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楽斗復活。

本日3話目です!


この話から物語が進んでいきます!

「んー……ん?ここはどこだ?」


盛大な伸びと共に辺りを見渡した俺は、見慣れない荒れ地に首をかしげる。


なんか体も少し軽い気がするし、と疑問に思った俺は自分の記憶を遡ってみる事にした。


「えっと、確かみんなと魔王を倒しにいったんだったよな。それで、何とか魔王を倒して………………って、あ!そうだ!魔王が自爆したんだった!」


ある程度思い出して、俺はようやくその記憶に突き当たる。


でも、まだ疑問は残る。


「なら、なんで俺は生きているんだ?

確かに俺は魔王の爆発に巻き込まれて、そのまま死んでしまったはずなのに……」


その時のことは鮮明に思い出せる。


限られた時間の中でみんなを逃がして、魔王の自爆をこの身で受けた瞬間を。


体中にダメージが行き渡り、俺は確かにその身を四散させた。


なのに、今のこの体には何のダメージもなく、逆に少し調子がいいみたいだ。


俺の体に何が……?と思った瞬間に、俺はある可能性を口に出していた。


「……???の加護」


あの、結局発現することのなかった謎の加護。


あれの正体の一つが、死んだ時に復活させるという加護なのではないか。


それだったら、今のこの身体状況も理解できる。



そう思った俺は、慌てて自分の加護を確認することにした。



《加護】

・復活の加護・・・1度の肉体損傷を時間を掛けて蘇生させる。

・勇者の加護・・・魔王を倒した者に与えられる加護。身体能力が向上する。

・???の加護

・???の加護



「ああ、やっぱりか…」


俺は自分の加護を確認し、予測を確信へと変える。


これで今の状況と体の軽さの理由はわかった。


だが、ここでもう一つの不安が生じる。


「肉体損傷を時間を掛けて………か。

一体どれだけの時間を掛けたんだか……」


ここの荒れ地を見るだけではどれほどの時間が経過したかを把握することは出来ない。


せめて、1週間程度で済んでてほしいとは思うが。


「あれだけのダメージだからな……。

最悪、一ヶ月位は覚悟しないといけないか……」


俺はそう呟き、自分の言葉の意味を噛み締めて苦々しい気持ちになる。


頭の中に浮かぶのは、今まで一緒に戦ってきた恋人と弟子、親友の姿だ。


「はぁ、俺は冷静さを失ってたのかもな。

もしもみんなが死んだとしたら、俺は生きていける自信がないのに、みんなをそんな目に合わせるなんてな」


最後の俺の判断。


自分だけが道連れになってみんなを逃がすというその判断は、今思えば確実に悪手だった。


みんなは今、何を考えて生きているんだろうか。


「まあ、そんな事は考えていても仕方ない、か。

とりあえずみんなを探しに行かないとな。

ここが魔王城の跡地なんだとしたら、リリの住む街まではそう遠くないはずだから、そこに向かうか」


俺は新しい目標を立てて、そのまま歩き出す。


再会の時が、そう遠くないことを確信しながら。





「うーん、これは活気があるのか………ないのか……。

一体何があったんだ?」


街へと辿りついた俺は、住民の様子に疑問を抱く。


まるでパーティがあるかのように豪勢な準備をしているのに、その表情は暗く打ち沈んでいるのだ。


「誰かに聞くのが早い、か。

勇者の時に顔を隠してきたのは正解だったかもな」


俺は旅をする道中、色々な人に邪魔されては適わないからという理由で顔を隠して旅を続けてきた。


だから、俺の素顔は一部の人しか知らないのだが、今回はそれが良い方向に効いたと言える。


俺が死んだことは多分もう知れ渡っているだろうから、もしも俺の顔をみんなが知っていたら、人に何かを聞く時に面倒なことになってしまうからだ。


「にしても、何だか随分変わった気がするな」


俺は、何が起こっているかを尋ねる為に街を歩く最中、街の変化を不思議に思う。


俺が眠っている間にそうなったんだろうと軽い気持ちで考えていたが、尋ねた街の人の言葉で、その考えは吹っ飛んだ。



「り、リリが結婚!?」


「ああ、そうだ。あんた旅の人か。それでも有名な話だと思うんだがな」


「あ、ああ、俺は情勢には疎くてな……」


俺はそう答えるのが精一杯だった。


頭の中の何かが喪失していくのを感じる。


「はぁ、どうしてリリアーナちゃんが……」


だが、それも、その男の人がため息混じりに呟いた言葉で消えることとなった。


「……どういう事だ?」


「ん?ああ、それがな。どうやらよくある貴族間の政略結婚らしいんだよ。

俺達はリリアーナちゃんの味方だからよ。

俺を含め、村のみんなは勇者様と結ばれることを願ってたんだが、勇者様が死んじまったと聞いて、相手の貴族がここぞとばかりに求婚を申し込んだんだ」


「……その貴族の名は?」


「うーんと、リオ=カーミルだったかな」


俺はその名を聞いて、ようやく話の概要を理解する。


リオ=カーミルは、俺を目の敵にしていた貴族の1人だ。


理由はリリへの嫉妬らしいが、そんなことは知ったこっちゃないので、俺は相手にしていなかった。


普通なら貴族の権力を生かして脅すなりなんなりしていたのだろうが、生憎俺は普通ではない。


まず勇者という肩書きがあり、なおかつ他の様々な国で王と関係があるため、容易に手を出すことが出来ないのだ。


だから本来から諦めるつもりだったのだろうが、そこで俺が死んだという知らせがあって、チャンスだと思ったのだろう。


あの男らしいやり方だ。


だだそれだけなら問題は無いのだが、俺が問題視していることが1つある。


それは


「まさか、あれから1年経っていたとはな……」


そう、肉体損傷の蘇生に使った時間である。


基本的に政略結婚が行われるのは20歳からだと決まっている。


俺と魔王が戦ったのはちょうどリリが19歳の誕生日を迎えた日だった為、本当なら政略結婚が行われるわけが無いのだ。


なのに、今日その政略結婚が行われようとしている。


つまり、あれから一年以上の月日が経ったことを意味しているのだ。


「なるほどな。

助かった、ありがとう」


「いやぁ、構わないよ」


「お礼にリリの結婚式を潰してきてやるよ」


「ああ…………は?あんた、何言って……っておい!あんた!」


俺は男の返事も聞かずに急いで走り出す。


表面上では冷静さを取り繕っていても、今俺の中では怒りと苦しみが蠢いているのだ。


俺のせいでリリがそんな無理矢理な結婚をさせられるという苦しみと、俺のリリに何をしてくれてるんだという怒り。


俺はその二つの感情に突き動かされて、一心不乱に式場へと向かった。




……待ってろよ!リリ!




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