮かべるまで、もう少しだけ時間を稼ぎたい。
「そうか、じゃあ質問させてくれ。領主とどういう取引を行った?
お前がメインを助ける意思は本物のようだけど、どうやって救うつもりなんだ?」
「これから死ぬ奴に答えても意味がない」
「冥途の土産という言葉があるだろうが」
僕がそう言うと、ギルバートは眉間にしわを寄せて言いにくそうに言った。
「・・・俺に命じられたのは二つ、その一つはメインの奴隷化に協力すること。
その代わり、協力したら二年で開放してやると奴は言った」
・・・まあ、奴の動機と行動が矛盾していたからな。そんな理由だと思ってはいた。
「もう一つは奴の息子の排除だ。その手段として村ごと排除することを提案したら奴は何も問題のないように受け入れた」
・・・これには少し驚いた。奴が村の人間に対して怒りを抱えたことは知っているが、そんな手段をするとか、どんだけ病んでいるんだよ。
いや、それを受け入れる領主も大概だが・・・
「そんな取引を了承したのか?
いや、そうするしかなかったみたいな言い方か・・・」
「・・・理解が早いじゃねえか。余計にイライラするぜ」
「お前がグリルと組んで領主を追い出すという策は考えなかったのか?」
「無理だ。奴の手駒にはアレがいる。
領主の息子だろうと関係ない。奴と組んでも絶対にメインは助からねえ」
グリルは即座に否定した。グリルの口ぶりからギルバートと面識はあったみたいだが、協力しても無意味だと思ったのか。
ギルバートは強い。
この世界で出会った人間の中で間違いなく一番だ。
まあ、一週間ちょっとしか滞在していないけどさ。
そのギルバートが無理だと諦める要因。感情的で後先考えそうにない人間でも諦める大きな要因。
「魔人か?」
何の根拠もなくそう言ってみた。他意はなく、話を繋げるための問いだ。
奴の回答を聞けばいいだ・・・
「そこまで知っているなら話が早いだろ!あの化け物を従えているクソ領主に敵うはずがねえ!」
ギルバートは苛立ちながら答え・・・あたっちゃったー!
え、うっそ!マジで!すげえぜ僕!
いや、まあ、それはそれとして・・・
「だからって、そんな条件を受けるか?普通は・・・」
「何も知らないお前に何が分かる!」
そう言うと、ギルバードはいきなり甲冑を脱ぎ捨てて上半身裸になった。・・・キャ!変質者よー!
そして、背中を僕に見せると・・・
「・・・何だ?その背中の傷?」
「奴隷の時に受けた傷だ!」
そこには大きな傷跡があった。ただの傷ではない。傷跡の上に傷跡を重ねて大きな傷跡ができているのだ。
いったい何十、何百、何千の傷を受けてきたらそんな傷ができるのだろうか?
「常識知らずのお前に言っておくがな!獣人は奴隷として最も都合がいい人種なんだよ!
人間は面倒くさい裏道を通さねえと奴隷にすることはできないが、獣人には人間の法は適用されねえ!
そもそも獣人はまともな待遇を受けることはできねえからな!
生きていくには人間の社会から関わらねえ場所で密かに生きていくか、
冒険者として自分の力だけで生きていくか、
貴族に捕まって奴隷として地獄の日々を過ごすかだ!」
奴は喋りながら、段々怒りが込み上げている。声を荒げ、怒りのエネルギーを声に変えてぶつけてくる。
「奴隷になった時は本当に地獄だ!何度も理不尽なことで死にかけたし、何度も理不尽に耐えられなくなって死にたくなった!
お前らがへらへら過ごしている時も、俺達は痛みと死に怯えていた!
お前らが寝て過ごした夜も、恐怖と寒さで一睡もできない日があった!
意味もない娯楽のために尊厳を奪われて!自分を守るために奴隷仲間を犠牲にして飯を食らった!
最後には何もかも失って死ぬ運命を待つだけの日々を過ごすしかない!」
そう話すと、途端に奴から怒声が消えた。大切なものを懐かしむような表情に変わった。
「・・・そんな毎日を過ごして死のうとした時に、俺はメインに出会った」
「・・・え?」
何と言った?あいつが奴隷?
彼女はそんなことは一度も言って・・・いや、言うわけがないか。少なくとも、出会って一週間しか経っていない僕に言えるような軽い話ではない。
「あいつも元は奴隷だった。どういう過程で奴隷になったかは知らないが、俺達はとある領主の奴隷だった。
一緒に奴隷になったのは僅かな時間だが、メインは他の奴隷とは違った」
奴からいつの間にか涙が零れていた。
「あいつはどんなに惨い目に遭ったとしても、俺達に笑顔を向けていた。
俺より年下で、非力で、冷遇な待遇を受けていたのに、あいつは誰かのために出来ることをしていた。
俺らみたいな獣人で奴隷だったにも関わらず、領主に隠れて法術で癒してくれた!
奴隷仲間からも冷たくあしらわれていたのに、自分を省みず助けてくれた!
あの笑顔があったから俺は生きようと思った。
あの笑顔があったから逃げ出せる機会を迎えることが出来た。
あの笑顔があったから俺は自由になれた!」
・・・つまり恩があるということか?
「じゃあ、何で領主と手を組むようになる?」
「・・・再開したのは本当に偶然だった。冒険者になって、依頼人が偶然あいつだったことに感謝した。
あいつに恩返しをすることが出来るって喜んで依頼を受けた。
魔物の討伐するコツや素材をとるコツなんか出来るだけ教えた。
なのにあいつは!また誰かのために窮地に陥って、どうでもいい奴らのために犠牲になろうとしていた!
他人を思うことが出来るあいつが一番幸せになるべきなのに!」
・・・僕の質問に答えていないみたいだが、口を挟まない方がいい。奴がベラベラ話すのなら、黙っていた方がいいか。
「俺は冒険者の伝手で情報を集めた。あのクソ領主をブチ殺そうと企んだ・・・でも、それは無理だった。
領主は魔人を手懐けていて、逆に殺されそうになった」
その後、領主と交渉したのか・・・
「だから、せめて彼女の苦しみを減らそうとしたということか?
お前が洗脳されていないのは内定として使うため。面識ある人間をあんな風に操ればメインも警戒するからな。
従順にしたがって、手伝えば、数年で解放すると提案されてそれしかないと考えて了承した。」
これが奴が領主の手先になった理由か。なんで内偵がこんな感情任せの人間にしたのか分からなかったがこれで理由は分かった。
奴は領主を裏切れない。ギルバートは領主に歯向かえない。
そういう風に心に鎖を刻まれている。
まあ、話は終わりだ。時間を稼ぐつもりだったが、大きな情報も手に入った。
そして、こんな奴に時間をかけるのがバカらしくなった。
「こんなんでメインを救えると思うのか?」
「・・・邪魔なんだよ!お前らがどうやっても解決するわけがない!だから余計なことをするんじゃねえよ!」
逆ギレかよ・・・なんというかあれだ。
「お前がいなければ順調だったんだ!」
こいつは本当に救えない。
こいつを見ると本当にイライラしてくる!
「今度は俺がメインを救う!俺を救ってくれたメインを、今度は俺が救ってやる!どんなことをしても・・・」
「ふざけんじゃねえよ!馬鹿野郎!」
奴の言葉を俺は塞いだ。これ以上に奴の言葉には意味はない。
策とか勝率とか関係ない。こいつは俺のためにも懲らしめないと気がすまない!
「まず気に入らないのがお前が領主の命令を馬鹿みたいに従っているところだ。
領主がお前との取引を守る保証がないし、破ったところでお前という駒を潰せば何の支障もないんだ。
力関係は向こうが上で主導権も取られているなら、向こうはわざわざ取引を守るメリットはないだろ」
これは約束ではない。約束は互いの信頼関係を築いている時にやるものだ。奴が行っているのは約束ではなく、取引だ。
そして、取引は互いのメリットを提示させるだけでなく、互いに抑止力がある事で成立する。
ギルバートはそれがない。
そうなれば領主はギルバートの要求に応えなくても何のデメリットもないのだ。応えてもメリットがないのであればなおさらだ。
「次に、お前のやっている行動が非常に気に入らない。
本当にメインを救いたいと思っているなら、何でメインが大切にしているものを代償にしているんだ?
自分可愛さに中途半端にやるくらいなら、お前が見下している村人の方がまだましだ」
メインを助けたいと思うのであれば命ではダメだ。
命だけでは絶対にダメなんだ!
彼女が彼女であるためのモノを失っては何の意味がない!
「そして、三つめ、お前が俺たちをどう思っているか知らねえが、メインに一番害を与えているのはお前じゃねえか。
メインが築いた時間を、繋いだ命をお前は踏みにじったんだ。そんな人間がメイン救うとかいうんじゃねえよ」
メインが何を思って村人を助けていたのかは知らない。村人に冷遇されていたのは聞いている。
それでも、メインは無償で彼らを助けていた。理由は分からない。
でも、彼女にとって、それは『彼女』であるべきためにやっていたのだろう。
別に他人がそれを馬鹿にしてもいい。理解しなくてもいい。だが、自分の価値観でそれを踏みつぶすのはそいつの価値を否定することだ。
「そして、最後に四つめ、これが一番むかついた。
無力な自分を棚に上げて、勝手に結末を決めつけてんじゃねえよ!自分に出来ないことが他人も出来ないと思っているのか?
ふざけんな!」
俺に出来ないことは沢山ある。星の数ほどあるだろう。
変えられない理もある。それも間違いない。
だが、メインは助からないと誰が決めた?
「お前が諦めるのは勝手だけどな、俺は最後まで諦めねえ!
脳みそきんに君が未来を予測すんじゃねえよ!バーーカ!!!」




