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僕は異世界で君を探す~命よりも大切なもの~  作者: Re:You
1章 孤児院と洗脳された村
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1章の七 決意

遅くなってすみません。更新します

 さて、どうするべきか?

 僕はメイン達に再会するため歩きながら、これからの行動について考えていた。


 何だか最近、平穏な出来事が少なくなっている気がする。

 いや、最近というか、三島に出会ってから面倒なことに巻き込まれている気がする。いや、巻き込まれている。

 あいつはなんでしょうね?トラブルメーカー?

 三島ゾーンを展開するとトラブルを自動的に引き寄せる効果があるのだろうか?

 そんなゾーンを展開するくらいなら、ファントムを展開してくれた方が正直ありがたいです!


 と、心の中で一人ボケツッコミをしながら、僕がこれから行うべき行動のいくつかをプランニングする。


一、メイン達と共に孤児院を救う。


 メリット 心情的に一番負担のない策

デメリット 勝算が低く、最悪自分が奴隷になるケースが高い


 先程の話を聞くに、メインや子供達を領主が狙っているというが、これを解決する策が思い付かない。

 あるとしても現時点で運任せが多いため、はっきり言って、うまく行くイメージが出来ない。

 いや、本当にどうしようもない。理由は多々あるが、主な理由として言えば、敵が多すぎる。

 権力的にもそうだし、武力でも恐らく無理だろう。


二、グリルと協力して孤児院を救う


 メリット 一の案より可能性はありそう

デメリット 何かしらグリルの裏がある


 メリットとしては一より、権力や情報があるので、可能性はあるだろうが、どのような策を行うのかが分からない。

 それに、グリルはああ言っていたが、口では何だって言える。


 そもそも僕に協力をしようとしたのが分からない。

 手先でないと奴は言っていたが、俺が手先ではないという保証はないのだ。

 戦力と言っても、僕一人程度で変わるとも思えない。


 僕じゃなくても、他の人間でやっているはずだ。

 ・・・やるとすれば、僕を犠牲にして孤児院を救うとかもあるな。恋敵と勘違いしたグリルが僕もろとも葬るとか?


 グリルにはああ言ったが、この策も行うことは出来ればしたくない。


三、面倒事に巻き込まれる前に逃げる


 メリット 自分の犠牲が一番少ない

デメリット 心情的に一番負担がかかる。


 ぶっちゃけ、三島を探すのが目的であれば一番の策はこれなんだよな。

 準備を整っていないのは心細いし、メイン達の恩を返さないのは心苦しいが、正直言って、一番の候補だとも言える。


 いや、本当に選びたくないけどね!


四、領主に直接攻撃する。


 メリット 何があるだろう?

デメリット ほぼ確実にバッドエンド


 何でこんなプランを考えたのだろう?


 ナイナイ、絶対ナイ!


 そもそも領主の住み処も知らないし!ああ、何か頭がこんがらがってきた!

 落ち着け!クールになれ和志!

 まずはわかっていることから整理しよう。

 まず分かっていること、それはそれぞれの目的から


 メイン

目的 孤児院を救う

手段 高額な税金を払う

失敗 子供達、若しくは自身が奴隷になる


 グリル

目的 孤児院を救う?

   領主の問題を止める

手段 不明

失敗 領主がメイン達を奴隷にする


 ポワレ領主

目的 メインや子供達を奴隷にする

   アマル領を支配する

手段 洗脳

失敗 自身が領主の権利を剥奪される


 現在の情報で推測すれば、恐らくこういう感じでいいだろう。

 領主が行っている行為が問題であれば、権利を剥奪させて、奴隷にする計画を止めればメインは救われる・・・訳じゃないのが本当に嫌だ!


 ギルバートのあのときの台詞を思い出す。


『てめえ、どこの国のものだ!王都の腐った貴族達か?公国か?帝国か?少なくとも、ただの一般市民ではなさそうだな』


 この言葉から察するに二つの仮説が思い浮かぶ。


 その一つが『敵は領主だけではない』ということだ。

 いや、確実でないけど、楽観的に考えるのもどうかと思うからな。


 『他にメイン達を狙っている人物がいる』と言うことは助けを呼ぶことも難しい。いや、心当たりが全くなかったけど、そういう方法はとれない。


 味方になる人物が誰かも分からない。いや、もしかしたらいないかもしれない。


 だが、このままだと正直言って、武力や権力では勝てそうにない。


 正攻法で金を稼ごうとしても、その策がない。

 まあ、額によるけど、この異世界での常識がイマイチつかみきれていない僕が出来ることなんて限られている。

 現代チートも考えたが、ここでは、魔力を元にしたしっかりとした文明があるため、簡単な物を作っても、似たり寄ったりの商品になるから売れないだろうし、大掛かりな物を作る資金や労働力もない。


 それに、案を思い付いても、簡単には行動を移せない。

 領主の目を盗み、気付かれないように金策を実行しないと潰されるだろう。


 とにかく、目的と手段は整理した。あとは戦力の確認。


 孤児院

 メイン、ギルバート、アレスとセーラ外、子ども10人

 (内 戦力となる人物7人)


 グリル

 不明


 領主

 村の有権者、内偵、その他不明


 その他いろいろの派閥

 戦力は多数の可能性大




 どーしよう! どーしよう!


 オ、パキャマラド、パキャマラド、パオパオパンパンパン!


 オ、パキャマラド、パキャマラド、パオパオパ!


 クラリネットではなく、僕の頭が壊れちゃったよ。


 あの孤児院がこんなにヤバイ状態であるとは、一週間過ごしていたのに、全然気づいてなかった。

 これだけの敵がいるなら、僕なら逃げてるね。何もかもを捨てて。

 いや、逃げられるならとっくに逃げているだろうな。

 逃げ場がないのだ。どこにも逃げられない。


 だから立ち向かうしかないのだ。メインはそれしかなかった。

 一人であればまだ可能性はあっただろう。だけど子供達が枷になって動けなかった。

 いや、実際どうだったかは知らないよ?何かしら理由があるのかもしれないし。


 でもまあ、色々と考えていたけど、どう行動すればいいか未だに解らない。


 ・・・だがまあ、メイン達には世話になった。

 三島がいれば恩は絶対に返せと言うだろう。

 仕方ない、ああ、仕方ない。

 三島に見限られないように頑張らないとな。


 だが、そのためにはリスクを負わないといけない。


 戦力、権力、知略、情報すべてが足りない。


 集めるにも時間がない。


 助けを求める宛も逃げる場所の宛もない。


 ならばどうするか?


 運命にかけるしかない。


 自分の手で掴んだ運命だけを信じるしかない!


 「やってやろうじゃないか」


 ()は運命を変える!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここが、例の場所ですか」


 一人の女性が海岸に立っていた。

 青みを帯びた長い黒髪に、鎧を着込んでいる彼女は乗っていた馬から降りて辺りを眺めた。


「噂では一週間前に何かが堕ちてきたと聞いていたが、特に変わったものは見られないな」


 後ろから声がして彼女が振り向くと、そこには同じ鎧を来ている男性がいた。


「ヴァン、何故ついてきたんですか?」


「ここは魔物がいるからな。一人では危険な場所だから騎士ナイトが必要かと思ってだよ。サクヤ様」


「必要ありません。()()()()()()()()()()()


 ヴァンの言葉に不機嫌な顔をした彼女は視線を彼から外して海岸を捜索する。なにか手がかりがないか確認するためである。


「なあ、たかがこんなことで王国騎士が出てきていいのかよ?」


 ヴァンが彼女に問いかけると、彼女は振り返らず問い返す。


「こんなこととは?」


「だって、そうだろ。

 こんな辺境な場所で起きた出来事・・・しかもたかが噂で、国の中心から三日もかけて向かう。

 王国騎士がすることではねえな。」


「ヴァン、一つ訂正するのであれば、私はまだ騎士ではありません。今はただの一学生ですよ」


(王国唯一の騎士学校で一番に選ばれた優等生が何言ってやがる)


 彼女の答えにそう突っ込みたかったがやめた。この言葉は彼女から怒りを売る。


「それに、ここで何かが起きたのは事実です。近くにいた複数の冒険者が怪しげな光を目撃したと・・・あれは?」


 そう言って彼女は何かを見つけ、突然崖を降り始めた。重い甲冑を来ているにも関わらず、軽々しく動き回るその姿を見てヴァンは感嘆する。


「これは・・・革製のリュックですね。しかも贅沢に塗料を使っています。

 デザインも見たことがありません。」


 社交界や市場の流行に疎い彼女であるが、少なくともこのようなデザインのリュックを見たことがなかった。


(ん?どうやって開けるのでしょうか?)


 デザインというよりも機能性を重視したリュックであり、しかし、贅沢に綺麗な紅い塗料が使われている。しかも、何か塗られているのか耐水性の革に殆どダメージは見受けられなかった。


 ポーチやロープで開けるのが主流でファスナーで開けるリュックはこの世界でなかったため、使い方に戸惑う彼女だったが、ファスナーの使い方に気づくと少し驚いた。


(これはいいですね。調査が終わっても、所有者がいなければ頂きたいです。)


 そんなことを思いながらリュックの中身を確認していく。

 リュックの中身は海水が入っており、なかはびしょびしょだった。

 だが、見たこともない素材ポリエチレンの袋に機材は入っていたため、濡れてはいないようだった。

  

「これ等はなんでしょうか?魔道具?いや、魔核コアがないですね。ただのガラクタでしょうか?」


 彼女が取り出したのはスマホである。

 真っ黒い画面と黒くて丸い装置が取り付けられている薄型の機械に興味をもったが、とりあえず、他の物を確認してみる。


 怪しげで解らない機械類は一旦外に出して、彼女は二つの袋に注目した。

 一つは小さなポーチ、もう一つは汚れた白い袋だ。


 サクヤはまず、小さなポーチの方を調べた。


「これは・・・貨幣でしょうか?サントリア王国の貨幣ではありませんが・・・すごい技術です。全く同じ形をしています」


 サントリア王国の貨幣は鋳造式で作られるため、殆ど違いはないが、これ等は違いすらない。

 見かけない文字に違いはあるが、それ以外はなかったことにその技術に驚いた。


(こんな技術は少なくともこの大陸ではお目にかかれない)


 もしかしてとサクヤは思った。もしかしたらと思い、サクヤは次の袋を開けてみた。


「!、これは!」


 それは金貨であった。この国の金貨ではない。


 でも、サクヤはこの金貨がどこで作られているか知っていた。

 長年追いかけた手がかりを示す物だからだ。


「・・・ついに見つけました」


 彼女が笑みを浮かべたときだった。


「サクヤ!危ない!」


 ヴァンが叫ぶ。彼女からは見えていないが、海辺から突然魔物が現れた。


 『コーストベア』

 海岸の岩に擬態した魔物で、近寄ってくる獲物を襲う魔物である。

 彼女がリュックの中身を確認している隙に襲ってきた。


 だが、彼女にはそのような奇襲は通用しなかった。


「何か言いましたか?」


 一瞬のうちに魔物は動かなくなっていた。()の様に固まっている。


「いや・・・なんでもない」


 ヴァンは理解した。彼女の()()が守ったのだ。


「ヴァン、ここから一番近い集落はどこですか?」


「は? 突然どうした?」


「いいから答えなさい」


「ここからだと南の方角にアマル領の辺境な村があったはずだけど」


「私は今すぐそこに行きます。貴方は帰っていいですよ」


 そう言ってサクヤは一瞬で崖を登り、馬に跨がって南の方角へ向かった。

 そこはカズシが滞在している孤児院と同じ村だった。


「やっと見つけました・・・覚悟しなさい、魔族」


 サクヤはそう呟き、村へと向かった。

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