表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編小説集

まるで夢のような?

作者: 川柳えむ

 いつものように朝を迎えて、アパートの部屋の扉をゆっくりと開けた私の目の前に、それは美しい妖精がいました。

 突然の出来事に、なにが起こったか把握するまでに十分。

 いまだ夢の中かと頬を抓ってみたのですが……痛いのです。

 阿呆のように妖精を見つめていると、妖精は口を開きました。

「いつもお仕事にお疲れのあなた。そんながんばっているあなたに、ご褒美として私の国へ連れていってあげましょう」

 そう妖精が言った瞬間、あたりが光に包まれ、気づけば見たこともない場所にいました。そこは色とりどりの花が咲き乱れ、この世の物とは思えぬ美しさでした。

 そして、先ほどの妖精に導かれ、私は美しい宮殿へとやって来ました。宮殿では、食べたこともないような変わった、けれども、頬が落ちそうになるくらい美味しい食事をいただき、美しい妖精達のダンスを見せてもらいました。

 そして、腕時計を見てみれば、あれから四十分ほども経っていました。

「そろそろ帰らなければ。今日も仕事があるんです」

 妖精達は寂しそうな顔をして「もう少しだけ待ってください」と私に告げ、どこかへと行ってしまいました。

 そのまま待つこと五分。

「これは私達からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください」

 渡された箱を開けると、また眩い光に包まれ、今度は自分の部屋に戻ってきていました。

 プレゼントとはいったいなんだったのか、と思いながらふと鏡を見ると、私は王子様のようなタキシードを身に纏っていました。

 これがプレゼントか……などと考えながら、慌ててスーツに着替えること五分。

 急いで部屋を飛び出し、会社に向かいました。


「――それが、一時間も遅刻した理由かね?」

「は、はい……」

「おまえ、明日からもう来るな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ