教室へ
スミマセン、話を更新するためにすべてを更新し終えるまでは短め(大体4000くらい)でいきたいと思います。その分更新速度を早めたいと思うのでこれからもヨロシクお願いします。
取り敢えず二人はリビングへと戻り気不味い朝食(パンとスープ、サラダ)をとっていると眠そうな聖奈が起きてきた。
「おはよう真琴。朝帰り?」
寝ぼけた様子で真琴に話しかける。真琴をいつでもからかおうとするのは寝ぼけていても変わらないようだ。
「その事は言わないでくれ姉さん。さっき有栖とひと悶着あったばかりだから。」
それを聞いて聖奈は急に目を開き、ニヤニヤしながら真琴を突ついた。
「妹に愛されてますなあ〜。お姉ちゃんも心配してたんだぞ〜。」
真琴は居心地が悪そうに突つかれていた。愛されてる云々は別として真琴も二人が本当に心配してくれていた事を理解しているからだ。真琴は人に心配されることが少なかったため二人の気持ちに頬が緩みそうになる。しかし二人に知られるとまたからかわれそうなのでそれを隠すように言った。
「昨日の事はまた今度にしよう。そろそろ聖奈姉さんも朝食をとらないと学校に間に合わなくなる。」
そう言って真琴は朝食のパンを食べ終えるとリビングを出て自室へと戻っていった。
それを見届けると有栖はため息をついた。
それを見て聖奈は同じ気持ちとでも言うようにため息をつく。
「兄さんも被害者ですし少し言いすぎてしまいましたかね?」
「何があったか知らないけどいいんじゃない、家族なんだから。私達三人の間じゃ大抵のことは普通でしょ。」
「そうですね。兄さんのこととなると落ち着きを失ってしまう癖を直さないと。」
「私を見習うといいよ。いつでも動じない私を。」
そう言う聖奈に対して有栖は鼻で笑うように言った。
「どの口がそれを言うんですか。兄さんの事となると一番制御できないのが聖奈姉さんじゃないですか。」
「何を〜。有栖の方が真琴の事に対して反応が大きいじゃん。」
二人がどちらが真琴に対しての行動に敏感かを言い争っている?内に再び真琴が制服を着て部屋から降りてきた。照れ隠しで上へ行く前と変わらない二人の姿に彼は驚いた。
「まだ着替えてなかったのか二人共。明日那じゃないんだから遅刻しないようにしないと。」
時計に目を向けると既に登校時間になっていた。
「すみません兄さん。少しだけ待っていてください。」
有栖は朝食を作る前に準備を終えているのでエプロンを解いたあと制服に着替えれば学校に行くことができる。
しかしもう一人の方は、
「ヤバイ、遅刻しちゃう。髪をとかして、制服に着替えて…間に合わない〜」
とピンチだった。それを見た真琴は遅刻を覚悟するが、
「真琴、有栖。先に行ってて。私のせいで二人が遅刻するのは駄目だからね。それに真琴は遅刻しちゃうと余計クラスで浮いちゃうし。」
と聖奈が言ったことに安心する一面、真琴は例のメモの誤解を完全に解いていない事を思い出した。しかしここで説明していると長引いて遅刻しそうなので諦めた。
"別に姉さんに思われるのはいいか"と考えながら、
「分かった。明日からは一緒に行こうな姉さん。」
と行って慌てながら有栖と学校へと向かった。そのせいか
「ふぅ結構余裕あったな。」
「そうですね。聖奈姉さんを待っていても間に合いましたね。」
いつもかかっている時間の半分で着いてしまった。二人は通学路を走ってきたが魔法士、能力者であるためあまり息はあがっていなかった。
真琴と有栖は教室が別の方向にあるので別れようとしたが、有栖がそういえばとでも言いたげに声をあげた。
「朝は有耶無耶になりましたけど、実際のところクラスはどうですか?」
真琴は誤魔化せたと思っていたため返答に困ってしまった。
それを見た有栖は口に手をあて
「まさか本当に浮いているとか?どうやったら入学初日からそうなるんですか?」
「いや、浮いてはないぞ。そもそも昨日はクラスメートと顔を合わせてすらいない。」
真琴が昨日用事があって教室に行けていないことを言うと、有栖の頭からは?が浮かんできそうなほど訳がわからないといった顔をする。
「クラスに行ってない…講堂で別れたあと学校をサボるほどの用事だったんですか?」
「いやサボってはいない。」
「?」
生徒会の事は家で話そうと思って伏せていたらややこしくなったので真琴は昨日の事を詳しく有栖に話した。聞き終えた有栖は
「家で映画鑑賞って会長さん面白いですね。」
「有栖、話を聞いていたのか?注目するところはそこじゃないだろ。」
真琴が言うと有栖は冗談ですと言いながら別の事を言う。
「分かってますよ兄さん。明日那さんが兄さんを放ってクラスへと言ってしまったことですね。大丈夫です。朝の事も含めてちゃんと言ってきてあげますから!」
「終わったことを掘り返すのはやめようか。それより大事な事あるだろ!生徒会、生徒会だよ。」
有栖は初めて聞いたかのようにあ〜、と声をあげた。
「その事は聞いた瞬間に無理だなと思って頭からポイと捨ててしまったので忘れてました。」
「いくらなんでも酷くないか。兄をもう少し信じよう。」
真琴が言うと有栖は急に真面目な顔になって言う。
「実際、今の兄さんじゃ無理じゃないですか。」
それを言われ真琴は何も言い返せない。
「無理はしないでください兄さん。確かに生徒会に入った兄さんと歩きたいなとか食事したいなとかお風呂入りたいなとか思わない事もありませんが、一番大事なのは兄さん自身です。」
真琴が少し重い言葉を受け止めていると有栖はそんな兄の姿を見ながら話し続ける。そして最後に表情を変えて
「それにもうあんなに壊れた兄さんを私も聖奈姉さんも見たくないです。」
と泣きそうな顔で言う。これを言われると真琴はいつも何も言えなくなってしまう。
真琴はかつて心を壊してしまいふさぎ込んでいた時期があってその時二人もそんな彼を見て苦しそうにしていた。そうそれは例の…
ブーブーブー
ちょうど真琴のデバイスが鳴った事で重かった空気が払拭された。真琴がデバイスを見ると明日那からだった。中身は急いで教室に来るように。先生が呼んでるぞ、というものだった。真琴は考えていた過去を振り払うように頭を振ると
「悪い有栖、また放課後な。」
といって有栖と別れて教室へと向かった。
それを見届けた有栖は一人言を吐く。
「また兄さんに辛い顔をさせてしまった。でももう二度とあんな顔の兄さんは見たくないし…。そう、私と聖奈姉さんで兄さんを支えていかなきゃ。」
有栖は一人決意を固めると自分の教室へと歩いていった。
有栖と別れた真琴はクラスのことで頭を悩ませていた。
"今日の夜のことも心配だが、まずはクラスだな。教師に教室へ呼ばれるとか公開処刑だろうか。高校に入ったら色々と変わろうと思ったんだが…。お姉ちゃんもそうあることを望んでいるだろうし。何が有ってもクラスに馴染んでみせる"
そして決意したときちょうど教室が見えてきた。昨日のプランを一度思い浮かべたが失敗するのは目に見えていたので、真琴は至って普通に教室へと入った。
ザワザワザワ
真琴は内心緊張していた。何故か彼が入った瞬間に皆が騒ぎ始めたからだ。彼は気づかないふりをしながら目的となる人物を探した。
「あ〜真琴。遅いよ。もう連絡してから10秒はたったよ。」
「面倒な人に会ってしまった…」
真琴がポロッと本音を言ってしまうと明日那は目に涙を浮かべた。
「…なんて事はなく、会いたかったよ明日那。朝ぶりだね。」
仕方なく真琴がフォローすると嘘泣きをやめコロッと表情を変え抱きつこうと飛びかがってくる。
真琴はいつも通りそれを避けると、床に突っ伏している明日那に一応尋ねる。
「先生はどこだ?」
答えは明日那ではなく別の人から返ってきた。
「私です。」
真琴が声のした方へと振り返るとスーツ姿の女性が立っていた。
「私は貴方のクラスを受け持つ横瑞流です。よろしく。サボりくん?」
「昨日はすみませんでした。しかし用事があった事を考慮してせめて"ど忘れくん"にしてください。」
横瑞は真琴の返答にポカンとしたあと直ぐに笑いだした。
「フフッ、面白い答えです。まぁ昨日の事は事前に知ってたからサボりくんと呼ぶつもりはないですが。で結局受けるのですか?」
真琴は不思議な先生だなと思いながら取り敢えず前と同じように曖昧に答える。
「そうですか。しかし暁くんの推薦なら私はいつでも手を貸しますよ。」
横瑞は真琴にそう言うと教室を出ていった。真琴はなんで教師がいなくなるんだ?
と思い隣の席の明日那に聞くと
「昨日いなかったからね。知らないのも無理はないよ〜。あれ?そういえばなんで昨日のいなかったんだっけ〜?あそうか〜…」
真琴は頭の中で明日那の自然と人をムカつかせる言葉を聞き流して要点だけをまとめた。
"今日は全部ガイダンスのようなもので午前はデバイスに送られてくるテキストを使う。午後は実際に教師による実技。"
まだ話続けている明日那を置いて真琴は自分の席に着いた。彼は隣が明日那なので話し相手には困らない。が、"新しい友達が欲しい。"そんな野望を胸にいだきながら授業へと臨んだ。
次の話では、初めてのお友達とやっとこのセカイにおける魔法、能力について、そして真琴の過去についてふれたいと思います。必見です!しかしギャグパートを入れようと思うと話が進まないのである程度は最低限で進みます。