楽斗の過去②
本日二話目です!
少し短いです!
恋人になった楽斗とリリアーナは、健全な付き合いをしながら旅を進めた。
楽斗は、どんな事でもリリアーナと一緒にすれば幸せに感じられた。
それは勿論リリアーナも同じだった。
2人は自他共に認めるバカップルになった。
ある時、2人は魔物の討伐クエストを受けることになった。
大量発生したオーガの討伐。
既にSランクになっていた楽斗にとっては、何の心配もない簡単なクエストだった。
2人はオーガの出る森を歩き進めてすぐに、3体のオーガと遭遇した。
上級冒険者でも蹈鞴を踏む場面だったが、楽斗にとっては何の苦でも無かった。
剣を一閃するだけでオーガ3体の首を刎ね、2人は冒険者組合へと戻ろうとした。
その時だった。
遠くから女性の悲鳴が聞こえたのは。
2人は直ぐにその悲鳴が聞こえた場所へと向かった。
まもなく到着したそこには、オーガキングと、重傷を負った男の冒険者と、呆然とへたり込む女の冒険者の姿があった。
オーガキングはS級冒険者でも危険が伴う敵。
だが、並のS級冒険者ではない楽斗にとっては、そこまで強敵というわけではなかった。
だから楽斗はリリアーナに冒険者の治療を任せ、1人でオーガキングへと向かっていった。
5分程の戦いの後、楽斗はオーガキングを打ち破った。
オーガキングを倒した楽斗がリリアーナの元へ向かうと、既に男の冒険者は傷が癒え、起き上がっていた。
本当に死の瀬戸際まで行った2人は、その恐怖から解放されたと知り、思わずといった感じで泣きじゃくった。
楽斗とリリアーナは、ただ泣き止むのを待っていた。
その後泣き止んだ冒険者は、男の方がリョーマ、女の方がカナエと言った。
楽斗と同じクエストを行っていたところ、突然オーガキングが出てきて壊滅状態になってしまったらしい。
何が起こるか分からないという教訓だな、と楽斗が眉を潜めて考えていたら、リョーマが突然楽斗に土下座をし始めた。
一瞬思考が追いつかなかった楽斗だったが、ようやく理解し慌てて止めようとしたのに、リョーマは止めようとしない。
それを見て不思議に思った楽斗がリョーマに聞くと、リョーマは強くして欲しいと真剣な顔で楽斗に告げた。
何かの事情を感じ取った楽斗は、自身が勇者、リリアーナが僧侶であることを明かし、リョーマを騎士、カナエを魔法使いとして受け入れることを決めた。
そして、そこから4人での旅が始まった。
4人はあちこちを旅して回った。
時には魔物に占領されかけている街を救いに行き、時には王の圧政に耐えられなくなっていた国を救った。
獣人族の国では獣王と戦って仲良くなったし、エルフの国では女王に求婚されてリリアーナに嫉妬されたりもした。
小人族の国。
巨人族の国。
鬼人族の国。
竜人族の国。
魚人族の国。
4人はその全ての国を救い、いつしか勇者パーティと呼ばれるようになった。
『漆黒の剣士』の名も、勇者であると知られてからは更にあちこちにまで轟き、冒険者のランクもSSランクになった。
旅をしている最中、4人には幾度も強敵と言える相手が襲いかかってきた。
何度も死を覚悟した場面があったが、4人はその全てを打ち破り、徐々に強くなっていった。
そしていよいよ迎えた魔王との決戦。
それはそれまでのどの戦いよりも熾烈でギリギリの戦いだった。
少しでも間違えればどちらが死んでもおかしくはないという攻防。
猛威を奮っていたというのが本当だと分かるほどの実力を、魔王は持っていた。
だが、楽斗達は勝利した。
紙一重で楽斗が魔王を斬り、魔王との戦いは完全に終止符が打たれたはずだった。
だが、全員が生きて帰ることは出来なかった。
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『……身体状況確認。…………確認完了。身体復元率が100%に到達。
蘇生します。』