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リョーマの思い。

本日2話目になります!


リョーマ視点です!

僕の名前はリョーマ、師匠の一番弟子を名乗らせてもらってるっす!

あ、師匠と言っても分からないっすよね。


何を隠そう、僕の師匠はあの有名な勇者ラクトさんなんすよ!

僕も初めて出会ってそれを聞いた時は、驚きのあまり固まってしまったっす!


師匠は出会った時から物凄く強くて、その上その力に溺れることなく、あらゆる困った者達を助けて行ったっす。

師匠が勇者と言われる所以は、その優しさが一番の理由だと思うっすね。

僕も、そういう人だからこそ、この人に一生ついて行こうと心に決めたっすよ。


でも、その尊敬する師匠は、もうこの世にいないんすけどね。


僕を含む勇者パーティが魔王を討伐してから、一年が過ぎ。

その間、僕の周りの環境は随分と変化したっす。


まずはリリアーナさん。

旅に出ていた時はあんなに元気だったのに、師匠が死んでしまってからは魂が抜け落ちたようになってしまったっす。

まるで人が変わったかのように暗くなるその姿を見る度に、僕もあの時のことを思い出して悲しい気持ちになるものっす。


でも、それも仕方ないっすよね。

リリアーナさんは師匠の恋人だったんすから。


もしも僕がリリアーナさんと同じ立場だったなら。

そんなことは考えるだけ無駄なのは分かってるけど、それでもそんな思考に陥るたび。

その時の辛さを想像すらできない自分がいて、愕然としたっす。


それでも、僕やカナエのように、ずっと一緒に過ごしてきた仲間にしかその変化を分からせないようにしているのは、純粋に凄いと思うっすね。


次はカナエ。


カナエとは師匠達と出会う前から二人で一緒にパーティを組んでたけど、師匠と出会ってからのカナエはいつも活き活きしてて、本当に楽しそうだったっす。

でも、最近のカナエは少しずつその元気を無くしていっているように感じるっす。

いや、間違いなく気のせいじゃないっすね。


昔はあんなにアウトドアな性格だったのに、僕達と外出する時以外はほとんど引きこもるようになったし。


勿論、あの時師匠に僕らのことを任された手前、いつも僕達を引っ張っていこうとしてくれているのはちゃんと分かってるっす。

当然のように、その事には感謝しかないっすよ。

でも、それが空元気でしかないことも、僕とリリアーナさんはしっかりと気づいているっす。


だからこれは、師匠の一番弟子であるこの僕がみんなを慰めるしかないっすね!

とか偉そうなことを言いつつも、この中では僕が1番師匠の死を引きずってるんすけどね。

男なのにくそダサいとは思うんすけど。

でも、どうしても、心が言うことを聞いてくれないんすよね。


他にも、過去に勇者パーティみんなで遊びに行った国々で、同様の変化が起こってるっす。


例えば獣人族の国では。


師匠と凄く仲の良かった獣王様が、師匠の死を聞いて、全ての魔族に報復だとか言って戦争の準備をしだしたっす。

その時はまだそこまで強い気持ちじゃなかったから僕とカナエでなんとか止めることができたけど、次同じことが起こったら止めれる自信がないっすね。


本気で一対一で戦ったら、獣王様は僕よりも強いっすから。


あ、勿論それは対人戦に限った話であって、総合的な強さでいえば僕の方が上っすけどね?

はぁ、僕は一体誰に言い訳しているのやら。


例えばエルフの国では。


エルフ国の凄く綺麗な女王様が師匠に恋してたっすけど、今は見た目の華やかさも消えて見るに耐えない姿になってしまってるらしいっす。

噂に聞いただけで実際に会った訳じゃないから程度は分からないけど、今ではお城の中から出てこなくなってしまったらしいっすよ。


求婚を受け入れてもらえなかったエルフの女王様でさえこうなっているのに、リリアーナさんが今も耐え続けていると聞くと、リリアーナさんの凄さが本当に分かるっすね。

それも全て、死んだ師匠を安心させるためらしいけど、本当に尊敬するっす。

エルフのお姫様にも、是非元気になって貰いたいところっすよ。


例えば小人族の国では。


師匠がよく武器やら装飾品やらを作ってもらっていた鍛冶師が仕事に手がつかなくなってしまっているらしいっす。

その方は師匠のお陰でもあるけど、今では世界で最も有名な鍛冶師と言われている程で、とてつもない経済的な被害が出ているみたいっす。

師匠の不在は最早世界的に影響が出るほどになっているっすよ。


他にも、師匠に懐いて大人しくなっていた巨人族が再び暴れだしたり、師匠に会うために地上に出るようになった魚人族が海中に引きこもるようになったり、徐々に他種族に心を開きかけていた竜人族がより閉鎖的になったりもしたっすね。


そう考えると、師匠の存在がどれほどかけがえの無いものだったか、それがよく分かるっす。

大事なことを全て師匠任せにしてきた、僕らの責任でもあるんすけどね。





話は変わって、今日はリリアーナさんの結婚式の日っす。

僕も昔は、いつか来るだろうリリアーナさんの結婚式を楽しみにしていたもんすよ。

その相手が師匠だと思っていたから。


でも、今はその師匠がいないわけで。

それはつまり、結婚の相手も師匠ではないということで。

それだけで、僕の心はこんなにも陰鬱になるもんなんすね。


ちなみに、僕も、まだここには到着していないカナエも、特別席を用意してもらってるっす。

政略結婚がどうちゃらこうちゃららしいっすけど、僕には難しくてよく分からないっすね。


まあ、分かることは、リリアーナさんがしたくもない結婚を無理やりさせられているということぐらいっすか。

本当なら僕やカナエの実力をもって結婚式を無茶苦茶にしたいくらいなんすけど、当のリリアーナさんがそれを望んでないから今回は自重するっすよ。

一番辛い思いをするリリアーナさんが我慢しているのに、それで僕が暴れる訳にもいかないっすからね。


リリアーナさんの結婚相手め、覚えておくっすよ!


あ、それとその相手の貴族のことなんすけど、あまり師匠に良い感情は持ってなかったみたいっすね。

何やらリリアーナさんに一度振られたからだとか。


はぁ、全く男の嫉妬は醜いっすね。

まあ結局は結婚することになったっすから、人生何が起きるかわからないっすけど…。

でもそれも奇跡の重なり合いだってことにさっさと気づいて欲しいっすよ!


何が「やっとリリが俺の良さに気づいてくれた」っすか!

リリアーナさんのあの顔を見てどうしてそんな事が言えるんすか!


確かリリアーナさんが昔、「本当に好きな人にはリリと呼んで欲しい」って言ってたっす。


それは裏を返せば「好きじゃない人には呼んで欲しくない」ってことなのに、どうしてあの男は気安く「リリ」なんて呼んでるんすか!


ほら、見て、あのリリアーナさんの顔!

笑顔の中に完全に影が入ってしまってるっすよ!

ああ、どうしてあれを見て誰もリリアーナさんの気持ちに気づかないんすかねぇー!


「……師匠さえ居れば……」


とそこで、僕は思わず口に出してしまった言葉を慌てて呑み込んだっす。


危なかったっす。

いくら本音だとは言え、他の男を示唆する言葉は結婚式ではご法度だったっすね。


それでも、心の中では師匠とリリアーナさんが結ばれる以外のことは考えられないのが不思議っすね。

師匠がいなくなってから一年もの月日が経つというのに。


まあ、それは勇者パーティとして二年近くもあの二人を身近に見てきたおかげだろうっすけどね。


さあ、いよいよ結婚式が始まるっす。

正直に言えば見たくないけど、リリアーナさんが我慢してるんだから僕が目を離すわけにはいかないっす。


それにしても、カナエは遅いっすねぇ。

一体何をやっているんだか。


ほら、もう入場してきたっすよ。

リリアーナさんのウェディングドレス姿っす。


うぅ、なんで隣にいるのが師匠じゃないんすか!

本当に納得行かないっすー!!

あのウェディングドレス姿のリリアーナさんと師匠の結婚式を、僕はずっと夢見てたって言うのにー!



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