本当にすみません
相変わらずのんびりとしています。そして短い。申し訳ない!
なんでこんな所に明日那が?俺が自分の部屋と思って入ったところが明日那の部屋だったとかか?
まさかまた暁先輩に何かされたのだろうか、そう思うと二度もやられた自分が情けなくなる。寝る前に、情けなかった、などとまるでこれからの自分は情けなくないと言っていた自分が恥ずかしくなってくる。わけが分からなくなった俺はとりあえず状況把握のために
隣でぐっすりと眠っている明日那を揺らして起こすことにした。
「おい、明日那。起きろ。なんだかわけの分からない事が起きてるぞ。」
「あと一時間…」
「長すぎる!せめてそこは五分くらいだろ。」
「じゃあ五分寝まーす。」
「な、言質を取られたー。仕方ない、待つしかないか。」
五分後…
「おい明日那五分経ったぞ。次こそはちゃんと起きてこの状況を説明してくれ。」
そう言って明日那の肩を揺らす。すると明日那は虫でも追い払うかのように俺の手をペシペシ叩く。
その可愛らしい様子に頬が緩み今となってはあたり前となった彼女の様子を眺めていたくなる。しかしいち早く事情を知りたいという気持ちが勝り、よりいっそう激しくした。明日那はやっと起きたようでフワァ〜と欠伸を手で隠しながら
「おはよう、真琴。今日は遅刻しなくて済みそうだね〜。」
と挨拶をしてくる。いつもと変わらぬ返事をする明日那に俺は聞いてみた。
「なんで俺とお前が同じベッドで寝ているか知っているか?」
明日那はそれを聞いて恥じらうように?かは分からないがかけられていた毛布で顔を隠してしまった。
…
俺は何かやらかしたのだろうか。
確かに昨日は疲れて直ぐに眠ったから記憶が曖昧だが、何かをしでかしていたにしては明日那も逃げないしいつもと様子が変わらなかった。謎が増えたが取り敢えず謝罪しよう。困ったら謝るのが一番だ。
そう思った俺は明日那が顔を隠している毛布を剥ぎ取り彼女の目を見つめる。明日那は恥ずかしい?のか気まずそうに目を逸らす。口をモゴモゴしているところを見ると彼女も何か言いたそうだ。俺は土下座をも厭わぬ覚悟で口を開く。それを見て明日那も目を合わせてきて、そして二人の言葉は重なった。
『ごめんなさい』
え…なんで明日那も?彼女も同じ気持ちのようでポカンとしている。お互い見つめ合ったあとなんだか居たたまれなくなったので俺から理由を話すことにした。
「俺はてっきり俺の部屋を訪ねてきた明日那に対して寝ぼけて何かしてしまったんじゃないかと思ったんだが…」
それに対し明日那は顔を振り俺の考えが間違っていたことを示す。
「そんなこと無かったよ〜。私はてっきり真琴を連れこんだことを怒っていたのかな〜って思って。」
それに対し俺はいよいよ理由が分からなくなり再び首を傾げる。明日那は俺が怒っていないことが分かり安心したのか話し始める。
「学校で真琴に起こさなくてもいいって言ったけど家に帰ったあとに心配になっちゃったの。そこで私はひらめいたんだ、素晴らしいアイディアを。真琴は起こしに来るのが面倒、私は一人じゃ起きられない、この二つを解決する方法を。」
自慢げな表情で語る彼女を見ているとロクでもない事を考え実行に移したことが今の状況からわかる。
「そう、それは一緒に私の部屋で寝ることよ。思いたったその瞬間私は真琴の部屋に行ったの。そしたら真琴が部屋で寝ていたからそこに有栖ちゃん達へのメモを残して真琴を運んで一緒に寝たってわけ。理解できた〜?」
「いやちょっと待ってくれ。全然理解できない。発想が突飛過ぎてついていけないんだが。」
「まぁ私だからね!」
「ソウダネ。」
けど少し俺はホッとしていた。明日那に何かしてしまったわけではないと分かったからだ。同じベッドにいる明日那が不安そうな顔をしているので俺は声をかけた。
「まぁ今日のことは別に怒ったりはしないから気にすることはないぞ。それに友達が遅刻するのを見逃すっていうのもなんかあれだし明日からは起こしてやるよ。」
それを聞いた明日那は大きく息を吐いてから頬を緩めた。そしてクスクス笑いながら、
「良かった〜。私てっきり、お前は体で覚えないと反省しないみたいだな。体がガクガクになるまで叩き込んでやる〜、的な事を言われるかと思ってビクビクしてたのに〜。」
と言ってきた。
「内容と顔があってないぞ。それに俺たちも結構長い付き合いだから俺のことわかっているくせに。」
「フフッまあね。」
と明日那は自慢げに答える。しかしこれで明日那は今日、遅刻しないで済みそうだ。結果オーライで済ませていいのだろうか?取り敢えず彼女と別れて俺は家へと帰る事にした。
「え〜。行っちゃうの?このまま一緒にご飯食べようよ〜。」
「多分、有栖も聖奈姉さんも心配してるだろうし一旦帰るよ。また教室でな。」
「あの二人の為なら仕方ないか…じゃあまた学校でね。」
そう言って俺は昨日の事を思い出した。が、直ぐに頭から消し去り家へと向かった。過去を振り返るのではなく未来を見よう。そんなことを考えながら…
家へ帰ると家の中から音が聞こえてきていた。いつも朝食は有栖が早起きして作ってくれている。聖奈姉さんは俺と有栖が朝食を食べ終える頃起きてきて慌ただしく登校の準備をしている。俺が家に入ると有栖が玄関へと走ってきた。
「兄さん。何処に居たんですか?」
隣の家に泊まっていただけなのになんだか俺は行方不明だったかのように聞かれた。
「何処って明日那の家だよ。連絡あったんじゃないのか?」
「明日那さんの家!そんなところに…あの人ったら許さない。」
なんでこんなに怒っているのだろう。まさかあいつ連絡しなかったんじゃ…。
「俺の部屋に連絡はなかったのか?」
怒り心頭の有栖は俺が話しかけた事で現実に戻ってきたようだ。今まで鬼みたいなオーラを出していたが一瞬で消えた。
「このふざけたメモの事ですか?」
そう言って有栖はエプロンのポケットから出したメモを見せてくる。
そこには簡単にこう書いてあった。
「クラスで浮いてしまったので自分を見つめ直します。今日は帰りません。」
うん、明日那は頭が足りなかったようだ。この文じゃ納得どころか不安を煽るだけだ。嘘というわけではないが…
朝別れるとき一緒に登校しようと言ってこなかったのは有栖と会いたくないからか。
「あ、有栖?気持ちは分かるが俺は元気な訳だし、あんまり明日那を怒らないでやってくれ。」
俺が頼み込むと有栖は怒りを収めてくれたようだった。
「兄さんがそこまで言うなら、でも一つ質問してもいいですか?」
「何だ?あ、俺は別にクラスで浮いてないからな。ちょっと出遅れただけだ。」
「そんなことではないです。」
ハッキリ言われるとちょっとショックだな。いくら中学のときは友達が居なかったからって。取り敢えず俺は目で続きを促す。すると有栖は目を細めて
「昨日は明日那さんの家の何処で寝たんですか?」
と聞いてきた。
俺は素直に答えようとしたが有栖の目が据わっていて怖かったので誤魔化して、「床だよ、床。寝心地悪かったなぁ。」
なんて言える訳が無かった。素直に「一緒のベッドで寝たよ。」
と答えた。それを聞いた有栖は笑顔で頷いて外へと出ようとしたので俺は本能で腕を掴んだ。
「兄さん止めないでください。今から悪を裁きに行きます。」
「あいつも悪気があったわけではなくて。そもそも原因は俺にあってだな。」
「そうやって明日那さんをかばうんですか。そうですか。まさか既に…」
「いや全面的に明日那が悪い。」
妹に有らぬ疑いをかけられてこれから家でも肩身が狭くなるのは辛い。しかし本当に明日那のところへ行ってしまいそうなのでなんとか頭を下げた。結局後でしっかり説明すると言うことで落ち着いた。初めて学校があって良かったと思った。
今回は久々の有栖の出番。前回予定の3分の1しか進んでいませんがこれには深い訳がありまして…
そう書き方を変えてみようかと思ったのです。主人公視点ではなく第三者視点に。
次回からそうなります。これからもお付き合いください。次は家で朝食を食べるところから始まります